気ままに読書・のんびり読書
―好きな本から話題の本までアプローチ
この本読んだ!
4月の楽しみ
4/17『くもりのちはれせんたくかあちゃん』さとうわきこ、福音館書店、2002.04.01、32p
『せんたくかあちゃん』の続編が三十数年ぶりにでるという話を耳にし、予約しておいた。届けてもらった表紙を視て、年をとらないせんたくかあちゃんの様子に一安心。
今回も登場するのはかみなりさま。「あらってくれい」とおなじみのせりふを目にして、楽しくなった。かみなりさまは、凧の糸につながって、ほされてゆらゆらと空高く上っていくのがねらい。それをうけて、「まかしとき」と腕まくりする母ちゃんの元気のよさも気持ちいい。「せんたく」をモチーフにして、またパワーあふれるおもしろさを分けてくれる。
高く上って気持ちがいいはずのかみなりさまは、干されすぎてごわごわ。この落差も笑える。失敗かと思わせておいて、でもかあちゃんは動じない。「おゆにつければいい」とおふるろにほり込む。どもまでもいせいのいいかあちゃんだ。子ども達は、母ちゃんの頼もしさに安心して最後まで話を楽しめる。
ちょっと世間に気っぷの良さや、パワフルな前向きさが減ってきているこのごろ、このせんたくかあちゃんのすっきっとした行動は、大人が読むとまた子どもとは違った元気をもらえる。
4/15『ほこらの神さま』富安陽子作、小松良佳絵、偕成社、2002.01、210p
富安陽子の作品はどれも興味深く、不思議な世界の取り扱い方が身近でいて、でもどこか懐かしい感じがするのが大好き。それで、この作品も出版直後手に入れて、すぐ読み始めたのだけれど、途中でストップしていた。(仕事の都合で)
拾ってきた祠を、自分たちの秘密基地に隠して設置するという3人組の5年生の行動は、ちょっと前の小学生なら誰でも似たような経験を持っているに違いない。私も小学生の頃、冒険と称して土管をくぐり、誰もいない朽ちかけた小屋を秘密基地にし、時には捨て犬をそこで飼ったりもした。今は、そんな時間も空間もなかなか子ども達にはない。だから、この3人の行動をどう感じ取るのだろうかと、読んでいて興味を持った。
学校生活と祠の関わりが新鮮だったけれど、神懸かり的な物が登場するのかもしれないという期待は裏切られ、神様自体は現れずじまいに話が進んでいった。そこが、ちょっとほかの富安陽子作品とは違っていた。もっと、異質の物をぐいぐい描き出した方がおもしろかったような気もする。読み終わって、タイトルとは違って学校物の少年談のような感想を持った。その意味では、3人がそれぞれ個性的でおもしろかったのだけれど……
富安陽子には、もっと異世界のおもしろさを描いてほしいような気もする。
4/7『白い犬とワルツを』テリー・ケイ原作、三木卓文、YUJI絵、ゆまに書房、2002.03.05、32p
『白い犬とワルツを』は昨年話題になった本。文庫本で出版されているのが、絵本になったというので早速読んでみた。
帯の言葉に、「あの感動のロングセラー「白い犬とワルツを」がきれいな絵本になにました」とある。少し小ぶりの厚みもあまりない体裁で手に取りやすい。イラストは深みのある色合いで、子ども向けと言うより、やはり大人読者を意識している気がする。内容はわかりやすく、文庫本を読んでいてもいなくても楽しめる。文を書いた三木卓は「孤独の深さ、愛の深さ」とこの物語をとらえている。孤独と愛、難しそうだけれど、ひとりぼっちの子ほどやさしいこともあるので、これは子どもであるとか、大人であるとかを問わないのだろう。ただ、今までの経験の層がどれだけあるかで、受け止めるショックの違いがあるのだろう。