気ままに読書・のんびり読書
　　　　　―好きな本から話題の本までアプローチ

この本読んだ！ 4月の楽しみ

4/20『盗神伝Ⅰ』Ｍ・Ｗ・ターナー、金原瑞人＆宮坂宏美訳、あかね書房、2003.03.25、382p
「なんだって盗める」
代々、盗人の家系に生まれついたジェンは、町中でそう言いふらしていた。彼にはある重要な目的があったのだ-
これが、ジャケットの見返しに書かれている紹介。何が重要な目的なのか、最初はヴェールで覆い隠されている。そして、時間の経過とともに、メイガスを先頭に進んでいく４人連れの行跡が描かれている。メイガスの木邸は、いにしえの神話の頃、神から贈られたという「ハミアテス」の石。この石を持つ物は、エディス国の正式な後継者になるという。そこで、石を見つけようと、いろんなチャレンジがされている。その仕掛けもおもしろいが、何よりもジェンの心の動きや旅の仲間との関わりが奥が深くて読み応えがある。
「Ⅱ」の出版が待たれる。

結局、最後のどんでん返しにいたるヒントは書き述べられてはいるものの、少ない手がかりを元にいろいろ
4/11『戦場のピアニスト』ウワディスワフ・シュピルマン、佐藤泰一訳、春秋社
　話題になった映画の原作本。どうしても映像がちらついて、読み進めていても画面が浮かんでくる。
もっと、劇的な書きぶりかと思っていたが、意外と淡々としていた。

4/6『魔法がいっぱい』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、田中薫子・野口絵美訳、佐竹美保絵、徳間書店、2003.03.31、232p
　クレストマンシーの外伝。『魔女と暮らせば』『クリストファー魔法の旅』『魔法使いはだれだ』『トニーノの歌う魔法』に登場した子ども達が、また違った登場の仕方をしておもしろい。相変わらず、おしゃれで神秘的なクレストマンシーが魅力的だ。

4/5『ネメシス』Ｊ・Ｍ・ディラード、斉藤伯好訳、ハヤカワ文庫、2003.03.20
　「恐るべきは自らの暗黒面だ」と帯の言葉にある。今回、エンタープライズの艦長ピカードが対するのは、自分のクローン人間という設定。このクローン人間は、ピカード艦長と同じDNAをもってはいるが、同じ歴史を歩んできてはいない。そこから発生する、よりどころを得るために相手を吸収しようとする発想は、奇妙な説得力がある。
　ある日突然、知らないうちに作られていた自分のクローンと対したとき、どんなことを感じるのだろう…。必ずしも、それは嬉しさではないだろうと思える。自分の歴史を持たないもうひとりの自分が存在するのは、容認してはいけないのだという、今の科学への警告を感じる。
　