気ままに読書・のんびり読書
　　　　　―好きな本から話題の本までアプローチ

この本読んだ！ 10月の楽しみ

10/24『ダレン・シャンⅨ　夜明けの覇者』Darren　Shan、橋本恵訳、小学館、2003.11.20、262p
　バンパニーズ大王との決戦。しかし、警察に捕まってしまう。ダレン達のそぐわない場所の筆頭とも言うべき人間社会の機構だが、こんな形で立ちはだかる。
　バンパニーズ大王がミスタータイニーから聞いた約束も語られ、ハンター達との一騎打ちとなる。そこで、クレプスリーが命を落とすことになる。この展開を、前作の新聞からなんとなく予測していたが、まさか……という気分だ。

10/23『マジカル・ミステリー・シャドー』芝田勝茂、小松良佳絵、学習研究社、2003.03.30、239p
マジカル塾に通い始めたマコトは、自分の影に覚えさせるという指導方法で、成績がぐんぐん上がっていく。しかし、次第に自分が自分の影に取って代わられてきくことに気づき、マジカル塾のたくらみに気づく。
　途中から「きっと自分の影を自分の足下にとりもどすんだろうなぁ」と結末部分の予想が浮かんできた。しかし、めでたく元に戻るだけではなく、一ひねりしてあって、マコトが塾のたくらみをばらし、そこから子ども達の影をとりもどすまで、目が離せない。

10/22『デルトラクエストⅡ　２幻想の島』エミリー・ロッダ、はけたれいこ絵、岡田好恵訳、岩崎書店、2003.10.15、253p
　ピラの笛の吹き口を手に入れた、リーフ、ジャスミン、バルダの三人は、笛の胴体を求めて二つ目の島オーロン島を目指す。前巻の『秘密の海』では、最初の部分に状況説明があり、なかなか本題＝冒険に出かけなかった。それらの情報が必要とは思いながらも、リーフ達三人の本質は、城で政治を進めることではないと思う。今回は、最初からリーフ達に行動があり、水を得た魚のように感じられる。話がリーフ中心にすすだけでなく、デル城での出来事も展開する。
　三話完結なので、第三巻『影の王国』で、どうリーフが大王に立ち向かうのか楽しみだ。

10/19『ダークホルムの闇の君』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、浅羽英子訳、佐竹美保カバーイラスト、創元社、2002.10.18、496p（創元推理文庫）
　別の世界から事業家チェズニー氏がやってきて40年。魔法世界ダークホルムは今や観光地。しかし、この世界の諸国の財政は危機に瀕し、町も畑の荒れ放題……その原因は、チェズニー氏考案の巡礼観光団のせい。今年の巡礼観光団に対する闇の君が魔術師ダーク。そして、ダークの家族（夫婦、人間の子ども一男一女、グリフィン５頭）が何とかこの事態を乗り切ろうと、試行錯誤の大活躍。
　世界の設定、閉じられた扉、魔物、竜、ドワーフ、エルフ……と、新たな話のおもしろさと、ファンタジーファンなら誰でも知っている登場人物が縦糸と横糸に絡まり合って、息も切らせず話がどんどん進んでいく。最後はハッピーエンドながら、自分たちのことは自分たちで仕切っていくという当たり前のことにやっと気づかされたというほろ苦さも味わえる。
　ドワーフの名前が「ガラドリエル」だというのには笑ってしまった。（『指輪物語』読者にはすぐに通じると思う）
　　　　　　
10/13『さびしがりやのドラゴンたち』シェリー・ムーア・トーマス、ジェニファー・プレカス、灰島かおり訳、評論社、2002.04.25、48p
　塔から遠くを見張っていた騎士が、ある夜うるさい鳴き声を聞いた。鳴き声の主はドラゴン。しかも、３匹のドラゴン。これだけの竿材だと、騎士とドラゴンの闘いとか悲劇的な結末を迎える交流とか、そんなドラマティックなストーリー展開を予想してしまう。けれども、この話のおもしろさは、ドラゴンたちがそろいもそろって寂しがり屋で、体もとっても小さいことから始まる。
　真っ正直な騎士が、鳴き声を聞いて取った行動は、そこに出向いて原因を突き止めること。でも、ほら穴で出会うのは寂しがり屋のドラゴンたち。水が飲みたいとか、歌を歌って欲しいとか、お話を読んで欲しいとか注文がいっぱい。しかも、一匹を寝かしつけて塔へ戻れば次のドラゴンが鳴き出し、そのドラゴンを寝かしつけて帰れば次が泣き出し……と、ふらふらになりながら騎士が何度も出かけるのがほほえましい。最後に３匹そろっての要求はなんと「チュウ」。それで一件落着して、騎士も平和な眠りにつく。
　ドラゴンの新しい味方を楽しめる一冊だ。くわえて、何度も出かける騎士に、愚直なまでの仕事意識と優しさを感じる。おやすみ前のこんなやりとりを、今の忙しい時代は、忘れかけているのかもしれない。