6月読み聞かせの実践

日付 書 名 作者 絵画者 発行所 発行年 登場人物
6月29日 3びきのコブタとまぬけなオオカミ ジョナサン・アレン/久山太市訳 評論社 1998 オオカミ、コブタ
<S>大きくてわるくて、そしてとってもまぬけなオオカミが、3びきのコブタの家を3回も尋ねてきました。コブタたちはもううんざり。そこで、おおかみをしぬほどびっくりさせてやることにきめました……
<R>これも『3びきのコブタ』のアレンジ。最近このアレンジを読み聞かせているせいか、オオカミに同情する子どもたちも多くなってきている。読み終わることには、間抜けなオオカミがちょっとかわいそうにも思えてくる。けれど、オオカミのやっていることは本当にどこか変で、もうちょっとなんとかならないものかとも……
 原作の題名は『WHO′S AT THE DOOR?』である。「ドアのところに誰がいるの?」だが、この題名からは、もとの『3びきのコブタ』は浮かんでこない。読み手の読みたい感をくすぐるには、よく知られている話のアレンジである方を訴えたかったのであろう。これほど表現が違うと、それぞれの国での扱いが違うのではないかと考えてしまう。外国の作品は原作のタイトル表示を眺めてみることも必要かと思う。
6月28日 おじぞうさん 田島征三 福音館書店 1988 おじぞうさん
<S>始まりはおうめばあさんが、ねしょんべんがなおるようにおじぞうさんに願をかけたこと。それが事件を呼び、その事件がまた次の事件を引き起こす…
<R>「きょうのはなしはなに?と元気のいいかけ声があがる。それに答えて、『おじぞうさん』を読む。
語り口調のみ時間分なので、次々起こる十分事件を整理出来るように、ゆったりと間を取る。あわてて何かをかまわず釣り竿をひっぱる場面では、何が引っかかっているかそれぞれに予想した。青梅婆さんが引っかかってきて、話が振り出しに戻っていくのを楽しんだ。
 読んだ後、田島征三のことについて、少し人物紹介をした。
6月27日 ねぎぼうずのあさたろう その1 飯野和好 福音館書店 1999 あさたろう
<S>色白でまん丸顔のあさたろうは、元気なねぎぼうず。わけあって生まれ故郷を後にします…
<R>先に『ねぎぼうずのあさたろう その3』を紹介した。その1では、あさたろうが、ネギ畑から飛び出した様子も描かれて、「なるほどこんなわけで旅に出たのか」と納得できる。
 飯野和好が最近手がけている股旅物は「くろずみ小太郎」からはじまって、「あさたろう」へと広がっている。途中、浪曲風に読むところがあるが、本物らしくうなりを入れて読むと楽しい。
 この絵本は団体貸し出しで、借りている本の中から選んで読んだ。さすがにもう読んでいる子が多くて、自分で読んだときと何となく違うと呟きながら聞いていた。自分が読んだ本をもう一度聞くと、違う情景が見えてくるのかもしれない。それは音声の不思議さとも言える。
6月26日 おとなってじぶんでばっかりハンドルにぎってる W・スタイグ/木坂涼訳 セーラー出版 1999 おとな
<S>大人のすることって、奇妙なことや迷惑なことばかり……大人の生態38態。
<R>「おとなって……」から始まる一文とイラストレーションで、子どもから見た大人の生態が描かれている。「おとなってすぐつかれる」や「おとなってじぶんばかりでんわしている」「おとなってあさねぼう」など、自分の身の回りの大人を思い浮かべながら、楽しく聞けた。最後の「おとなってじぶんでばっかりハンドルにぎってる」では、妙に納得させられた。子どもがハンドルにぎったら、きっとどこかへ飛んでいって行ってしまいそう…
6月25日 ?あつさのせい? スズキ・コージ 福音館書店 1994 うま、きつね
<S>うまのはいどうさんは帽子を忘れ、それをひろったきつねはカゴを忘れ、それをひろったブタの三吉は……
<R>この本を手に持って廊下を歩いていたら、「あっ、『サルビルサ』のスズキコージの本や!今日はこれかな?」と子どもの声。机の上に置いておくと、帰るまでの時間の間に、3・4人の子が手にとって読んでいた。
 ばばばあちゃんの絵本も用意していたが、今日ほど蒸し暑い日には『あつさのせい?』にすかさず決定。暑くてしんどいときには、インパクトのある絵と、ユーモアな内容がいい。
