気ままに読書・のんびり読書
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この本読んだ!
10月の楽しみ


10/22『ミーズルの魔界冒険シリーズ〈1〉 ミーズルとミクロの仲間たち』イアン・オクビー、講談社、2004.10
 2センチの大きさにされ、鉄道模型の中に放り込まれたミーズル。ところが、そこにはプラスチックの人形がいた。その人形がミーズルに話しかけるのだ「それを食べるな」と。悪い魔法使いの魔法にミーズルが知恵と勇気で立ち向かう。ぱっとしないミーズルが本当は、知恵も勇気もあるんだということにミーズル自身が気づいてゆく面白さがある。
 読み始めよりも、読み進めていくうちに楽しさが増す。

10/10〜10/11
『サジュエと魔法の本 下青の章』伊藤英彦、小笠原あり装画、文芸社、2004.10.05、340p
『サジュエと魔法の本 上赤の章』伊藤英彦、小笠原あり装画、文芸社、2004.10.05、296p
 四神経を手中に収め、大陸に君臨しようとする邪導師バオファン。そして、運命に巻き込まれた12才の少年サジュエ。すべての本を手にするのは誰なのか―。
 舞台はタイファン大陸。そこには、魔導師たちが邪法から世界を守るために創り上げた、国際魔導師機構がある。サジュエはバオファンから世界を守るために、彼自身が持つ赤の書と機構の長であるキゲが末白の書を守ろうとする。しかし、邪導師の魔力は強く、四冊のうち三冊が奪われてしまう。「願う心と考える力」が欠けていれば、たとえ大人数でも闘いには破れてしまう。 自らの石でそこに在る事の大切さが随所に織り込まれている。サジュエは12才。ちょうど大人と子どもの境目の年齢だ。自らの足で立つことも、将来を決めることもこれからだ。そんな、サジュエの悩みやら決断に寄り添って読み終えた。
 上下二巻の長編だが、大陸の描写やサジュエを取り巻く人々の像が荒削りの感じもする。また、文章の語尾が「ました」が多く、何となく物語の世界と読者との距離感を感じさせる。帯に「小説」とあるとおりだ。「日本にもありました……」とのコピーだが、あえて「日本」とつけなければいけないのだろうか。そんな疑問がふとわいた。

10/8『樹のことばと石の封印』富安陽子、大庭賢哉絵、偕成社、2004.09、366p
 キツネ一族から贈られた不思議な力(風の耳・時の目・魂よせの口)を持つ三人の子どもたち(ユイ・タクミ・モエ)が、時空を越えて呼び寄せられた世界で活躍する。「シノダ」シリーズの二作目。
 今回は、異世界へ古いタンスの一番下の引き出しから吸い込まれてしまう。そこは、石の匠、館主がいる世界。ところが、復活した大蛇の赤い目のせいで、村人たちは石になってしまった。ユイの友だちもふとした弾みで紛れ込み、石になってしまう。友だちを元の姿に戻し、館主を助け、セキエイの野望に立ち向かう三人。特別な能力を持ってはいても、最後にものをいうのは心のあり方だ。何を大切にして生きるのか。そんな問いかけをユイもタクミもしてくる。
 前回は今の世界が舞台。今回は異世界が舞台。時間のたてと横の軸ができあがって、さて、次回はどう舞台が組まれるのだろうか?