音声言語表現論
語りが生みだす子どもの本の魅力
―子どもと本を楽しむ・子どもの本を楽しむ―

☆ストーリーテリング
☆ブックトーク
☆読み聞かせ
☆イラストレーションと読み聞かせ
☆子どものための本紹介
☆エピソードあれこれ

☆語りが生みだす子どもの本の魅力
 ストーリーテリング、ブックトーク、読み聞かせ、子どものための本紹介などの語りによって、子どもの本の世界をより魅力的に、立体的な広がりをもって表現することができる
何故、語りによって子どもの本を楽しむのか
 自発的な自由読書とのちがい
……場の共有、体験の共有、息づかいの共有そしてそこから生まれる絆や感性
……学校では特に 子どもたちが安心して体も心も預けることの出来る時間

☆ストーリーテリング

『ふるやのもり』 瀬田貞二再話 (「おはなしのろうそく」より)
・場の設定をする
   ……物語の世界へ入る準備―物語の世界(語りの世界)―物語の世界から出る準備
・くらやみの中で聞くおはなし
……視覚に頼らない中で想像するたのしさ
・語り手が暗記することによって、おはなしがかみくだかれ、咀嚼しやすくなる

★絵本『ふるやのもり』の読み聞かせ
今村泰子 文 / 清水耕蔵 絵 / ほるぷ出版 / 1985年発行
羽仁進 文 / 斎藤博之 絵 / 高橋書店 / 1977年発行 (絶版)

☆共有世界があるからこその楽しい読み聞かせ

『三びきのこぶた』 イギリスの昔話  
 ポール・ガルトン 絵 / 晴海耕平 訳 / 童話館 / 1994年発行

『三びきのコブタのほんとうの話』
 ジョン・シェスカ 作 / レイン・スミス 絵 / いくしまさちこ 訳 / 岩波書店 / 1991年発行
『3びきのコブタとまぬけなオオカミ』
 ジョナサン・アレン 作 / 久山太市 訳 / 評論社 / 1998年発行
『3びきのかわいいオオカミ』
 トリビザス 作 / ヘレン・オクセンバリー 絵 / 冨山房 / 1994年発行
『かしこいポリーとまぬけなオオカミ』
 キャサリン・ストー 作 / 佐藤涼子 訳 / 若菜珪 絵 / 金の星社 / 1979年発行

☆子ぶたやおおかみの出てくるお話を集めてみましょう

【6/25の感想】
・このごろ試験が近くてなんだかイライラしていたので、久しぶりに心から笑って有意義な時間でした。ゼミで絵本の研究をしていて、いきずまって、絵本が少しいやになっていたけど、やっぱり絵本はいいなぁと思いました。
・文章を実際に覚えるのはとても難しいと思った。
先生がなさった「ふるやのもり」では、本当に自然に頭の中に情景が浮かんできて、おおかみが走っている様子も見えた。
・とても楽しかった。
この講義を聴くまでは絵本にはあまり興味がなかったけれど、絵本がとても楽しいものだと気づいた。
 絵本の読み聞かせは、人それぞれの雰囲気があって、その人自身が現れるのだなぁと思った。
・ストーリーテリングは、雰囲気がすごくいいなぁと思った。暗くするとお話の世界にすいこまれていくような感じがした。願い事をするのもすてきだった。
この授業を受けるようになって、自分でもすごく絵本が欲しくなった。
・ストーリーテリングについては、今まで知らなかったので良かったです。でも、自分でやってみて、間違わず覚えるのは難しかったです。
絵本に比べて、ストーリーテリングが想像が広がることを実感しました。
・ストーリーテリングが覚えるのが難しかった。でも、自分でお話を確認して話していくのがとても気持ちよかった。
・「世界」にはいって置いてきてしまうのではなく、ちょんと魔法を解くように世界を解いてしまうんだと知った。とても楽しかったです。
・実地教育で読み聞かせを毎朝しました。けれど、いまいち反応がうすく、どうやったらいいのかな、どこに抑揚をつけたりしたらいいのかな、どうやったら子どもたちをひきつけられるのかなと悩んでいました。この授業が実地前にあったら良かったなぁと思いました。

【6/25の質問】
・読み聞かせの良さは何ですか。
・本を選ぶポイント。どうやっておもしろい本を見つけるのか。
・ストーリーテリングと読み聞かせとの使い分け
・高学年でも読み聞かせをやってもいいのですか
・死をあつかったものは?
・読み聞かせで子どもはどうなりますか?

