気ままに読書・のんびり読書
　　　　　―好きな本から話題の本までアプローチ

この本読んだ！
7月の楽しみ

7/21『ストラヴァガンザ　星の都』メアリ・ホフマン、乾侑美子訳、小学館、2005.08.01、701p
　『ストラヴァガンザ　仮面の都』に続くシリーズ２作目。今回は、タリア国のレモーナが舞台。星競馬に沸き立つレモーナ、その中でも、翼を持った子馬が生まれた雄羊区に21世紀から、ジョージアがストラヴァガント（時空を超える旅）をしてくる。ここでも、前回同様タリア国を手中に収めようとする、ニコロ・ド・キミチーが自分とつながりの深い女神区を勝たせようと、そして、ストラヴァガンザの秘密をつかもうと陰謀を巡らせる。
　『仮面の都』も冒険に次ぐ冒険で一気に読めたが、今回も次のページの展開が気になるストーリー運びで星競馬の結果が気になりながら、21世紀に「移され」る決心をしたファルコの事が気になり、ジョージアの21世紀での義兄との葛藤が…といろいろな要素が絡み合って目が離せない。
　星競馬で終わらず、最後にもう一度翼を持つ馬が登場し、「そうきたか…」とうならせる筋立てがおもしろさを倍増する。三部作の最後『花の都』はキミチーの都ジリアが舞台だとか。どんなストラヴァガントが登場するのか、どうキミチーと立ち向かうのか、楽しみだ。

7/10『マーリンⅢ　伝説の炎の竜』T・A・バロン、悔後礼子訳、山田博之装画、主婦の友社、2005.07.20、355p
　シリーズ3作目になり、マーリンの冒険のそこかしこに、既知のマーリン伝説が絡んできておもしろさが増す。たとえば、マーリンが本当の言葉をよぶことで手に入れた剣は、「数百年後に石のさやに収められ今のマーリンぐらいの少年が引き抜いて伝説の王になる」だから大切にするようにと。アーサー王とエクスカリバーの伝説をすぐさま思い浮かべる。
　伝説の竜が目覚め、いにしえの予言が思い出される。トゥアーハの孫のマーリンだけがこの竜を倒せるという。ところが、「争いはむなしく、すべてはついえる。竜の眼は閉じ、敵は死す」とその予言は続く。そんなマーリンはドワーフの女王にだまされて魔法の力を取り上げられてしまうし、今回はリアもいない。どうやって竜を倒すのかとストーリー展開がますます楽しみになり、最後の闘いでの「しかけ」に引きよせられる。それより何より、竜の描写が生き生きとし、最後の死を迎えた竜の心情には心打たれる。残された幼い竜の子の運命も気になるところだ。
　シリーズの盛り上がりとともに、マーリンも成長し、どんどん頼もしく思えるようになっている。