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         デフレ・インフレの一般理論
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2010年3月12日 日銀はどこまで景気の足を引っ張る気だろうか。 

日銀はどこまで景気の足を引っ張る気だろうか

日銀不況の様相が明確になってきた。3月5日の日経ネットによると、銀行の貸し出し金利が最低になり、1月が1.19%、あの量的緩和時代を下回ったということだ。これは統計データーである。
(どちらかと言えばこのようなデーターは日経新聞が出したくないデータであろう。彼らは量的緩和に賛成しているからだ。彼らにとっては不利なデータである。)

日銀が量的緩和を実施した2千零年前半の1.3-1.9%をしたまわり過去最低になった。さらに付け加え企業や個人が預金をどれだけ融資に回したかを示す預貸率も過去最低水準にあるということだ。

だれもお金を借りない、資産も買わない。それほど日本国内には有効な投資先が無く、内需はしぼんだままである。内需の停滞は国内の土地資産や金融資産を減少させる。それがまた内部留保や預金が増える遠因だ。

日銀の低金利は、このような状態を具現化してきた
のである。彼らはこの事実をはっきり認識すべきであり、デフレにおける低金利政策は失敗したのだ。これ以上デフレ促進策を取るべきではない。

デフレにおける低金利政策は、財政出動による生産力刺激策と連動してなされ、悉く失敗している。これからも失敗する。デフレの問題点は消費の減退であり、所得の低下である。それは個人に入る資金が減少している事から生じているからである。

生産力増強は、市場への生産物増加となり、消費が増えないデフレでは、低価格競争が起こり、付加価値が減じていく。

生産物が有り余るほどある時にインフレは起こらない。デフレ下では、日銀のインフレ主導は、低金利で有る限り実現できない。それはこの20年間の日本が証明したと言える。

多くの専門家がインフレターゲット論を唱えていても、彼らの実際の政策が、低金利や金融緩和策であるならば、インフレは実現できないのである。

2月26日の日経の記事によると、1月の鉱工業生産指数が前月比2.5%の上昇で、11カ月連続上昇したそうだ。一方同じ日、同じサイトで、消費者物価水準
1月1.3%下落17年ぶりの低水準で、11カ月連続下落したそうだ。

これは明らかに麻生政権の馬鹿げた経済政策と低金利過剰政策がもたらしたものだ。デフレにおける生産増強は物価を下げ付加価値を減じ所得を低下させる。それだけでなく借金も莫大に増やす。

14兆円の補正予算の執行により、税収が増えたという話はどこからも聞こえてこない。財源が無くなった話ばかりだ。

このようなことがバブル崩壊後日本で20年間延々と行われ続けたのだ。民主党になってもまだ同じことをするらしい。管財務大臣や亀井大臣も同じことを再びやるらしい。間断の無い財政出動を続け、低金利を維持するそうだ。

日本の5傾国新聞はこぞってこれを推奨している。反省というものが全く無い。

国内の金融緩和と低金利は、確かに一時的に企業の倒産を防ぐだろう。しかしそれは企業を救っているのではない。倒産の先延ばしをしているだけなのだ。

企業が延命している間に、売上を増やす政策を打たなければならないのだ。それには消費を伸ばす必要が有り、付加価値を増やす政策が必要となる。しかし低金利の持続は、消費環境をさらに悪化させ、低付加価値が、企業の経営体質をさらに悪化させるのである。

恐ろしいのはさらなる金融緩和である。これ以上の金融緩和は弊害をもたらす。効果が少ないどころではない。

過剰な国内の金融緩和は、わずかな預金金利より株の購入という冒険心を起こし易い。実体経済の悪さは、設備や、新規事業や起業に、資金を回さず、金融資産に向かい易い。

しかしデフレの低金利は、確実に実体経済を弱めていく。それが実体経済と株価の乖離を生じさせる。これがバブルの発生であり、再び崩壊することになる。

リーマンブラザーズが日銀に変わっただけである。
リーマンが都心の土地を買いまくりミニバブルをあおったように、今度は日銀があおることになる。

このように再び同じことを繰り返そうとしているのである。。日銀や新聞は小泉政権下で起こったことが、失敗であったと認識していない。どれだけ国内が縮小し続けたか、そのため多くの企業が活路を外国に見いだしたかを。国内の内需の不振のため、日本は輸出に依存する発展途上国になったのだ。違いは日本は上級財を輸出しているところだ。

しかし今度は輸出が前ほどよくない、前のようにうまくいかないだろう。世界がデフレに陥ったからだ。経済の基礎的条件が変わっている。同じことをしてもうまくいかないだろう。

日本は既に、欧米が出口戦略を探るというようなレベルのデフレではない。危機的なものだ。金利を引き上げ個人の預金金利を引き上げ、消費が増える環境を整える必要がある。


日銀は経済を劇的に変える魔法の杖を持っている。使い方を間違ってきただけだ。直接消費を刺激する方向に使わねばならない。デフレでは、生産の刺激は所得を増やさず、返って経済を消耗させるのだ。

今は金利を上げる時だ。日本は出口戦略を探るなどという状態ではない。高齢化社会は預金金利を上げることが消費を刺激するだろう。

日銀は、政府の政策と連動して、消費税の減税、ガソリン税の減額、高速代金の減額などを通して
消費環境を変えなければならない。消費者への直接の資金投入が企業の売上を増やし、付加価値を高め、経営体質を強化する。

倒産防止は、低金利や過剰な融資だけではない。政府のモラトリアム施策もあろう。日銀は金利を引き上げ続ける方がデフレ解消に良い効果をもたらすだろう。

今、日銀が考慮することは、金利を引き上げ消費環境を整えることである。もう一つは企業の倒産防止のため、低金利や、金融緩和を続けることである。

私が言いたいのは、個人の預金金利を引き上げ、企業の融資には低金利のままにせよと言うことだ。預金金利と貸し出し金利を別建てにし連動させないことだ。

デフレの社会不安は消費を縮ませる。倒産の多さは社会不安の一要因となる。倒産をできるだけ少なくし、消費環境を整えることが肝要な政策である。

思い切ったを手を使え。

一言主
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