―質問に答えて―
☆「死」をあつかったもの

『わすれられないおくりもの』スーザン・バレイ
『バーニー、いつまでもいっしょだよ』
『ずーっとずっとだいすきだよ』
『かんすけさんと不思議な自転車』松野正子
『うえのおばあちゃんしたのおばあちゃん』パオラ
『葉っぱのフレディ』
『夏の庭』湯本香樹実

☆一緒に楽しめるもの

『だれのじてんしゃ』高畠純
『にんきものずかん』近藤薫美子

☆どうやっておもしろい本を探すか

・自分自身の中の「子ども」の部分に問いかける (「球」というとらえ方)
例)黒板を消す……黒板そのものが消えたらそうなるだろう→不思議な世界への入り口が?
・探す手助けをしてくれるものを知っている
『子どもの本 朝の読書ブックガイド』日本児童図書出版協会
『よい本』日本学校図書館編
『子どもの本』日本児童図書出版協会
・HPで検索する
・図書館の司書に話しかける
・子どもの本専門店に出向く
・特定の子どもたちに語る場合……何に興味を持っているのか、どんな話にくいつくか
・一朝一夕に選び方がうまくなるものではない……日頃からアンテナをたてておくこと

子どもたちが選べば、おもしろくないと退けられる本でも、紹介の仕方で子どもたちは読む。
そのことで、子どもの読書の世界が広がる
例)
『トガリ山シリーズ』
『西遊記』『封神演技』
『ぼくはくまのままでいたかったのに』
『二つの島』
絵本だけでなく物語をうまく紹介することで、読者がつく
紹介の仕方
子どもの紹介とのちがい……声の響き、間、ポイント、文章のまとめ方
例)
『だれがいちばん』……クイズ「だれがいちばんだとおもいますか?」結末にどんでん返しがあるので、それを伏せて興味を煽る
その本の何を紹介するのかが大切
例)教訓に陥らない(寓話とのちがい)
 おしつけにならない ゆめをこわさない
子どもの生活をかすめる
『となりのせきのますだくん』……「あなたのせきのとなりのひと、なんにみえます?」「かいじゅうだったらどうします?」

☆読み聞かせで子どもたちはどう変わるか
例)
・T君
バムとケロのシリーズを抱えて、図書室へ行く。「先生、○○見つけたで。おしえたろか?」
・I君
「先生今日の話は?」、課題が終わったら好きな本が読める、読書談義によってコミュニケーションが広がる
・クラスでの共通話題
「○○みたいやなぁ」これでみんな納得。
・『感性を磨く読み聞かせ』での事例を参照
・本への抵抗感が少なくなる
・読書の選択肢が広がる……同じ作者・同じ絵画者・同じテーマ
・長いスパンで……卒業生が図書室に現れて
          「この本懐かしい。先生が読んでくれたやつやなぁ」
生涯学習につながる影響力ももつ

☆読み方のテクニック
・ ページをめくる効果を考える(画面のスクロールにはないおもしろさ)
・子ども全員を視野に入れる
・ 「読む」よりも「語る」……読み聞かせ→読み語り
・読み手自身が読むことに喜びを持つこと
・「場」をつくる……お話の世界を切り離す
・教師であることを忘れる

