円高に対する処方 [経済・社会]

円高に対する処方箋

現在の円高は、典型的な先進国の没落過程にある日本にとって致命的なものである。

円高を是正することは非常に大事なことだが、現在のおかれている状況では、小手先で是正することは不可能だ。

今回の円高の原因が、日本の輸出超過や、日本国内の事情にあるのではなく、アメリカのデフレ、ユーロ圏の低迷にあるからだ。

日本の信任ではなく、欧米の不信からくる円高、当面の逃げ場所となっているだけである。

しかし欧米の信用不安は、これから先もなかなか払拭されないであろう。それ故このような円高局面はこれからも続く可能性が高く、断続的に現れるだろう。

このような局面を日本は、正面から受け入れなければならない。

本来デフレは、円安要因であり、消費不足による国内の内需関連産業の衰退は、目を覆うばかりである。ここにこのような円高が続くと、輸入品攻勢が、さらに内需関連産業を食い尽くすことになる。

それは千兆円からなる日本の借金を返す担い手がなくなることであり、デフォルトせざる負えなくなる事を意味する。これを何としてもくい止めねばならない。

輸出産業には、まだまだ救われる余地が有る。日本国内の需要分の施設を残し、その他は最適地の国へ移転すればよいのである。日本政府は、内需を間に合わせる施設を残した輸出企業に積極的に移転を奨励すべきである。

円安にするには輸出を少なくし、内需を活発にする必要がある。そのためにデフレの解消を図らねばならないのである。国内の90%の内需産業を活発にするには、円安の方がよい。

今までと同じように為替に介入しドル買いをし、金融緩和を行っても大きな変動はない。異常な金融緩和はさらに世界を混乱させるだけだろう。

円高に対する残念ながら適切な当面の手立ては浮かばない。しかし長期的にも、短期的にもこの異常な金融緩和によい面は全くない。モルヒネや抗ガン剤投与などと同じで、一時の安らぎを得られるが、すぐによりひどい状況をもたらすのである。

しかし真正面からデフレ解消の布石を打つことはできる。
それは金利を引き上げることだ。金利引き上げトリックを使えば、円高を乗り切る一つの手段となる。

金利の引き上げが、引き締めと考え、世界にはおかしな政策と映り、円安に向かう可能性がある。

しかしそれは世界のデフレの認識が間違っているのであり、金利がある程度高い方がデフレの解消によいのである。個人預金金利が高い方が消費が増え、貯蓄も増えるからである。

変動相場制で有る限り、発展は円高に振れ、円が基軸通貨にならない限り続く。
例えデフレが解消しても、日本が発展する限り続く。

そのため海外移転の空洞化は、内需の活発化と起業の多さによって補うしかない。空洞化する以上に起業を行うという意味である。

この円高は続く。今までと同じやり方や考えでは乗り越えることができない。放っておけば日本に致命的な影響を及ぼす。50年先に振り返れば、ここが正念場であったといわれるだろう。

ここでやり方を180度変え、金利の引き上げと、内需を活発にするための、消費者の消費を補うための直接投資を行なわなければやっていけない時がきたのだ。それをしなければ乗り越えられないだろう。

正面からデフレ解消に取り組む時だ。小手先の金融緩和、低金利を止め、金利を高目に誘導せよ。

デフレで、低金利にし、金融緩和をし円安誘導するのは、世界を混乱に陥れ、デフレ化するだけである(新興国のバブルはいずれ崩壊しデフレになることをいっている。)

国内は、個人預金金利を引き上げ、消費を促すべきである。貸し出し金利の低金利は、借金苦の企業にだけ、補助金として行うべきである。

デフレでは、貸し出し金利と預金金利の間に大きな差額を付けた方がよい。
それがデフレ時の金融政策の基本である。


一言主

2011年8月18日

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