気ままに読書・のんびり読書
　　　　　―好きな本から話題の本までアプローチ

この本読んだ！ ５月の楽しみ

5/1９『大魔法使いクレストマンシートニーノの歌う魔法』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、野口絵美訳、佐竹美保絵、徳間書店、2002.03.31、304p
　魔法の呪文作りで名高い二つの家が、反目し合うカプローナの町。両家の魔法がなぜか弱まって、他国に侵略されそうな危機の中、活路は失われた「天使の歌」を見いだすことしかない。だが、おとな達は「危機は悪の大魔法使いのせい」というクレストマンシーの忠告に耳を貸さず魔法合戦を繰り広げる。
　クレストマンシーシリーズは四巻じたて。前から楽しみにしていた最後の一冊が発売になった。四冊ともそうだが、子供の描き方がとても生き生きとしていて、まるでそこにいるようだ。しかも、完璧ではなくどこか欠点があったり（本人が思いこんでいる場合もある）自信をなくしていたりと、机の横の席に座っていても違和感がないだろう。
　今回は魔法合戦がおもしろかった。魔法で戦い合うというちょっと想像できないようなケンカを、目に浮かぶように描いている。絶対現実に起こらないだろうから、よけいにおもしろい。紙で作り魔法をかけて動いている馬車の馬がだんだん崩れていくところなども、心配だけどおもしろい。崩れていく馬は、カヴァーの裏表紙に佐竹美保がそのもののように描いている。
　あいかわらず冷静なクレストマンシーだが、どんどん熟しているようで、もっとバイタリティーを感じさせる活動があってもいいかなぁと思う。

5/1８『不死の怪物』ジェーン・ダグラス・ケルーシュ、野村芳夫訳、文春文庫、2002.01.10、406p
　読むことになったきっかけは、ネット販売の「売れ筋関連情報」。ダレン・シャンのを調べていたときに関連情報のコーナーで見つけた。「幻の傑作とされていたホラー・ミステリーの壮麗な金字塔をついに本邦初訳」だそうだ。
ないようは、イギリスのサセックスが舞台で、人の支配の及ばぬ夜が存在する空間でストーリーが展開する。話の中心は人狼であるが、魔術もでてきて、咲舳先へと読みたくなる筋立てになっている。
『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』で人狼がでてくるが、伝説を持たない読み手では、世の恐ろしさは真に伝わってこない気がする。しかい、こＲの『不死の怪物』を読むうちに、人狼のおぞましさや嫌悪感がよく伝わってきた。
最後は、ハッピーエンドで終わりほっと安心した。

５/11『ダレン・シャンⅣ　バンパイア・マウンテン』Darren　Shan、橋本恵訳、小学館、2002.04.20、254p
　『バンパイア・クリスマス』から楽しみにしていたバンパイアマウンテンへの旅が始まる。今回は、前よりもいろんな秘密がわかる反面、結末のない「つづく」にため息が出そうだ。ミスター・タイニーの正体のようなものがちらりと見えたり、リトル・ピープルの正体がわかったりと、読み進めるにつれてますます引き込まれる。
　オオカミとの出会いも興味がある。ダレンとオオカミの別れは情感たっぷりだし、クレプスリーの師匠も登場したりと、登場人物も盛りだくさんになってきて、関心が高まる。それだけに、5・6という大きなまとまりの読破が待ち遠しい。
　ダレンへの親しみも増すが、それにも増してクレプスリーの魅力に引かれる。二人の人間関係（バンパイア関係）の深まる様子がとてもいい。
　Ⅴでは、バンパニーズとの戦が予想されるが、クレプスリーのみに何かおこらないようにと願ってしまう。

５/６『放課後の時間割』岡田淳、偕成社、1990.11、197p、偕成社文庫
　図工室の天井からはしごを伝って降りてきたのは「学校ネズミ」。「ぼく」は驚くけれど、学校ネズミの話してくれるお話にどんどん引き寄せられていく。
　岡田淳の他の作品同様学校が舞台となっている。そこに描かれた図工の先生は、とても自然体というか身近に感じられる普通の雰囲気がある。それが、不思議な経験を普通に体験していくのがおもしろい。
　月曜日ごとにネズミが語ってくれるお話は、もちろん学校が舞台。学校の中のポプラ社並木がちょっと感覚が不揃いだったりとか、模型のマリオネットの糸が絡まっていたりとか、机の模様とか、子ども達が目にしている学校を素材にしている。机の模様が宝島の地図になったり、絡まったマリオネットが実はとんでもない冒険をしていたり……
　読み終わって、絶対あり得ないなぁと思えない。こういうことが起こっても別段不思議じゃない、そんな作品。この作品を読むのは数回目だけれど、岡田淳の学校を舞台にした作品を読むと、次の日、この黒板がすっと透明になって、自分だけ隣のクラスが見えたらおもしろいだろうなぁとか、教室のメダカがしゃべり出したらおもしろいだろうなぁとか、ｒちょっと楽しい気分になる。