【7/2の感想】
・読み方が変われば、聞く側の反応も変わることにきづきました。人が引きつけられる読み方の工夫に興味がわきました。
・今日の『プー』と『プキー』の本はとてもおもしろかった。鳴き声だけで読み聞かせができるものなんだと思った。
・読み聞かせってただ本を読むだけかと思っていたけれど、声のトーンやめくり方、背景なども知っていないといけないんだなぁと思った。
・絵本の紹介のコツが少しだけ分かった。あらすじを言うのではなく、子どもが読みたくなるように工夫しないといけないと分かった。
・今日もとても楽しかったです。特に興味を持ったののは、ぶたの『ブー』とか『プキー』とかいう本で、言葉が「ブー」「プキー」しかないのにストーリーがどんどん思い浮かんできて、ワクワクしました。
・昔はわたしももっとかじりついていけたのかな、と思うと、大人になってしまったのが少しさびしいです。
・絵本は紹介の仕方によって、魅力あるものに変化することを知った。どこまで本を紹介するのかが難しいと思う。
・中学校実習で本の紹介の授業をやったのですが、自分の足りない所などが分かり参考になりました。
・ただ絵本をそのまま読むのではなく、紹介をしたり、読むときの間、声の強弱は大切だということが分かりました。
より一層絵本を読んでもらうために、先生は紹介上手でないといけないと思いました。
・本の紹介が難しいのがあらためて分かった。
でも、すごく興味がわくし、その方法を勉強してみたいなとおもった。
・『もっちゃうもっちゃうもうもっちゃう』がとても楽しかったです。思わず引き込まれて探しました。

【7/2の質問】
・シリーズものの紹介の仕方
・声音をどのように読むか(男の子、女の子、ナレーターなどで変えるべき?)変えない方がいいのかどいうか知りたい
・絵本じゃない本も読み聞かせするのでしょうか
・アメリカ以外のアジアの絵本はないのでしょうか。
・今日は「死」をあつかったものもあったのですが、子どものによって取り方が違うと思うのです。適年齢などはあるのでしょうか。

―質問に答えて―
☆シリーズものの魅力
『ねずみくんのチョッキ』なかえよしを 上野紀子 ポプラ社 1974年
『また!ねずみくんのチョッキ』なかえよしを 上野紀子 ポプラ社 1976年
しかけ絵本『それいけ!ねずみくんのチョッキ』なかえよしを 上野紀子 ポプラ社 1997年

☆「心がきょう感じ取ったことを頭があす理解する」
「死」「老人問題」「環境破壊」「共存」などそれを考えるというよりも、それらに対して心が動くことを大切にしたい。
『ぼくはくまのままでいたかったのに』イエルク・シュタイナー イエルク・ミュラー ほるぷ出版 1978年

○年向き、○才から… よりも適状況

☆トピックを捉える
例)7月7日 たなばた → 「魔女の宅急便」の放送 
これを話題にして『魔女の宅急便』(角野栄子 林明子 福音館書店 1985年) 『魔女の宅急便その2 キキと新しい魔法』(角野栄子 広野多可子 福音館書店 1993年) 『魔女の宅急便その3』(角野栄子 佐竹美保 2000年)を紹介する 

☆あらしのよるに
 『あらしのよるに』(木村裕一 あべ弘士 講談社 1994年)
 『あるはれたひに』(木村裕一 あべ弘士 講談社 1996年)
 『くものきれまに』(木村裕一 あべ弘士 講談社 1997年)
 『きりのなかで』(木村裕一 あべ弘士 講談社 1999年)
 『どしゃぶりのひに』(木村裕一 あべ弘士 講談社 2000年)

ビデオ紙芝居「あらしのよるに」(木村裕一 花之内雅吉 立川志の輔語り メデイアファクトリー 1999年)