6月22日 出張のためお休み  行事で出し物をする話し合いをした。『11匹のネコ』や『3匹のかわいいオオカミ』をアレンジしたいという意見が出た。クラスで共通の話題がある利点がいろんなところで生まれている。
6月19・20日 修学旅行
6月18日 だんごどっこいしょ 大川悦生 長谷川知子 ポプラ社  1983 ぐつ
<S>ぐつは元気いっぱい名男の子。ある日、町のおばさんのところへお使いに行き、団子を食べます。帰り道「だんご、だんご…」と唱えていたはずが…
<R>ご飯を炊く竈の番を頼まれたぐつは、いつまでも「ぐつぐつ……」といわれて、釜の中へほうりり込んでしまう。ぼうさまを呼びにいくのを頼まれて、カラスに呼びかける。ぐつが何かするたびに笑いが起こる。最後は、落語のネタにもある、覚えた名前がどんどん変わっていく話。元気いっぱいのぐつを表現するためにも、話の展開をおもしろく聞かせるためにも、読むテンポと間の取り方が大切。
 読み終わった後で、外国の話にも似たようなのがあると話し、『ベーコンわすれちゃいやだよ』を紹介する。
6月16日 プキー アーサー・ガイザート/村岡寛訳 ジー・シー・プレス 1993 ブタ
<S>朝一番。母ブタよりも早く目ざめた子ブタたちは、そおっと農場の外へ……
<R>『ブー』の続編。こっそり逃げ出した子ブタたちですが、あっさりと母ブタに見つけられてしまう。いたずら者の子ブタを連れ戻す母ブタ。セリフは「プキー」と「ブー」だけだが、それがかえっておもしろさを増加させている。
 『ブー』も『プキー』も鳴き声だけでその場を表現するおもしろさがある。読み手の読み方しだいで、魅力が増すとも言える。
6月15日 ブー アーサー・ガイザート/村岡寛訳 ジー・シー・プレス 1993 ブタ
<S>朝日が昇る頃、母ブタは子ブタを連れて散歩に出かけます。途中で、母ブタが昼寝の最中に木の実を取ろうとした子ブタですが……
<R>出てくる言葉は、子ブタの「プキー」と母ブタの「ブー」だけ。それでも何を言いたいのかが伝わってくるのは、イラストレーションの場面設定がうまいからだ。特に、母ブタの表情が最高。昼寝から目ざめて、はっとして周りを見回すとき、子ブタがどこにいるか気づいたとき、びっくりした子ブタにつかつかとを歩み寄るとき…人間の言葉でないのがこれほどおもしろいと思える一冊。
6月14日 行事の都合でお休み
6月13日 3びきのかわいいオオカミ トリビザス/小玉知子訳 H.オクセンバリー 冨山房 1994 オオカミ、大ブタ
<S>無邪気な三匹のかわいいオオカミの兄弟が、家を建てますが、悪い大ブタに次々と壊されます。そこで、作り方を根本から変えることに…
<R>これも『3びきのこぶた』の変形。ちょうどお話が逆さまになっていて、オオカミはかわいく描かれている。大ブタの破壊の仕方も中途半端ではなく、ドリルにダイナマイトとと、悪の限りをつくすという感じが十分出ている。
 最後に花の家を建てるのだが、「花のにおいに酔う大ブタ」まではテンポ良く進んでいるが、ここからはちょっとまどろっこしくて、読んでいても単調になる。
 オオカミは逃げるときに、ティーポットを持ち出すが、そのポットが見開きにデザインされている。何故ポットなのかも、読んでいるうちに分かってくる。そういう見方も知っておくと楽しい。
6月12日 せんたくかあちゃん さとうわきこ 福音館書店 1982 かあちゃん、かみなり
<S>洗濯好きな母ちゃんは家の中の汚れ物を次々と洗って干しました。と、ガラガラッ!かみなり様がおへそをとりにやってきた。
<R>ばばばあちゃんのシリーズを紹介してから、時々話題に上っていたせんたくかあちゃんを読む。話を知っている子も多かったが、自分の記憶を振り返りながら聞いていた。
 ばばばあちゃんといい、せんたくかあちゃんといい、意志のはっきりしたたくましい女性が描かれていて、読んでいても気持ちがいい。男の子にも受けるのは、そんな女性たちの性格によるところが多いのかもしれない。
6月11日 三びきのコブタのほんとうの話 ジョン・シェスカ/いくしまさちこ訳 レイン・スミス 岩波書店 1991 オオカミ、コブタ
<S>三匹の子豚の有名な話。加害者といわれているオオカミが真実を語る!
