気ままに読書・のんびり読書
     ―好きな本から話題の本までアプローチ

この本読んだ! 7月の楽しみ

7/22『千年ぎつねの秋冬コレクション』斉藤洋、高畠純、佼成出版社、2001.10.30、64p
 春夏コレクションに続く、千年ギツネの技がさえる。ここでは、千年ギツネの悩みもかかれている。「みんなの期待を裏切らないように」と、どう化けるかを苦慮している。確かに、努力なしに華々しいことをするキツネも魅力的だが、悩んでそこから見事に抜け出すキツネもすばらしい。秋の紅葉はよかったが、冬のサンタクロースはちょっと期待はずれ。

7/20『清明。』加門七海、朝日ソノラマ、2000.02.20、571p
 清明の若い頃の話。夢枕莫の清明のアンソロジーに抜き出されていた。「ぜひ、前編を読んでほしい」というあとがきにつられて、購入した。
 読み終わって、ますます清明の魅力が増した。


7/14『みなぐろグマの森』那須正幹、くもん出版、2002.04.15、160p
 那須正幹の動物物語シリーズは今のところ5冊出版されている。キツネ、タヌキ、野良猫と人間の身近に生きる動物が登場する。その中で、動物たちが精一杯に生きている姿は、人間への警鐘となる。
 母グマの子どもを思う心からでた、捨て身の行動が胸を打つ。「この母グマはなぜ死ななければならなかったのだろう」、「子グマはなぜ発信器を背負わなければならないのだろう」明確に即答できなくても、それについて考える機会を得たことに感謝。
 

7/12『のっぽジカのシッポ』那須正幹、くもん出版、2002.04.15、160p
 那須正幹の動物物語。「人間のすぐそばで生きる動物の 命の輝きを描くシリーズ!」との帯の言葉通り、人間の近くで生きる動物たちの悲しみが伝わってくる。人間がロープを張っても、シカにはなんのことかわからない。そんな場面に出会うたび、今までの動物物とは異なったアプローチの仕方に感銘する。「動物と人間の共生」をどんな視点でするのかを考えさせられた。

7/2〜7/15『指輪物語6 王の帰還 下』トールキン、瀬田貞二・田中明子訳、評論社、1992.05.20、263p
        『指輪物語5 王の帰還 上』トールキン、瀬田貞二・田中明子訳、評論社、1992.05.20、286p
        『指輪物語4 二つの塔 下』トールキン、瀬田貞二・田中明子訳、評論社、1992.05.20、272p
        『指輪物語3 二つの塔 上』トールキン、瀬田貞二・田中明子訳、評論社、1992.05.20、358p
 『指輪物語』はいつからか「つん読」になっていた。でも、6月に映画を観てから、どうしても読みたくなって映画の続きの『二つの塔』から読み始めた。ガンダルフも魅力的だし、エルフ達も目の前にいるかのように浮かび上がってくる。アルゴランが無事に王位を継承できるのか気になったし……読みながら「誰も死ぬことなく、最後まで生をまっとうしてほしい」と思い始めた。「中つ国」と聞くたびに、どうも日本神話の「葦原のなかつくに」を連想してしまう。もちろん訳であるので、訳書の語句の選び方一つ一つが大切になる。「中つ国」の広がりが、添付されている地図とともに広がっていく。
 今回の装丁の変更で、カヴァーが3色になり、アラン・リーの挿絵がイメージをかき立ててくれる。『旅の仲間』は上下とも、以前の装丁ので持っていたが、イラストは今回のには及ばない。色使いも深みがあり、枠に囲まれた治カヴァーデザインは、その中に読むべき世界があることを象徴している。「『指輪物語』の世界へようこそ!」と題されたパンフがついていて、登場人物の紹介や地図が盛り込まれている。人物関係を確かめたり、旅人の足跡をたどるのに大いに役立った。
 3/4/5巻はそれこそ夢中に読んだが、6巻は戦い後のそれぞれの進むべき道についてかかれていて、ちょっと読みづらかった。しかい、一つの世界が次に入れ替わるという、それこそ大きな構想だから、きちんと事後処理も語りおく必要があるのだと思った。

7/7『ドラゴンランス3 氷壁の白竜』マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン、安田均訳、アスキー、2002.06.12、406p
7/6
『ドラゴンランス2 城砦の赤竜』マーガレット・ワイス&トレイシー・ヒックマン、安田均訳、アスキー、2002.05.08、319p
 待ちかねていた続編が届く。近所の書店になかったので、ネットで注文しておいたのだ。
 ハーフエルフのタニスを取り巻く、エルフ、ドワーフ、魔法使い、癒し手の魅力が増す。中でも、ケンダー族のタッスルホッフがおもしろい。いるとうるさいけれど、いなくなると気になって仕方がないというのがひしひしと伝わってくる。
 ドラゴン卿は以外とあっけなく破れたが、ドラゴンはすごい。個性的で、正確?でそのまがまがしさが、浮かんでくる力強さを持っている。

 ついには、善いドラゴンが登場する。銀色のシルバードラゴン。
 次回は、金竜もでてくるのだろうか。どんどんはまっていくのがわかる。

7/1スターウォーズ エピソード2 クローンの攻撃』ジョージ・ルーカス原作・R・A・サルヴァトア著、富永和子訳、ソニーマガジンズ文庫、2002.06.13,]431p
 映画の公開を待ちきれなくて買った。アクションと恋愛の小説だったと思う。
 428pからの解説で、高貴準三氏が「本書ほど見事に映画とリンクして仕上がった映画ノベルは珍しいと、まずは声を大にして言いたい」と書いている。これを読めば、謎のママにしてある箇所以外すべて理解できる仕組みであるという。エピソード1も今までのシリーズも全部観たので、読んでいてまさしく映像が浮かんでくるようだった。ただ、成長したアナキンの姿や年を経たオビ=ワンのイメージがふくらまないくらいだ。それは、映画を観てからのお楽しみにとっておこうと思う。
 映像化された物語を観て、一番がっかりするのは物語中の仕掛けが省かれていたり、ラストシーンが違っていたりすることだ。『ハリー・ポッターと賢者の石』はハーマイオニーが薬を推理する場面も、ドラゴンを運び出す場面もなかったし、ハグリットがハリーに写真集を渡す時が違っていた。さきに物語を読んでいたので、ちょっとがっかりした。しかし、映像の影響力は絶大で、その後『ハリー・ポッターと賢者の石』を読み返すときには、ハグリットは映画の中の大男だし、ホグワーツ城のイメージもクディッチ会場も映画のままだ。このことが、想像力にどうか変わっているのか興味のあるところだ。