もどる                           ブログ  

         デフレ・インフレの一般理論
日付順

2009年12月23日 ガソリンの暫定税率維持が意味するもの。驚くべき地獄への転換

ガソリンの暫定税率廃止ではなく維持とは、何を意味するか。

景気回復の生命線である暫定税率を廃止せずにどうやって今の民主党の政策で景気回復ができるのか。

デフレは消費不足の経済である。このことは誰もがもはや知っていよう。そして何もしなければ自動的に市場から資金が流出し、市場の収縮が循環的に起こるものである。

それ故、市場を拡大再生産させるだけの消費を補うため、資金を市場に注入しなければならない。市場から流出する資金より多い資金を、消費の側から注入する事が、拡大再生産を伴う成長をさせることができるのである。
(馬鹿げた需給ギャップ論のように何十兆も要る訳ではない。)単に市場から流出する資金を消費者側から補えばよいだけだ。


これを実際に政策として実行することが日本経済を回復させるのである。この意味で、民主党のマニフェストは、選挙前は非常に有効なものであった。

ガソリンの暫定税率を廃止し、高速代金を低減し、子供手当を配り、赤字を国債をこれ以上増やさず、予算を組み替えることによって、成長を促す。これを言葉通り実行すれば、景気は回復する。

すなわち国民の懐を豊かにする事がデフレを解消させるのである。

ところがどうだろう。逆に財源がないため、赤字国債を発行しないために、そして予算を削減できないために、この最も大事なデフレにおける正しい成長政策を切ろうとしているのである。

特にマニフェストの経済政策の中でも、ガソリン税の低減は、デフレに著功のあるものである。広く薄く平等に、資金が消費者に還元され、それが貯蓄になるより消費に結び付き安いものだからである。消費税を安くするのと同じような効果が見込まれるのである。

子供手当や高速無料化より経済対策としては有効な手段である。にもかかわらずこの虎の子の暫定税率廃止を反故にするようだ。

財源がないのならまず、子供手当を切ってでも暫定税率の廃止を優先すべきなのである。それが次なる投資を生む経済成長を促すからである。
今の財政の逼迫事情から、今年度税収減なら来年度予算はまともに組めないだろう。

またマニフェストに環境税などの増税はない。消費者の懐を増やす事が増税でないことは明らかだ。

ガソリン価格が安くなっても、車の使用頻度が著しく上がるとは思えない。この不景気だ。自重して使うだろう。環境に悪いとは一概に言えないだろう。
環境税は、景気回復策と別物として扱うべきだ。

民主党は予算の組み替えをできないでいる。今までの予算のうちで、新規事業や新規分野へ使われている予算を切り、公共投資や補助金の予算をもっと徹底して切るべきなのだ。そして変えた分を消費者の懐が豊かになるように使えばよいのである。

八方美人的な予算を組んでいるから予算を削れないのである。自民党の組んだものを残し、そこへ民主党の予算を入れるから予算が増えるのだ。自民党が組んだ世間受けするものをどんどん切っていく必要がある。

子供手当は、資金が消費者に配布される有望な政策である。しかしその資金の配布が子供がいる家庭だけと限定されおり、非常に限定された所帯への補助金となる。また何に使ってもよいのだが、子供手当という縛りから子供用商品、やサービスが伸びるだろう。
しかし消費全体が伸びるには少しインパクトが少ないだろう。

さらに所得制限をしなければ、多くが貯蓄に回り、消費にすぐに結び付かない可能性が高い。(親は、子供のため、将来の貯蓄にするという意見が多かった。)

また子供のいない所帯にとって広範囲に薄く出費が増えるため、デフレの促進になる。

経済政策として著しい効果を上げるには、所得制限400万以下の所帯とするべきだろう。必ず消費に回るからだ。

今やろうとしている所得制限なしの子供手当は、社会政策としての意義はあるだろう。しかし経済政策としては失格だ。現在のような財源が逼迫しているなら、初めに所得制限をし、経済効果が出て税収が増えるようになってから、所得制限を撤廃すればよいのだ。

