新聞は消費税のウソを書くな。 [経済・社会]

新聞は消費税のウソを書くな。

日経新聞や読売新聞は消費税に関して真っ当な記事を書け。

5月20日の読売新聞に消費税を5%あげて10%に2千15年までにするという提言を政府が盛り込むという内容が載っていた。いわゆる社会保障と税の一体改革というものの一環である。

その中で使われている消費税の試算について大きな疑問が、あるいは疑惑が存在する。

その中の統計資料の試算に消費税を1%上げると2、5兆円の増収になるとして、5%上げると税収12、5兆円の増収になり、それが社会保障費の財源に使うことを前提にする。ということだ。

このような試算は前に日経新聞でものせていたとおもう。このような1%上げると2、5兆円の増収があるから、5%にするとその5倍の12、5兆円もの増収になるということは考えられないことだ。

このような単純な誰も分かるような間違った試算を鵜呑みにして、新聞に書くことは大きく世論の形成を歪めるものになる。

新聞記者は、間違っているものは、正しく修正して載せるべきであり、間違っていることを政府なり、統計機関に申し出るべきであろう。あるいはその疑惑、おかしさを鋭く指摘し、逆に論証すべきであろう。

もし間違っているのが分かっていてしているのなら、それは大変なことだ。それは新聞の国民への裏切りであろう。新聞が政府と共同して国民を欺いていることになる。戦時中の大本営発表と変わりなく、より大きな損失を国民に与えることになる。

消費税は売上にかかる税のため、1%、2%、3%と上げていくと価格が1%、2%、3%と上がるため、売上が下がっていくのが当たり前なのである。価格の上昇に伴い売上が減じていくのである。

経済学の基本として、価格が上がれば販売量が下がるのが常識だ。価格の引き上げとともに漸次利益が逓減していく。それは付加価値の減少を意味し、漸次税収が下がることになる。

1%の引き上げで仮に2、5兆円の税収があったとしても、2%になれば、それよりも伸び率が少なくなり、2、5兆円以下かになるのが当たり前である。
3%になれば、さらにそれ以上の低下し、逆に一挙に減収になることもありゆる。

このような現状にもかかわらずこの読売の試算では、消費税を上げるたびに逓減するどころか、積み上げた試算をしている。5%上げると12、5兆円の税収があるという。あり得ない試算だ。

このことから明らかにこの新聞記事は間違っている。
読売や日経の記者であれば当然このぐらいのことは知っていよう。単に政府発表の試算を鵜呑みにして公表しているだけでは、新聞の社会的意義がなかろう。

もしこの試算を政府が税と社会保障の一体改革の基礎資料として本当に使っているなら、根本的な過ちを犯していることになる。それは当然国民に跳ね返るだろう。

一刻も早くこの点を改善するなり、試算のやり直しをするべきだ。でなければ税と社会保障の一体改革が国民を苦しめる元凶になるだろう。

もっと言うとデフレ下で国民負担を増やすような税制改革や社会保証の改革は、成功しないということだ。其の本質を理解しなければデフレの解消はできないであろう。デフレのような消費が逓減傾向にある時、消費税率のアップはわずかであっても劇薬になり、急激に
経済を麻痺させる。


現在の日本は低所得化しているため、戦後のどの時代より価格弾力性が非常に高くなっている。これは価格のわずかな変動によりどれだけ販売量が変化するかを表す指数です。

2千9年度のサラリーマン所得は、前年度より年収で23万程度下がっている。現在400万程度である。この間に国民負担額を下げたという話は聞いていない。より価格弾力性が高まっていると思われる。

また物価が下がっているという情報も入っていない。入ってくるのは、低金利政策や、自国通貨切り下げにより、原材料輸入物価が上昇しているという話ばかりだ。

政府が使っている試算は、この最近の事情を加味しているのだろうか。とてもそうは思えない。

また、デフレが深刻化するにつれ、企業の利益額が減少し、売上に占める製造コストの割合が非常に高くなっている。そのためわずかな売上減が、コスト割れを起し、倒産廃業につながりやすくなっている。

それ故消費税1%の増税が、2、5兆円もの税収を上げるとは到底思えない。


社会保障費に回す財源を確保するために、消費税を引き上げることが、人為的に倒産を増やし、さらに社会保障費が増える悪循環になる。

社会保障のための政策のために、さらに社会保障を受けなければならなくなる人達を作っている。
とてもまともな算段とは思えない。根本的な考え方の誤りではなかろうか。

新聞はこのような間違った記事を直ちに書き直し、正しい試算内容を再公表すべきである。でなければ税と社会保障の一体改革の思案などは徒労となり、税金のむだ使いとなろう。

最悪の場合日本経済の破綻の引き金を引くだろう。善意の日本国民を裏切ることになる。

一言主

2011年5月24日

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