この本読んだ！
７月の楽しみ気ままに読書・のんびり読書
―好きな本から話題の本までアプローチ
この本読んだ！
７月の楽しみ
7/26『オスティア物語 古代ローマの謎ときアドベンチャー』キャロライン・ローレンス、田栗美奈子訳、PHP研究所、2003.03.19、215p
「謎ときアドベンチャー」というので、どんな壮大な謎に迫るのかと期待してページを開いた。
主人公は、フラビアという名の少女。船長である父親と二人暮らし。しかも、船長は一度家を出たら、ずいぶん長い間家に戻らない。
そんなときに、犬にまつわる事件が起きる。誰がなんのために犬を殺したのか？なぜ、首をはねたのか？その謎にフラビアと、隣の少年ジョナサンが挑戦する。謎自体はそれほど複雑なこともない。それよりも、生き生きと描き出される古代の都市オスティアの姿が印象に残る。宗教の問題（キリスト教、ユダヤ教）、奴隷問題とこの時代を舞台にすると避けては通れない事柄が、すうっと自然に語られる。
無事事件を解決した後、８月の休みにポンペイに行くことになって、話に幕が下りる。で、このポンペイ行きが、歴史的？な出来事と重なって、次作になるそうだ。
7/24・25『女王陛下のスパイ！アレックス ストームブレイカー』アンソニー・ホロヴィッツ、荒木飛呂彦イラスト、森嶋マリ訳、集英社、2002、272p
「００７とベッカムの英国から21世紀のニューヒーロー誕生」これが、本書のキャッチコピーだ。主人公は、両親を早くになくした14歳の少年アレックス。ただひとりの肉親であり、後見人でもある叔父イアンが交通事故に見せかけられて殺されてしまうところから話が始まる。いわば、のっけから波乱に満ちた幕開けで、これから先の展開を楽しみにさせられた。
スパイ物と言えば、アクション・どんでん返し、奇抜な装置やアイデアが読者の期待するところであろう。果たして、未成年の主人公で何処まで迫れるのかと、最初は興味半分で読み始めた。コンピューターを国中の中学校でオンラインするなどというアイデアは今風だし、今ではあまりおそれられなくなった天然痘の病原菌をばらまこうとするアイデアも意外性があっておもしろい。
平凡とはいえ、叔父から「かくありなん」といろんな鍛えられたことが、どんどん役に立っている。そんな秘密を読み取るのもおもしろい。
7/21・22『バビロン・ゲーム』キャサリン・ロバーツ、米山裕子訳、集英社、2002.11.30、317p
この物語に登場する子ども達は、ナボニス王の治世（紀元前555から539年）にバビロンに住んでいた。世界７不思議の一つである、バビロンを舞台に繰り広げられる物語となれば、何となく大人が中心になりそうな気がするが、子どもがどう活躍するのかと興味がわく。ティアマットは家業（養母）の香油屋を手伝ってはいる平民として設定され、しかも、黒髪に緑の瞳という珍しい組み合わせだそうだ。この緑の目が、バビロンの秘密を解く鍵になるのだと、後でわかってくるおもしろさがある。
歴史物が好きな読者には堪えられない設定であり、異世界の不思議な生き物に興味を持つ読者にもシルシュが魅力をなげかける。
身分階級や満たされない家族、といった越えなければならない壁を、この少女は、ただ一つの思い「シルシュがかわいそう」で突き抜ける。その行動や発想の大胆さと、動きのテンポの良さで周りの大人を見事に使いこなしている。史実をよく調べてあると思わせる安心感もいい。
七不思議をテーマにしたファンタジーが続つぎにでるようだ。元々不思議な存在である遺跡にどう命を吹き込むのかが楽しみだ。
7/18〜21『ビッビ・ボッケンのふしぎ図書館』ヨースタイン・ゴルデル、クラウス・ハーゲルップ、猪苗代英徳訳、NHK出版、2002.11.25、333p
「レターブックの交換」だという紹介を読んだときは、レターブックがそこかしこに登場するのだろうと考えていた。ところが、レターブックそのもの、つまりニルスとべーリッドのいとこ同士の手紙のやりとりのみがつづられている。二人の間を行き来する間に、「ふしぎ図書館」の謎が解かれていくのだが、なんといっても、二人の読書に対する考え方が文面にはっきりと述べられていて興味深かった。「好きな本を読んでいるときは、まるでその本が、ぼくの考えを外の世界へ飛び立たせてくれるような気がするからさ。本というものは、ただ紙の上にことばや絵がならんでいるものだけじゃなくて、読んでいる人自身も、それを読みながら創作するものなんだ」とニルスが明言している。
7/19『ローワンと白い魔物』エミリー・ロッダ、さくまゆみこ訳、佐竹美保絵、あすなろ書房、2003.07.30、350p
「リンの谷シリーズ」の一応の結末。ローワンのこれまでの軌跡を思い出しながら一気に読んだ。
7/18『盗神伝�供．▲肇螢△僚�王前編 -復習-』Ｍ・Ｗ・ターナー、金原瑞人＆宮坂宏美訳、あかね書房、2003.07.10、329p
前作でジェンの剛胆さにページをおうごとに引きつけられた。 �兇任發�もしろさが薄れることはない。右手首を切り落とされたジェンなので、実際に忍び込んでぶっひんを同行する描写は減った。
９月に後編が出版予定とのこと。早く読みたいと思う。ジェンとアトリアの女王との関係から目が離せない。
7/10『カリン島見聞記 上』ますむらひろし、ポプラ社、2003.05、121p6/21
カリン島を訪れて、いろんな風物に出会ったことが、見開きにイラストと文章で語られる。見つけたことをこんな風に素直に感じ取れたらとっても楽しいだろうなぁと思う。
視点を変えて眺めてみれば、見慣れた風景も違った面を見せてくれるのかもしれない。