【7/9の感想】
・ビデオを読み聞かせの間に挟むと、効果的というか、ものすごく引き込まれました。
・メイとガブの今後がすごく気になりました。
・「あらしのよるに」を紹介してもらったことがあって、そのシリーズが出ていることは知っていたのですが、今日のビデオや先生のお話を聞いてとても関心を持ちました。私は、6作目にはメイはメイのガブはガブの仲間の中に戻っていけると思います。
・シリーズものの読み聞かせは、1回目にどれだけ子どもを引きつけることが出来るかが勝負だと思った。
・ビデオを見て、声が違うだけで受ける感じがとても違うと思った。私はビデオで読んでいた人よりも先生の声の方が好きだ。
・「あらしのよるに」の続きが読めてとても楽しかった。順番に出た本でも、読み手が意図して順番を変えることも、子どもの興味が確かに高まると感じた。
・メイとガブのお話は、最初の時は気がつかなかったけど、読んでいくうちに、人間の友情でよくある問題がうまく取り上げてあるなと思った。
・久しぶりに立川志の輔の声を聞いた。性別はどちらも男だと思って聞いていた。
・ビデオを見てもおもしろいけど、いきいき感が無くなる感じです。先生と目を見ながら次のページの話を期待しながら聞くのがおもしろいと思います。
『魔女の宅急便』、私も読みたいです。
・本とビデオという2つの選択肢ができても、本の方がイメージがふくらむしおもしろいと感じた。が、本を読んでからビデオを見るのも、また違ったおもしろみがあると思った。
・絵本の読み聞かせとビデオとでは違ったおもしろさがあると思いました。
・「あらしのよるに」シリーズは前回の先生の講義の時からお気に入りだったので、とても楽しかった。6巻では、生きて出会って、また友情を確認すると思う。
本の紹介の切り口は本当に様々で(例えばテレビ番組)、教師は常に意識してアンテナを張っておく必要があると感じた。
・「あらしのよるに」シリーズは授業で少しずつ前から紹介されていて、もう授業まで待てずに図書館に借りに行きました。二人の友情がどんどん深まっていくのが感動的だ。
・『あらしのよるに』シリーズの『あるはれたひに』はビデオで見たことがあったけど、その続きがみれて良かったです。先生に本を紹介されて、他の本も読みたくなりました。
ゼミで、ジェンダーの視点から絵本をみていたので、先生に二人の性別を聞かれてとても気になりました。
・「あらしのよるに」から続いていく過程がおもしろかった。
最後の結末は、永遠に別れてしまうのではないかなぁと思った。
・読み聞かせって、子どもにするものだけど、先ず大人が楽しむことも大切だと感じた。
・ガブとメイのシリーズはどの作品もドキドキした。子どもたちの心をつかむには、ただ話が続いていくだけでなく、作品ごとに何か展開するものが無くてはいけないなと思った。
私としては、二人が生きて一緒に仲良くすごして欲しい。
・ビデオ鑑賞も楽しいと思った。でもやっぱり、読み聞かせの方が絵本のページをめくることを調節できるし、聞き手の反応を見ながら進められるのでいいと思います。
・あのシリーズは一回読んだが、次作が完結とは…。ぜひ知りたいと思った。
・シリーズものは次の本を想像したり、内容を自分で考えたりして、読む本の数や考え方が増えていくので紹介するべきものだなぁと思った。
・全体を見渡してお話を進めて折られたので、みんなでお話のゴールに向かっている感じがしました。野菜の本は分からないところもあり、発想をやわらかくしなければと思いました。
【7/9の質問】
・もし子どもたちが「こんな本読みたいんです」って言ったら、子どもが欲しい本をどうやって見つけますか。
・知識の絵本の紹介の仕方を知りたいです。
・「あらしのよるに」のように5冊ぐらいシリーズがある絵本は他にどんなものがありますか。
・他に絵本がビデオになったものはありますか。
・読み聞かせとテレビ・ビデオで見せるちがいは?
・子どもの本はよくオオカミでもヤギでも弱肉強食の世界ではなく、みんな友だちとして登場する本が多いと思うが、このあたりはどう解釈すべきでしょうか?
・飛び出したりひっぱたりするしかけ絵本があるが、そういうのも読み聞かせ出来るのでしょうか。
・字数の多い本は紹介だけするのか、数回にわけてするのか取り扱いに困っている。
・他のシリーズものでどんなものがありますか?
・友だちのことを取り上げた本を紹介してください。

『あらしのよるに』は今度の光村の教科書四年に掲載されます。シリーズのこと、ビデオのこと、紹介の仕方など、切り口をたくさん知っておくといいですね。

ビデオはその言葉通り鑑賞するもの。読み聞かせは鑑賞ではなく、その人そのものの体温を含んだふれあい。 ビデオは誰がスイッチを押しても同じ話が始まるが、読み聞かせは、その時の状況で感じも変わってくる。

物語を読み聞かせ
例えば『エルマーのぼうけん』 。固定した関係(クラスなど)では、数回にわけるのもおもしろい。ただ、突然だと拒否されることもあるだろう。読み聞かせや読書紹介をしていった中でそれを取り入れるというのもいいと思う。
そうでない関係では、決められた時間内で完結する話や、長い話などは興味をそそる紹介の方がいいと思う。

