気ままに読書・のんびり読書
―好きな本から話題の本までアプローチ
この本読んだ!
8月の楽しみ
8/26『スピリット・リング』ロイス・マクマスター・ビジョルド、梶元靖子訳、東京創元社、2001.01.26、539p(創元推理文庫)
『チャリオンの影』を読んで、ビジョルドの他の作品も読んでみたいと思った。これは、ビジョルドのファンタジィ作品一作目。
舞台は中世イタリアっぽい。陰謀に立ち向かう主人公のフィアメッタがエネルギッシュで現実的でおもしろい。
8/21『犬と私の10の約束』川口晴、松園多聞撮影、文藝春秋、2007.07.30、209p
あかりが12才の時、子犬のソックスがやってくる。その時、母とした約束が「犬と私の10の約束」。「わたしにはあなたしかいません」「どうか覚えていてください。私があなたを愛していたことを」…自分が生きていく中で迷い悩み、そんなあかりとソックスの約束は、ソックスが虹の向こうに行ってしまってからもあかりの心を揺さぶっていく。
この夏、14年当たり前のようにいた犬が空に去った。そのことを慰めたくて、この本を手に取ったのかも知れない、と読み終わって感じた。
8/20『アイス・マーク 赤き王女の剣』スチュアート・ヒル、金原瑞人・中村浩美訳、ヴィレッジブックス、2007.06.20、563p
「『エラゴン』の興奮、『ロード・オブ・ザ・リング』の感動。新しいファンタジー・ヒロインの誕生」と帯に書かれている。跡継ぎの王女、誇り高きウェアウルフ、バンパイア、魔女の息子、癒しの魔法、雪豹族。それに対する、大砲、近代軍隊、カリスマ的将軍…と登場人物の設定が魅力的だ。
人以外の先史と、訓練された最強といわれる軍隊との闘いは、映画「キングオブアーサー」の闘いの場面、「ラストサムライ」の最後の戦闘場面など、新旧の力のぶつかり合いを想像させる。その時、古いものを応援したくなるのは、古きものの持つ、理屈で割りきれぬ能力や姿、想像を刺激する場面設定が影響していると思う。
近世と古代のせめぎ合いをモチーフにした物語は他にも色々思い浮かぶが、決して持つことのできない世界への憧れを大いに刺激してくれる作品群に入って当然のおもしろさにあふれている。
シリーズ2巻の発行が楽しみだ。数十年後の設定だそうだが、シリンやオスカンがどうなっているのかとても気になる。
8/9
『パレドヴレーヌ 薔薇の守護』妹尾ゆふ子、皇なつきイラスト、コナミデシタルエンタテインメント、2006.12.22、271p
「大人気PCゲームパレドゥレーヌ小説で登場!」ということだが、それよりも「妹尾ゆふ子」作品でということで読む。
もともとのゲームがイメージできず、すっと表面を読んだ感じがしてしまう。
8/7〜
『グレイがまっているから』伊勢英子、理論社1993、中央公論社1993.12.18文庫版、187p(中公文庫)
伊勢英子が描き出すグレイがどんどん愛おしくなる。それはグレイに注がれた作者の愛情が、読者にこぼれ落ちてくるからだろう。
グレイがいなくなってぽっかりと空いた空間は、作者にも読者にもそう簡単に埋めることができないものだ。そして埋められないからこそ、思い出という形でグレイを想像するのかも知れない。
犬を飼ったことがある人なら、その別れの時のさびしさは言い尽くせないものがあるのがわかっている。それを、伊勢さんが代わりに文字として、消えない形として描き出してくれたことに感謝。