消費者物価の下落と賃金の低下 [経済・社会]

デフレでは賃金の引き上げが消費の増加にならない。

この前テレビか何かでNHKかあるいは、ワールドサテライトだったと思うが、
消費者物価が賃金の低下と共に下がっている。そのため賃金の引き上げが大事だと言っていた。

このような未だにデフレが分からない幼稚な主張をテレビや、多くのメディヤでやられると、それに簡単に引っ掛かる人がたくさん出てくるため、なかなかまともな経済政策が取れなくなってしまう。


デフレが人口減少が原因などという馬鹿げた本まで出る始末だ。あるいは貯蓄過剰のためデフレになるなどというものまである。

物価の下落と賃金の下落は、デフレ下では表裏一体であり、連動するものである。賃金を引き上げても物価は上がらない。

デフレの根本原因は生産能力に比べ著しく消費額が減少したことにある。それは、日本では、始めは資産価格の崩壊という現象により、多くの国民や企業が大借金を背負ったために起こったのである。その借金が消費を抑えたのである。

その結果消費の急激な減退が市場全体で起こり、市場全体で生産過剰となり、低価格競争が市場全体で起こったのである。

これは一部の商品が生産過剰になったり、生産不足になったりするのとは違う現象である。全体にわたる問題である。

デフレ下の商品の低価格化は、付加価値を減少させるものであり、原料が安くなって起こったものでもないし、大量生産によりコストが下がった分けでもない。

消費の停滞が、さらに価格の安い輸入品の増大を招気、それがさらに低価格化を進め、国内企業の付加価値を無くしているの現状である。

消費額の減少が、生産過剰を招き、低価格競争を惹起し、そのため付加価値が減少したのである。この付加価値の減少と労働力過剰こそが労働賃金の下落を招いているのである。

それは商品の利益額の減少と連動している。このようなデフレ市場では、消費額が減少していくため、生産量の増加に伴う労働量の増加は、付加価値を減少させ
、労働賃金を下げていく。


すなわちデフレ下では、労働生産曲線が右下がりであり、労働量の増加は賃金を下げていくことになる。
言い方を変えると、デフレでは、生産量を増やすほど収益が減少する、収穫逓減の法則が成り立っているのである。

このような場合に、賃金を無理やり企業の負担で引き上げることは、企業の労働コストを引き上げることになる。その引き上げ分を商品価格に乗せ、吸収できれば良いが、デフレは、消費額が伸びるどころか下がっていくため、賃金の引き上げ分を吸収できず、付加価値がより減少することになる。

付加価値の減少は、赤字の会社を増やしたり、不良在庫の積み上げや、大幅な商品の値引きを意味しており、多くの企業が倒産、廃業に至り、淘汰されることになる。

デフレ下の賃金の引き上げは、消費額が増えない限り、付加価値の減少を招くのである。それは企業の淘汰を促進し、余計に失業者を増やすことにつながってゆく。
それ故、最低賃金の引き上げを企業に負担させることは、多くの企業の倒産を招き、より多くの失業者を増やすことになり、社会保障費を増やすことになる。

このことからも分かるように付加価値を増やすためには、消費額を増やさなければならないことが、分かろう。デフレの解消方法は、消費額の増加に尽きるのである。

このことから分かることは、保育所より、子供手当の方が大事であり、高速道路建設より、ガソリン税の低減や、高速代金を3割負担で実施する方が消費を増やすのである。

これ以上消費額を減らすことになる消費税増税などは、デフレでは禁じ手であり、火に油を注ぐことになる。消費税増税により資金が市場から奪われ、買えなくなった分が生産過剰となり、再び低価格競争を勃発させるからだ。

それ故、デフレ下では、賃金の引き上げを企業に無理に負担させてはいけないことである。そして物価の下落と賃金の減少は、付加価値の減少の結果であり、付加価値の減少の2面性を表しているのである。

物価の下落は、企業が本来の付加価値を乗せることができない状況を物語っており、付加価値が減少するから、労働賃金を削らざる負えない状況なのである。

そしてこの付加価値の減少を補うために企業は、低価格の輸入品を購入するのであり、低賃金であるため、消費者は低価格の輸入品の購入を増やすのである。

物価の下落が、技術革新によるものであったり、大量生産によるものである場合を除いて、消費額が下がり続けている限り、物価の下落は付加価値を減少させるものである。


このような稚拙な主張をテレビなどでやられると、ますます正しい経済政策が見えなくなっていく。日本のデフレがどんどん進んで行くのは、このような無知な専門家がメディヤで跋扈しているからであり、又そのような人達を選ぶメディヤ側の知性の問題でもあろう。

一言主

2011年2月4日

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