この本読んだ！
10月の楽しみ気ままに読書・のんびり読書
―好きな本から話題の本までアプローチ
この本読んだ！
10月の楽しみ
10/27『こおにと山んじい』おのりえん、さもじろう、佼正出版社、2002.07、64p
二人のこおにがかわいい。自分のふるさとの山に少し飽きてきて、遠くへ行きたいという気持ちを抱いている。でも、山んじいの手伝いをして、木に変えられた人間の木を探して回るうちに、少しずつ山の本当の良さがわかってくる。山んじいにつれられて、高い木のてっぺんから山を見下ろしたときの、二人の素直な感動がとてもいい。
子どももいつかは育ったところから巣立っていくけれど、その前に自分のふるさとの真の姿を知っておいてほしいと思った。
10/26『ドングリ山のやまんばあさん』富安陽子、大島妙子、理論社、2002.09、148p
やまんばあさんは元気いっぱい。大きな声で歌も歌うし、スピードあふれる移動もするし。なによりも物事に前向きで、好奇心を持っているのがいい。
山の中で一人で住んでいるが、人間の町への関心も持っている。そんなやまんばあさんの元に、一枚の広告が飛んできたことから、数百年ぶりの町行きが実現する。人間の方は誰も招待していないなかで、機嫌良く町へやってくる。そこで出会ったのが、ひとりのおばあさん。このおばあさんを巻き込んで、話が進む。一人で生きているやまんばあさんがおばあさんとの語らいの時を持つことで、少し寂しさを感じるところが切ない。知ってしまうとそれがなくなるのが怖くなるのだ。でも、やまんばあさんは、おばあさんと温かい別れをするのがよかった。
少し心残りは、話の中に若い人間が登場しないことだ。若い人間では、純粋で、パワフルなやまんばあさんに釣り合わないのだろうか……
10/24〜26
『ハリーポッターと炎のゴブレット 上』J・K・ローリング、松岡佑子訳、静山社、2002.11.01、559p
『ハリーポッターと炎のゴブレット 下』J・K・ローリング、松岡佑子訳、静山社、2002.11.01、583p
春から予約していたので、読むのが楽しみだった。いざ読んでみて、「え〜っ、今年はクデイッチも寮杯もないの！？」とまずは驚き。確かに魔法対抗戦もおもしろいが、ハリーにはやはりクディッチの試合で活躍してほしい。今回の目玉は、魔術学校がイギリス以外にもあることと、その学校のと友好関係が今まではうまくなかったこと。そして、何よりもヴェルデモルト卿の復活といえる。
で、それがきっと次からの展開を楽しみにさせるのがこの巻の役目かなぁとも思う。
二巻組で、息つく暇もなくちょっと意地になって読み終えた。また、もう一度今度はゆっくり読み直そうと思う。
10/23『DIVE!!４ コンクリートドラゴン』森絵都、講談社、2002.08.08、236p
待望の、シリーズ完結編。ダイブに真剣に向き合う３人の少年。オリンピックの出場枠は１人。３人が３様に個性的で、シリーズを読むうちに、森絵都はいったい最後はどう出場選手を決めるのだろうかと、ある意味興味を引かれた。きっと、この結末は、どの少年のファンもそれぞれに納得だろう。でも、こんなに四人ともの落ち着きを納めてしまっていいのかなぁとも思う。
少年を取り巻く登場人物が、回想してそれぞれの思いを語る部分も多く、今までのシリーズの穴埋めにもなっている。
興味を引かれたのは、『走れメロス』の解釈だ。メロスは、解き放たれて妹の結構式に出席する。そこで多くの時間を過ごし、最後はぎりぎりになるのだが、要一の口を借りて、「メロスは追い込まれないとすべての力を出し切れないタイプ。だからこそ、時間を無駄に過ごして自分を追い込んだのかもしれない」と語っている。時間を無駄に過ごしたのではなく、自分をわざと追い込んだとの解釈になぜか納得してしまった。
10/2１『デルトラ・クエスト２ 嘆きの湖』エミリー・ロッダ、岡田好恵訳、はけたれいこ画、岩崎書店、2002.09.17、199p
シリーズ２作目。今度行く手に立ちはだかるのは、魔女のテーガン。直接対決まではどんどん盛り上がっていった。それにしては、あまりにも魔女が簡単に負けたような印象を持つ。もっと、一行を苦しめる存在であってほしい。
10/20『デルトラ・クエスト１ 沈黙の森』エミリー・ロッダ、岡田好恵訳、はけたれいこ画、岩崎書店、2002.09.17、191p
ここはデルトラ王国。王家に伝わる７つの宝石が、国を守っている。その宝石が影の大王に奪われる。デルトラを救うために１枚の地図をたよりに、少年が冒険の旅に出る。
この設定はそれほど珍しいものではない。奪われたり、持ち去られたものを取り返しに旅立つのは、冒険とスリルに満ちている予感を読者に与える。きっと、途中で飛んでもない怪物がでてくるとか、誰かが裏切るとか、また強力な味方が出現するとか。ストーリーの背骨は最初に示されるので、後はどんなわくわくが展開されるかが、読み続けるポイントになる。
帯の言葉に「本ぎらいなこどもたちをも夢中にさせる！愛と友情と闘いの痛快ファンタジー」とある。この「沈黙の森」では中盤以降から話がおもしろくなってくる。やはり前半はいろんな条件を語らねばならないので、それがあまりおもしろくない。今のところ道連れが２人から少女を交えた３人になっている。多くの冒険ものやファンタジーでは紅一点プラス知恵者、勇者、ムードメーカーがチームを組んでいる。とすると、この話もまだ旅の仲間が増えそうだ。シリーズは全８巻。先を読むのが楽しみだ。
翻訳版でのイラストは、はけたれいこ。ゲームデザイナーとして活躍中とか。ペーパーバックの新書版だが、背表紙も、表表紙もひときわ目を引く。こんなところも、子どもには魅力になるに違いない。
10/1『ダレン・シャン�此．丱鵐僖ぅ笋留震拭�Darren Shan、橋本恵訳、小学館、2002.10.20、232p
また話がもりあがってきた。おおかみのストリークとの再会が印象的で、ドラマチックだった。
シリーズとしては、中だるみが感じられ始める頃だったが、この�困任泙親票圓魄�き戻したのではないだろうか。
試練に失敗したダレンだが、バンパイアのために命をかけて戦う。この潔さをバンパイアが認めないはずはなく、そこで、いったいどう解決をつけるのだろうかと、興味があった。ルールを変えずにダレンの命を救う方法が最後に示されるが、思わず「う〜ん、その手があったか」と感心した。
一方、バンパニーズ大王の姿も次回から見えてきそうな複線が語られ、楽しみだ。ここでも、炎の棺に入って無事生還したのが、人間だというところで、想像をたくましくしてしまった。ひょっとしてその人間とは、昔ダレンと友達だった、そして、いつの日かバンパイアを殺してやると叫んだ、あのスティーブではないだろうかと……。
ただ、クレプスリーの影がだんだん薄くなってきているのが、ファンとしては残念だ。もっと、超然としたバンパイアであってほしいと思う。
