気ままに読書・のんびり読書
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この本読んだ! 12月の楽しみ
12/28『透明人間のくつ下』アレックス・シアラー、金原瑞人訳、トム・モーガンイラスト、2008.08.06、309p
アレックス・シアラーの最新刊。バス遠足で、「リトル・ホラー博物館」を訪れた生徒達と先生達。展示品を絶対さわってはいけないと言われていたのに、ついついさわってふざけてしまった。さわった展示品は、オオカミ尾にんげんの毛、ミイラの包帯、ドラキュラの歯、その他ホラーない品々。もちろん、タイトルにある透明人間のくつ下も。
手を触れてしまった大人も子どもも、世にも恐ろしい出来事が待っていた。それは、展示品に関係のあるモンスターに変身してしまうこと。とこんなストーリーを聞くと、ホラー菜恐ろしい話だと思うのだが、読み始めると、笑えるユーモアがたっぷり仕掛けてある。そして、最後にはめでたく解決するのだが、ただ解決するだけでなく、ホラー以外のこともハッピーエンドにするところが作者の腕の見せ所かも知れない。
まずタイトルで惹かれて、それからページをめくる度に次がどうなるのか気になって、最後は「えっ」とおまけまで付いているストーリー運びに◎。
12/26『なぜ日本人は『ごんぎつね』に惹かれるのか』鶴田清司、明拓出版、2005.11.10、238p
12/24『あいしてくれてありがとう』宮西達也、ポプラ社、2008.12、39p
ティラノサウルスシリーズの最新刊。らんぼうもののティラノサウルスがフトしたことから、目の見えないひとりぼっちのパウパウサウルスと出会う。自分がティラノサウルスであることを隠して接するけれど、ある日それが分かってしまう。そのとき、大きな噴火が起こって生き埋めになりそうになったパウパウサウルスを身を挺してかばったティラノサウルス。傷だらけになりながらも、かばい通して、そして、静かに目を閉じてしまう。
ティラノサウルスのシリーズの魅力は、外見と内面のずれ。そして、そのことに気づく巡り会いだろう。前作で、年をとったティラノサウルスとつうじない言葉をとおして温かい心の交流を描いていたが、今回はティラノが元気な乱暴者。その乱暴者が、目にいいからと「赤い実」をとってくる。やはり、シリーズを通しての「赤い実」の存在から目が離せない。
これだけシリーズが出るのは、読者の心に訴えるものがあるのに違いないが、一人の登場人物として読んでいると、なんだかマンネリ化してしまうようなもったいなさも感じる。
12/20『てんごくのおとうちゃん』長谷川義史、講談社、2008.11.25、33p
父親を亡くした男の子のつぶやき。周りの大人の湿っぽさとは違うさびしさを感じる。さいごの「もうすぐよねんせいになりまう」「しんぱいしないでくださいね、おとうちゃん」の言葉に胸が詰まる思いがする。裏表紙の白黒の家族写真から時間が止まってしまったおとうちゃんだけれど、そこに「ぼく」を見守る温かさがにじんでくる。
12/10『彩雲国物語 黒蝶は檻にとらわれる』雪乃紗衣、由良カイリ絵、角川書店、2008.12.01、287p(角川ビーンズ文庫)
12/05『牢の中の貴婦人』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、原島文世訳、佐竹美保イラスト、東京創元社、2008.11.14、234p(創元推理文庫)
12/01『みしのたくかにと』松岡享子作、大社玲子絵、こぐま社、1998.12.15、60p
こんなおかんさんにこどもは育てられると幸せだなぁと思わせる一冊。
身に降りかかってくるいろんなことを「みしのたくかにと(とにかくたのしみ)」と思える人生観を持ちたいものだ。