気ままに読書・のんびり読書
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この本読んだ!
1月の楽しみ
1/29『月冠の巫王』たつみや章、東逸子、講談社、2001.12.17、334P
遠い遙かな昔。月の神を敬い、すべての自然にカムイを見て暮らす縄文びとと、日神を奉じて海の向こうからやってきた弥生の人々との間に、血で血を洗う激しい争いが起こった。
信じる神も生活様式も異なる二つの文明の相克は深く、和解は全く不可に見えたのだが……。戦乱の世に平和をもたらす二人の少年達の熱い友情と運命をいにしえの日本を舞台に描く。
『月神の統べる森で』を読んでからの雄大なストーリーがいろいろな展開を経て終わった。この四巻目を待ちわびていたが、ポイシェマがオオモノヌシと真実の名を得てからの活躍に興味を引かれた。もともと、日本の神話にとても興味があり、ことに、荒ぶる神の代表である素戔嗚尊や大蛇にはいつでも引き寄せられる。自然界の力を増幅したり、普通の人間にはない不思議な力を持った人々は、洋の東西を問わず存在したとも思う。
今、魔法ブームだが、こんな日本古来のすざましいエネルギーにももっと目が向くといいと思う。
1/27『魔法使いは誰だ』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、佐竹美保、野口絵美訳、徳間書店、2001.08.31、304P
「このクラスに魔法使いがいる」のメモに寄宿学校は大騒ぎ。魔法は厳しく禁じられていて、魔法使いは見つかり次第火あぶりの刑になるからだ。追いつめられたナンと仲間たちは古くからの言葉を叫ぶ。「クレストマンシー」と。
「大魔法使いクレストマンシー」シリーズの1作目。
鬱積した思いを抱えた少女や少年が登場し、日常生活に奇妙な出来事を巻き起こす。靴が降ってきたり鳥が飛んできたりと、おもしろい。
待ちかねていたクレストマンシーは、後半登場するが、やはりそれから後の展開の方がスリリングでおもしろい。
シリーズのおかげで、世界の存在についての知識が豊富のなったので、どうやってゆがめられた世界を元に戻すのかと興味があった。
1/16 『アブラダと空飛ぶ絨毯 空中の城2』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、西村醇子訳、佐竹美保、徳間書店、1997、280P
バザールの若き絨毯商人アブラダは、ある日本物の空飛ぶ絨毯を手に入れて、絨毯に連れて行かれた夜の庭で、謎の姫君と恋に落ちる。ところが、二人が駆け落ちしようとした矢先、姫が巨大な魔神にさらわれてしまう。姫を取り返すと誓うアブラダ。精霊(ジンニー)や兵士がいっこうに加わりますます話が急展開していく。ハウルの力を借りようとしたが、行方不明。とストーリーは次々と展開する。
しれはおもしろいのだが、「1」ではハウルや火の悪魔カルシファーのファンになったものにとっては、物足りなさを感じる。ハウルよりも強い魔神なんて、ちょっとがっかり。最後には、ハウルのことも火の悪魔のことも種明かしがされるのだが……アラビア色が濃い世界で、魔法の魅力が少し薄まった気がする。
1/14『魔法使いハウルと火の悪魔 空飛ぶ城1』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、西村醇子訳、佐竹美保、徳間書店、1986、312P
以前に読んだ本だが、最近読んだクレストマンシーシリーズにつられて、ダイアナ・ウィン・ジョーンズの作品を読んでみたくなって読み返した。
魔法が本当に存在する国インガリーに生まれたソフィーは、魔女に呪いをかけられ、老婆に変えられた。うぬぼれ屋で移り気な若い魔法使いハウルの城に移り住んだソフィーは、城に住む火の悪魔や仲間たちと一緒に魔女と戦おうとする。
ソフィーは3人姉妹の長女で、自分はうまくいかないと思いこんでいる。そんなソフィーだが、老婆にされてからというもの、ものの見方も変わり元気いっぱい、ハウル相手に一歩も引けをとらないのがおもしろい。
ストーリーの展開もテンポよく、あちらこちらでいろんな出来事が起こり、最後は魔女の正体にあっと驚かされる。読むうちに火の悪魔にも情が移るようで、暖炉の煙突から飛び出したときには帰ってきてほしいとも思った。
イラストは佐竹美保。細かいところまで描き込まれた表紙の魅力に否応なしに引きつけられる。姉妹編が『アブラダと空飛ぶ絨毯』だが、これも近々読み返してみようと思う。
1/7『大魔法使いクレストマンシー魔女と暮らせば』ダイアナ・ウィン・ジョーンズ、田中薫子訳、佐竹美保、徳間書店、2001.12.31、304P
クレストマンシーシリーズの第3作目。
両親を亡くした、グエンドリンとキャットの姉弟は遠縁に当たるクレストマンシーの城に引き取られた。だが、将来有望な魔女グエンドリンは城の暮らしが窮屈で我慢できず、魔法で様々な嫌がらせをしたあげく姿を消してしまう。代わりに現れたのは別の世界から現れたそっくりな少女ジャネット。キャットはどんどん自分が困難の中に引き込まれるのを感じ、頭を抱える。
キャットの左手の小指にはすごい魔力が秘められているが本人は気がついていない。まして、自分が9つの命を持つ大魔法使いだなんて思ってもいないし、魔法を使えないと信じている。そんなキャットの魔力と命を利用しているのがグエンドリン。クレストマンシーが銀の呪いで封じ込められたり、黒魔術師が企みをしたりと、最後まで目を離せない。
最後に、ほっとした暖かさが広がるのは、シリーズ2作目の『大魔法使いクレストマンシー クリストファー魔法の旅』と同じ。
1/4『レイチェルと魔法の匂い』クリフ・マクニッシュ、金原瑞人訳、理論社、2001.12、292P
復讐のために地球に押し寄せた魔女軍団。魔法の匂いが世界に満ちるとき、いったい何が起こるのか!
『レイチェルと魔法の呪文』に続く第2弾。
今回は、地球が舞台となる。地球の子供たちは秘められた魔力を誰もが持っているという設定。それを、大魔女たちが悪用して復讐しようとするのだが、例ちぇるの活躍で阻止される。前作でちらっと登場した魔導師のラープスケンジャが大々的に助けにくるが、あまりかっこいい姿ではなく、むしろ、生身の傷つきやすさを感じさせる。
地球から子供たちがいなくなった世界が最後に描かれ、3作目へと誘っている。
1作目に感じた魔女への驚きや新鮮さがなくなり、ちょっと中だるみのような気もする。