気ままに読書・のんびり読書
　　　　　―好きな本から話題の本までアプローチ

この本読んだ！
５月の楽しみ

5/28『闇の城、風の魔法』メアリアン・カーリー、小山尚子訳、羽住都装画、徳間書店、2005,04,30、352p
現代の高校生二人が、一族に八百年間も災いをもたらしてきた邪悪な呪いに挑むロマンティックファンタジー。
ケイトは魔法の力を持っているが、周りからは冷たい目で見られている。そんなケイトと、転校してきたジャロードとの出会いから物語は始まる。ジャロードは天候さえ操れる魔力を秘めながらも、自覚もなくかえって魔法を否定する。そんなジャロードに対して、ケイトは惹かれるのだが、優柔不断とか長い物に巻かれるとか意気地なしとかなかなか厳しい目でみている。腹を立てながらも、呪いを解くために自分が闇の城の虜になろうとするケイトの潔さに共感。

5/18『ガストンとルシア�　�3000年を飛ぶ魔法旅行』ロジェ・ファリゴ、永島章雄訳、横本昌子絵、小学館、2005.04.01、317p
　ハローウィンの夜、「魔法の羅針盤」と「謎の本」に導かれた「選ばれし二人」のタイムトラベル！が始まる


5/8『セプティマス・ヒープ　第一の書　七番目の子』アンジー・セイジ、横田美晴絵、唐沢則幸訳、竹書房、2005.05.06、550p

5/7『フェリックスと異界の伝説　１　羽根に宿る力』エリザベス・ケイ、佐竹美保絵、片岡しのぶ訳、あすなろ書房2005.03.30.391P
　「その不思議な世界では、人間こそ伝説の生物だった」
　北米大陸の分水界をまたいだ瞬間に、異界へ送り込まれてしまった少年フェリックス。重い心臓病を患っているため、明日への希望がもてず、かといって投げやりになることもなく、今できることを精一杯やろうとする様子に心惹かれる。科学を妖精たちの前で披露することになるが、その時の喜んでいる姿が浮かび上がってくる。
　フェリックスを助けてくれるベトニーが属するタングル族やディゲラック族、ブラズル、ブリトルホーン…とにぎやかな顔ぶれで、それぞれがこちらの世界で妖精としてよく知られているけれど、少しずつ違っていいるのもおもしろい。何といっても、人間が伝説の生き物であるという設定でありながら、人間フェリックスに対してそれぞれが対等に接している価値観が物語を豊にしている。「もし私たちが人間の世界に行ったらどうなる？」とたずねられたフェリックスが、「捕まえられて閉じこめられる」と答える下りは反論の余地も少なく、人間世界の抱えている問題を考えさせられる。
　フェリックスのかっか得ている問題を解く鍵が、ブラズル（こちらではグリフィン）の羽根の力にあるのはタイトルと、分水界を超えたときのアイアンクロー（数学好きのブラズル）との出会いでわかったが、それがどう解決していくのか、数学で異界への呪文が作れるというのも最後まで目が離せない展開になって一気に読み通せた。
　三部作になっているので、二作目三作目が楽しみだ。

5/2『フェイマス・ファイブ　サーカス団の秘密』エニード・ブライトン、真方陽子訳、小林めいき装画、実業之日本社、2004.12.24、421p　
　今回の謎は、サーカス団と地底トンネル。ねらわれているのは、秘密を知ってしまった子どもたちとクェンティンおじさんの発明。そして、はじめからわかっている悪役。この物語のわかりやすさがいい。わかりやすいから、先が読めるというわけでもなく、スタートとゴールの間に先の読めない冒険がある。読みあきさせない展開と会話を今回も楽しめた。

5/1『蒼路の旅人』上橋菜穂子、佐竹美保、偕成社、2005.05、365p
　〈守り人〉シリーズの中で、チャグムが主人公になる『虚空の旅人』。女用心棒のバルサが活躍するシリーズと元を同じくしながら、闘いよりも少年の心の葛藤と国の平和にかかわる為政者への道という面にスポットが当たっている。その〈旅人〉がシリーズとして展開していくのが『蒼路の旅人』だ。
　一歩を踏み出す前に、あれこれ悩むチャグム。しかし、踏み出しはじめたら誰にも止められないひたむきさがある。自分の国の平和を守るために、自らの存在を表の世界から消してしまおうとすることで、次の展開をあれこれ想像させる終わり方になっている。
　自国の平和のため、となると筋の組み方も駆け引きを組み込むことになるが、それに加えて異界をのぞけるチャグムの特異性が解決のキーとなる展開になるに違いない。明確な対立の構図に、サグ（この世界）と重なり合うナユグが見え隠れし読む楽しさを倍増している。
　〈守り人〉シリーズの二木真希子、〈旅人〉シリーズの佐竹美保、二人のイラストレーターが描き出すにていながら違うイラストに毎回心が引かれる。

5/1『デルトラクエスト�掘。鎧爐療隋�エミリー・ロッダ、はけたれいこ絵、岡田好恵訳、岩崎書店、2005.04.25、293p
　西の歌姫を倒すため、リーフたちは死の島を目指す。その途中、リーフたちがたどり着いたのは寂しげな岬。
「トーラの魔法で守られているはずの灯台がなぜ消えていたのか？デルトラの西の島で驚くべき真実が明らかになる。」
と裏表紙に載せられたコメントが期待感を盛り上げる。
　明らかになった真実は一つではなく、今までのシリーズで読んできた登場人物の兄弟やら、トーラの魔法の力の真実、そして、最後の歌姫の場所、竜ずきのドランに課せられていた影の大王の冷酷さ。シリーズの�機↓兇任發匹�しかったことがほぐれていくおもしろさがある。
　楽しみなのは、ダイヤモンドの竜が守っていた卵からかえった、幼いダイヤモンドの竜のこれからだ。リーフのポケットで成長する竜と、最後の歌姫との闘い…シリーズの完結にむけて『４最後の歌姫』が待ち遠しい。