友だちをあつかった話で
※オオカミとキツネのお話
『ともだちや』(内田麟太郎、降矢なな、偕成社、1998年)
『ともだちくるかな』(内田麟太郎、降矢なな、偕成社、1999年)
『あしたもともだち』(内田麟太郎、降矢なな、偕成社、2000年)
『ごめんねともだち』(内田麟太郎、降矢なな、偕成社、2001年)

※人間で
『あのときすきになったよ』(薫くみ子、飯野和好、偕成社、1998年)

イラストレーションとの相乗効果
※飯野和好
※スズキコージ
※複数のビジュアルを持つ場合、どれを選択するか
『注文の多い料理店』の場合
@飯野和好、Aスズキコージ、B島田睦子、C三浦幸子、D池田浩彰、E本橋英正、F小林敏也、G長谷川知子

【7/16の感想】
・絵から本を紹介していくという形はとても興味をもった。バムちゃんとケロちゃんの話はいろいろなところにいろいろな絵が描かれていて探すだけでも楽しかった。
・シリーズものの絵本は、登場人物、その服装など、様々な工夫がされているのだとわかった。いろんな角度から絵本をみれば、何度読んでも飽きないのかもしれない。
・ケロちゃんがかわいくてファンになった。絵本といってもストーリーを楽しみがちだが「島田ゆか」さんの描く絵はへんな生き物がいろんな所に出現していて楽しめた。
・バムとケロのシリーズを読んでみたいと思いました。
・飯野さんの絵はとてもおもしろいと思った。個性的だった。
・飯野さんの『くろずみ小太郎』は全く現実味が無く、突拍子で楽しかった。
・「くろずみ小太郎旅日記」は本当に楽しませていただきました。読み手がかわることで、こんなにもイメージが変わることに驚きました。確かにテレビにはない魅力が読み聞かせにはあると思いました。
・小太郎やそうべえなど独特の言葉遣いを読んでもらうととても楽しかった。
・『くろずみ小太郎』は最高だった。アンパンマンに似ていると思った。
・「くろずみ小太郎旅日記」がとても気に入りました。ストーリーのおもしろさも大切だけど、絵のおもしろさやインパクトなども読み聞かせの本を選ぶ             
・絵によって物語を聞く態度が全然違って来ることを実感した。私は飯野さんの描かれるタッチの絵がすごく好きなので、他の本も探してみようと思う。
・私も飯野さんの絵は好きで、何冊か読んだことがあります。内容も絵によって印象が変わったり読む楽しみがあったりするのが絵本の良さだなと思いました。
・好きな作者の話を何冊か続けて読んだことはあったけど、絵を描いた人で続けて読むというのはなかったので、いろんなジャンルの話が読めて良かった。
・イラストを楽しむやり方もあるんだな、と今日実感しました。飯野さんのイラストがすごく好きになりました。
・とてもおもしろかったです。絵本はイラストによってずいぶんとイメージが変わるのだなと思いました。イラストレーターが楽しんで書いている様子が見え隠れしておもしろかったです。文字に現れていないイラストの魅力にはまってしまいました。
・楽しかったです。特に飯野さんやスズキコージの絵本は自分ではぜったに手に取らないだろうなと思う本だったので、その本のおもしろさを知ることが出来て良かったです。
・今日は読み聞かせは読み聞かせでも、イラストレーションにかなりの印象があった。私は『注文の多い料理店』でネコの表紙を選んだが、5年生も同じだと聞いて親近感がわいた。
・一つの話でもいろいろな絵の本があることが分かった。教師が気に入った絵ではなく、子どもの興味のある絵を使う必要があるのだなと思った。
・『注文の多い料理店』にこんなにも多い種類の絵があったことに驚きました。
・1ページの字数が少ないのに楽しめるのは絵本の特徴だなと思った。
・絵本は文と絵の絶妙なブレンドでつくられているのだと感じました。『サルビルサ』は特に印象に残った。スズキコージの絵もマッチしていた。
・『あくび』から『くろずみ小太郎』へ絵を中心に展開していったのがおもしろかった。『サルビルサ』は言葉遊びが楽しかった。
・『じごくのそうべえ』は保育園時代すごく人気があり、劇までしたお話なので、懐かしかった。宇宙へ行く話はまだ読んでいないので、ぜひ読んでみたいと思う。
・最後の『じごくのそうべえ』は聞いていてとてもストーリーが分かりやすかった。読み聞かせは先ず、その物語を伝えるということが一番大切だと思った。
・『じごくのそうべえ』を読まれているとき、よく息が続くなぁと思った。あのお話の特徴を出すのに、大きな声で息を切らせないで読むことに気をつけなければと思いました。
・同じ本でも、読み方しだいで子どもの興味が引きつけられたり、離れたりするものだなぁと感じた。絵の工夫というか、種類雰囲気によって子どもの動機付けが変わるのだろうなあと思った。子どもにとって、絵はとっても重要だと思う。
・お腹が痛くて苦しかったけど、先生が本を読んでくれている間は不思議だけど落ち着いて聞けました。
・作者に関連づけて子どもの自由読書へ繋げていくことも一つの工夫だと思った。読み手の読み方で楽しく本に引き込まれていくんだ、と思った。

