気ままに読書・のんびり読書
　　　　　―好きな本から話題の本までアプローチ

この本読んだ！ ５月の楽しみ

5/25『恋ヶ淵百夜迷宮』たつみや章、波津彬子絵、角川書店（角川ビーンズ文庫）、2002.10.01、223p
　作者のたつみや章は江戸物を書きたかったと、後書きに載せている。たつみや章のイメージからすれば、そこに別世界を出現させて…と思って読み始めたが、想像に反して、舞台はしっかりと江戸時代。伝馬町の牢屋敷もあるし、お堀もある。それに、江戸時代だったら妖怪の類が出てきても不思議ではない感じもする。
　そんな江戸時代を舞台に展開されるのは、ミステリーロマンスも兼ね備えた推理物である。最初から、鯉の化身だと推測できる複線がちりばめてるし、異界のものを目視できたり撃退できたりする特殊能力もほどよく収まっていて、スケールの大きさはあまり感じなかったが安心して読める。
　ハードカヴァーから文庫本に飛び込んだら、わかりやすくなったが、お手軽に成りすぎた気もする。

5/5～5/12『ダークエルフ物語Ⅱ　異郷、アンダーダーク』Ｒ・A・サルバトーレ、笠井道子・柘植めぐみ共訳、アスキー、2003.05.07、471p
　『ダークエルフ物語Ⅰ』は読み進めるのに手間がかかった。それは、メンゾベランザンという特殊な世界を探り、想像し、組み立てながら読み進めねばならなかったから。今回は、Ⅱ。メンゾベランザンとはまた違う世界をゾリッズドは生きるのだが、アンダーダークという世界はメンゾベランザンよりもわかりやすく想像しやすかった。それにくわえて、登場人物になじみがあり、性格まで納得できるので、読み進めやすかった。ますます、ゾリッズトの活躍に期待がかかるし、その相棒の豹に惹かれていく。

5/3『雪にきえた足あと』ルーシー・Ｊ・ブレドソー、はらるい訳、佐竹美保絵、文研出版、2002.09.15、168p　
　表紙のイラストには、雪の中をかたをささえあって歩いている二人が描かれている。ひとりは女の子だが、もうひとりはどちらとも言えない。雪の中で動きにくそうなコートを着ているわけも、二人の背後にそびえ立つおおきなもみの木の意味も読んでみて、初めて納得できる。
　雪の中で迷い、もめ、協力し合う二人が、読み終わってうらやましく思えた。

5/1『セブンスタワー　Ⅰ光と影』ガース・ニクス、西本かおる訳、小学館、2003.05.10、253p
　サンストーン（城に暮らす人々に魔法の力を与えてくれる、偉大な石）を家族のため、自分のために手に入れようとする主人公の少年タル。この少年は、オレンジ階級に属する。この話の設定は、７つの階級に属する人々が、サンストーンとともに暮らしている社会が舞台である。この階級による場の設定は、冒険の目的をとてもわかりやすくしている。下から２番目の階層に属する少年だから、正攻法では求める物が低配あらない、しかも、それをじゃまだてする、悪役人が登場する。女王に助けを求めるが、この女王がなにやら強大で、タルの味方にはなってくれない。
　塔から落とされて、氷原に落ちたとき、それが、タルのターニングポイントとなる。もしも、その存在さえ知らない世界にひとりでさまよい込んだとしたら、一体ないができるのだろうか？サンストーンを奪う冒険は、この時、新しい仲間を生み出す。ところがこれがまた、奇妙な女の子。
　