<R>「三匹の子豚の話を知っている子」と尋ねると、ほとんどの子がうなずく。「では、オオカミの言い分を知っている人」と切り返すと、知っている子はいない。そこからこの話のおもしろさが始まる。よく知られている話の見方を変えればどうなるか、こんな発想七か泣かないが、実際に立場を変えてみたとき、元の話しに共通認識があればあるほど、みんなで楽しめると言える。オオカミの主張を、へりくつと取った子、なるほどと取った子、おもしろいと取った子…様々であった。
 オオカミの言い分は「目の前にハンバーガーがあれば、君ならどうする?」「食べ物を腐らせるのはもったいない」というごく普通の主張である。コブタが美化されすぎているのではないかという疑問の投げかけともとれる。
 この他にも『三びきのかわいいオオカミ』という話があることを紹介して、次回の楽しみとした。
6月8日 団体貸し出しの中から、おすすめの本を紹介
6月7日 都合でお休み 『せんたくかあちゃん』を用意していたが、時間がとれなくてお休み。5月の朝会で紹介した『だれがいちばんだったかな』を2年生の子が借りに来た。ばばばあちゃんのシリーズを読み始めたことを報告してくれた子もいた。紹介を民欲的にすることの大切さを再認。
6月6日 行事の都合でお休み
6月5日 ごめんねともだち 内田麟太郎 降矢なな 偕成社 2001 キツネ、オオカミ
<R>仲良しのオオカミとキツネは今日も一緒に遊びます。ところが、オオカミは何をやっても負けてばかり。とうとう頭に来て、キツネをどなりつけてしまいます。ケンカしたふたりは、「ごめんね」が言えなくて……
<S>『ともだちや』『ともだちくるかな』『あしたもともだち』に続く第4作目。話をはじめる前に、3冊の内容をかいつまんで紹介。昨日から予告して置いたので、楽しみにしている子もいた。ケンカしてからのふたりの様子が、子どもには経験したこともあるようで、「どうなることやら」という顔つきで聞いていた。
 この作品でシリーズがおしまいになることを知らせると、「え〜っ!」という反応。
6月4日 へんてこもりのコドロボー 高楼方子 偕成社 1997 幼稚園児、まるぼ
<S>またまた、「ヘンテコスタの森」つまり「へんてこもり」にやってきた4人の仲間。今度は、まるばに近道を教えてもらいますが、歌を歌いながらスキップしなければ成りません。おまけにちゃんと歌わないと困ったことが起こるのです……
<R>『へんてこもりにいこうよ』の続編。続編があることは、5月に読んだときに予告していた。今日は、この本と『ごめんねともだち』(キツネとオオカミのシリーズ4作目)を用意して、子どもたちにどちらを先に読むか尋ねてみた。どちらも同じくらいのリクエストだったので、週明けの今日は楽しめる『へんてこもりのコドロボー』に決めた。
 バクやコドロボーにさらわれたときの救出方法がとてもおもしろい。
6月1日 だじゃれどうぶつえん 中川ひろたか 高畠純 絵本館 1998 動物
<S>動物の呼び名と洒落をもじった「おらうたわん」「しまうな」などが、次々に登場。
<R>土曜日で下校がいつもより気になる子どもたちに、パッと印象に残っておもしろいものを選んだ。最初の2・3つは、だじゃれだというのが伝わりにくく、あっけにとられた子もいたが、だんだんわけが分かってくると、笑い声も増えてきた。
 こういう絵本を読むときは、明朗、歯切れの良さ、ちょっと大きめの音声が効果的。