【7/16の質問】
・絵の作家さんをいっぱい紹介して欲しいです。
・作者の紹介やそれに関する本はどうやって選び、勉強しているんですか。
・先生はどうやって、シリーズものの本のつながりや様々な本を知るのですか?毎回その広がりのすごさにびっくりします。これだけ深く本を知ってると子どもも楽しいだろうなと思いました。
・『注文の多い料理店』のような有名な話で、いろんな絵がある本は他にもあるのですか?
・これは違うのかな?とか先生の失敗した話も聞いてみたいなと思いました。
・もともとは小説としてあった本の絵本化というのはありますか?
・『じこくのそうべえ』の続きが気になります。

【質問に答えて】
複数のビジュアル
物語を絵本化したもの、あるいは絵本化に際して複数のビジュアルを持つものには、
『注文の多い料理店』をはじめとする賢治の童話、『てぶくろをかいに』『ごんぎつね』『赤いろうそくと人魚』等の児童文学作品があります。著作権の保存期間(死後50年)が過ぎると、複数のビジュアルによって表現されることが多いようです。その意味では、著者の特定できない昔話や民話は、様々なイラストで描かれています。
ごんに関しては、「いたずらもののこぎつね」がどう視覚化されて、どんな意味があるのかの研究もされています。

子どもたちに人気のイラストレーター
・飯野和好
・スズキコージ
・馬場のぼる(「11ぴきのねこ」シリーズなど)
・佐竹美保(『西遊記』『封神演義』「魔法少女マリリン」シリーズなど)
・いわむらかずお(「14ひき」シリーズ、「トガリ山シリーズなど)
・山脇百合子(「ぐりとぐら」シリーズ)
・和歌山静子(「王さま」シリーズ)

