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  top          デフレインフレの一般理論
 
 
  第十九章外資の導入はデフレにどのような影響を与えるか、得か損か

外資の導入は、今の日銀の金融政策とよく似ていて、デフレ対策にはなるがデフレ解消にはな
らない。今の日銀の金融政策は、低金利で過剰融資をし、インフレ目標を決め、積極的にお金を
ポンプで押し付けるように市場に回そうとしている。
 しかしその目論見は完全に外れ、内需不足で借金を返せない企業の運転資金や、外需に対して
設備更新をする企業や、さらには海外に進出する企業や、また資金を海外で使う企業に対しては
そのお金が豊潤に回っている。また国内の土地資産の一部や株式市場にもバブルのようにお金が
回っている。しかし肝心な日本のハートランドを担う企業に対して、お金が回っていかない。ハ
ートランドを担う企業は、売上を必要としているのであり、お金を必要としていないからだ。日
銀の金融政策は、デフレ解消の根本である内需拡大に対して何ら意義のあることをなしていない。
 これと同じように外資による日本買いは、内需の拡大にはなんら貢献していない。特にアメリ
カの金融資産は日本の優秀な製造企業を傘下に収め、次の景気回復の時、安定的な収入を見込ん
で投資をしている。日本に企業を進出させることはほとんど考えていない。それゆえ外資の進出
は、産業再生機構のような役割を担い、さらに運転資金不足の会社や借金過剰の会社に対して進
出しやすい状態になっている。デフレは企業の株式を安くし、売上を縮小させ、会社の資産を小
さくするので、外資の進出には好環境となっている。また日銀の低金利過剰融資政策は、外資に
とっても非常に魅力的で、乗っ取った会社を通じて低金利で資金を調達し、さらに他の日本の企
業を買収したり、海外で運用する資金として利用している。
 現在の日本は、企業の運転資金を調達したり、借金の返済に主眼があるわけではない。ハート
ランドを担う企業の売上を伸ばすことに主眼がある。それゆえ外資の進出は日本の優秀な製造企
業が支配下に置かれるばかりで、何ら利点は見受けられない。
 外資の導入は、デフレからの脱出には役立たない。なぜなら内需の復活にこうけんしないから
である。