【ブックトーク】
今日のテーマは【不思議との出会い】手順についてはHP<ブックトーク>を参照

【7/23の感想】
・ブックトークというものを見れてよかった。全く違うジャンルの本(ペガサスとかカッパ)が「不思議」というキーワードでつながっていくところがすごいなぁと思った。
・ブックトークで、作品世界に引き込まれていきました。
・本を読むのは上手下手は関係なくって、その人(読み手)が楽しめるかということが大切、というのにすごく共感できた。塚本先生の本の紹介もとても楽しかった。カッパは脱皮するのですね!
・ブックトークはするよりは、やってもらった方が絶対楽しいなと思いました。本を紹介して、(実習で)その反応がとても良くて、それ以来そういう仕事をやってみたいな、と思いました。
・とても楽しかったです。毎週この授業だけは楽しみにしていました。レポートを書こうとホームページを開いたりしていたけれど、いつもぼーっといろんな所を見て時間が過ぎています。最近は本屋に行っても絵本を立ち読みするようになりました。
もともと絵本好きだけど、最近めっきり絵本にはまってしまいました。
・「かくれんぼ」、全然見つかりませんでした。くやしかった。
・すごく楽しかったです。私もこの夏、絵本の練習をしてみようかなと思いました。
・スライドが予想以上で迫力があった。語りに感情がこもっていて良かった。私もあんな風に読みたい。
・『じごくのそうべえ』のアドリブがおもしろかった。あんな風な読み方もあるんだなぁと思った。文も楽しんで読むのが一番のコツだとよく分かった。
・『じごくのそうべえ』も読み方によって印象が変わっておもしろい。アドリブがあると、内容を知っていてもドキドキする。
・絵本を読むときは、恥ずかしさが出るということを聞いて安心しました。恥ずかしがるなとよく言われますが、それはなかなか難しいことで、逆に恥ずかしさを肯定してもらうと、やりやすくなる気がします。
・スライドを使って絵本の内容を知ることは、絵本を聞くのとはまた違ったおもしろさがあった。あんなにすぐ聴衆に会わせてアドリブが思い浮かぶもっちゃんはすごいと思いました。
・『じごくのそうべえ』非常におもしろかったです。七パターンもあるなんてすごいなと思いました。お話をする側は頭が柔軟でなければ行けないなと思いました。想像・創造豊でなければ…。
何よりも子どもたちと楽しさを共有することが大切なんだろうなと思いました。
・男の人の語りがとても新鮮だった。
・自分が楽しんで読むことが大切なんだと再確認しました。この授業は教師になる上で本当に勉強になりました。いろいろな考え・方法を知ることが出来ました。
・今日は読み聞かせのいろいろな方法を教えてもらい、とてもためになりました。
また、いつもと違う人がいるとドキドキして良いです。
・同じ話でも、読み方によってあんなに聞いた感じが違うんだなと思った。アドリブの付き方がすごくおもしろかった。やっぱり声色が変わる方がすごく効果的だと思う。
・とても楽しかった。絵だけに集中していて、音(声)が自然に耳から入ってくるのが心地よかった。子どもがじっと見入って聞き入っていたのを見て、すごいと感じると同時に、実地で出会った1年生にも見せてあげたいと思った。
・同じお話なのに、アドリブを入れることで生き生きとした良い話になっていた。
・もっちゃんの『じごくのそうべえ』はおもしろかった。スライドと読み聞かせのちがいはあったけど、読み手にはすごく伝わってきた。もっちゃんともっと仲良くなりたいです。
・「怪しい人」には魅力があると思いました。人間として魅力のある人になりたいと思いました。
・ぼくはまだ恥ずかしいという気持があって、もっちゃんのようには出来ないだろうなと思いました。
・もっちゃんの語りがおもしろかった。怪しい雰囲気やオーラを私も出していきたい。子どもが見るだけでわらえるひとになるぞ。

【7/23の質問】
・学校全体の取り組みで、今「本」や「図書館」についてどんなことがされているのですか。
・アドリブでは、共通語を関西弁に変えたりすることもありでしょうか。
・昔話・方言の話を読むとき、うまく読むには何かコツがあるのでしょうか。
・ブックトークをするときに、そのブックトークをするための台本ってつくっているんですか?
・いいなぁと思われた本はすべて購入されていますか?図書館で見ておもしろかった本をすこしたつと忘れてしまうので……
・どうしたら恥ずかしさは無くなりますか。
・物語をオリジナル化するのは、どの程度まで許されるのだろうかと思います。

【質問に答えて】
「本」を楽しむのが一番。それに、この楽しさを誰かに伝えたいと思ったら、それが読み聞かせ・ブックトーク・ストーリーテリングの出発点です。

 最近、子どもの本の出版事情はどんどん厳しくなっています。○刷りと裏付けに印刷されていますが、一刷りの刷り数が少なくなってきています。「いいなぁ」と心が動いた本、そのうち買おうと思っていると絶版になったということも少なくありません。
かといって、買ってしまってから後悔した本もあります…

読み手が変われば、聞き手の意識も変わるし、その語りから紡ぎ出されてくる世界も違っていきます。だから、図書館司書の方のお話会・スライドお話会を設定します。
そのことで、子どもたちの興味や関心がまた一段と増し、読み聞かせも楽しめます。塚本文庫や団体貸し出し文庫、に目が向いたりもする。「本」を話題にしたおしゃべりを楽しめる。それがまた読み聞かせに生きてくる……
こんな風に、ある一つの手段だけでなく、様々な方法で子どもたちにアプローチすることが大切だと思います。多面的に、それこそシャワーのように子どもたちに本の世界を心地よく注ぐことがいま、必要だと思います。

子どもを引きつける「魅力」を持つことは大切ですね。やはり、子どもと関わるには、子どもとひびきあう何かをもてているかどうか、それが鍵です。子どもは、「好きな人」「引きつけられる人」にはどんどん自分から近寄れるのです。

【語り―読み聞かせ・ブックトーク・ストーリーテリング―にこめるもの】
 語ることは、その物語を伝えるだけでなく、想像の世界を紡いでいく手助けになります。紡ぐときに丈夫にしたり、バラエティに富んだり、違った発想を加えたりするのは、聞き手自身です。その聞き手が、より豊に紡げるように、愛情というエキスを加えるのが「語り」つまり読み手の肉声だと思います。
 愛情を持って語ることで、そして、その子たちにあったお話の世界を魅力的に表現することで子どもたちの心は多くを吸収し、自分自身でたくましくなっていいます。
 子どもの本を知っているだけでは、それを魅力的に伝えることは出来ません。自分の好きな本がいつでも相手にとってのベストとは限りません。どう伝えていくか、そこに人間の心のふれあいが生まれれば素晴らしいと思います。
 
絵本に関する参考文献(単行本)                           
今江祥智、長新太 『絵本のバイエル』     理論社   一九八一年 一月十二日
 偕成社編集部編  『素直にわがまま』     偕成社 一九九〇年十二月
 上笙一郎   『児童出版美術の散歩道』     理論社 一九八〇年十一月
上笙一郎   『日本の童画家たち』 くもん出版 一九九四年 二月二六日
佐々木宏子『新版絵本と子どもの心―豊かな個性を育てる―』JURA出版局 一九九三年 九月十四日
佐藤公代   『絵本の挿絵の役割に関する研究―発達・教育心理学の立場から考える―』                        近代文芸社 一九九三年 十月 十日
田中重弥   『日本の童画G 瀬川康男 田島征三 丸木俊』         
                       第一法規出版   一九八三年 七月二五日
田中重弥   『日本の童画I 長新太 和田誠 上野紀子』第一法規出版 
                                一九八一年 二月二十日
 田中重弥     『日本の童画L 安野光雅 太田大八 堀内誠一』
                    第一法規出版 一九八一年 八月 十日
鳥越信   『絵本の歴史を作った人20人』 創元社     一九九三年 六月 一日
中川素子   『絵本はアート ―ひらかれた絵本論をめざして―』 
                      教育出版センター  一九九一年 八月 四日
中川李枝子   『絵本と私』 福音館書店     一九九六年 九月二五日
 中川李枝子   『本・子ども・絵本』 大和書房      一九八二年 五月二五日
永田萌   『永田萌対談集/絵本好きですか?』 大和書房  一九九五年 五月 一日
堀内誠一『絵本の世界 110人のイラストレーター 第1集』福音館書店  一九八四年 六月十五日
堀内誠一『絵本の世界 110人のイラストレーター 第2集』福音館書店 一九八四年 六月十五日
堀内誠一   『ぼくの絵本美術館』   マガジンハウス    一九九八年 七月二三日
松居直    『絵本を読む』  日本エディタースクール出版部 一九九三年 八月二五日
 松居直   『絵本とは何か』 日本エディタースクール出版部 一九七三年十二月二五日
 松居直   『絵本を見る眼』 日本エディタースクール出版部 一九七八年 一月二五日
 松居直      『絵本の時代に』          大和書房  一九八四年 八月
漫画家の絵本の会 『8人の漫画家の冒険物語』     丸善    一九八九年十二月二〇日
三宅興子編著   『日本における子ども絵本成立史 「こどものとも」がはたした役割』
                  ミネルヴァ書房   一九七三年 三月二〇日
向川幹雄     『0歳から3歳の絵本のひずみ』  高文堂出版社 一九九八年十一月十五日
渡辺茂男     『心に緑のたねをまく 絵本の楽しみ』 新潮社  一九九七年十一月十五日
 小松左京・高階秀爾『絵の言葉』            講談社   一九七六年 九月 十日
 平野甲賀 『平野甲賀〔装丁〕術・好きな本のかたち』 晶文館    一九八六年 七月二〇日
和田誠   『装丁物語』            理論社   一九九七年十二月 十日