民主党は先ずデフレからの脱出を第1命題として政策を実行すべきだ。社会政策、福祉政策、環境政策は次なる命題であり、デフレが深刻化する現在では、緩手である。

第1にガソリン税の低減を実行し、消費を薄く広く持続的に成長させる必要がある。それが次なる拡大成長を生んでいく。そのために何よりも優先して実施すべきなのである。

財源がなければ、道路公団の剰余金の取り崩しやトラック協会の資金を使うべきである。

そして子供手当は、所得制限を課し総額を少なくし、確実な消費を呼び起こすため、400万を上限に所得制限すべきである。
税収が増えればその分所得制限を解除して行けばよいのである。

高速代金も財源のないこの折り、無料化による収入減を防ぐため、3割負担で実施すべきなのである。それにより財源の確保と、消費者への還元が進み、消費に弾みがついていくだろう。
民主党はもっと柔軟な考えをすべきだ。


残念ながらもしこのような政策が無く、暫定税率を維持した政策では、3月まで一気に落ち込んで行くだろう。4月になっても子供手当の効果が薄く、子供関連商品が持ち直し、再びエコカーエコポイントと同じような不公平な経済になっていくだろう。

来年後半は恐慌に近い落ち込みを挺し予算を組むどころではなくなる。民主党は参議院で敗北するであろう。
景気は2番底が来るのではない。ずっと落ち込んでいる最中に過ぎない。名目GDPは国内の消費を表している。成長などしていない。実質GDPの不毛な成長を成長と呼んでいるから、2番底などというおかしな言葉が出てくるのだ。実質GDPの成長は外需の伸びに過ぎず、国内が沈んでいるのは小泉政権の失敗から明らかではないか。専門家は何をたわけたことを言っているのだろう。

このまま消費に梃入れせず放っておけば、4月5月は消費減退からくる倒産パニックだろう。倒産が少なくても、生命維持装置を取り付けているから少ないだけだろう。植物状態で生きながらえさせているだけで生き返ることはないだろう。
それはこの12月の賞与の落ち込みからも容易に想像できるだろう。

今必要なのは消費への集中投資なのだ。

世論が暫定税率の廃止に懐疑的なのは、新聞や専門家の影響が大きい。ガソリンの低減がデフレ解消に大きな効果が上げることを過小評価しているのだ。

デフレにおいては供給者側にお金をばらまいてはいけない。消費者側に節度を保ち配布すべきなのである。民衆は景気の回復を願っているのだ。ごまかしの理論ではない。実際の収入だ。

高速代金も三割負担で全国一斉に全道路で実施すべきなのである。

それに対し民主党が選ぼうとしているのは、再び高速道路や整備新幹線などの公共投資に予算をまわす策であり、消費者への懐へお金を回さない道を選んだ。

今までの自民党と同じ政策を公約を破ってまでする必要があるのか。このままでは来年後半には予算を組めず、破滅的な消費税の増税を決定するかもしれない。

暫定税率維持の政策を選んだ理由として、来年の参議院選挙に勝つために地方の援助を目的としているらしい。これは全く逆の作用をするであろう。なぜなら景気回復を望む国民は、落ち込む一方の景気の現状見て行動を起こすからである。

国民の我慢の尾が切れ、参議院選は民主党の敗北が見込めるからである。国民はデフレからの解消を願っているのであり、地方への財源委譲や公共投資ではない。
民主党が公約した経済政策は、高速無料化、ガソリンの暫定税率の廃止、子供手当、そして財源を増やさず予算内で執行することだ。

子供手当は、他の子供がいない所帯の負担が大きくなり、全体で見てプラスマイナスゼロでは意味がなくなる。そしてもらった家庭は、それをすべて消費に使えばよいが、貯蓄に多くが回れば経済刺激策としては効果が薄いものなる。

子供用品のものがよく売れるだろうが、全体に対してインパクトが少ない。デフレでは一部の部門や産業に補助金を与えるやり方は、他の産業や部門を衰亡させる。結果全体が沈んでいく。


来年の予算を組めるかどうかは今年の予算で少しでもプラスになる必要がある。しかし暫定税率の廃止はそれを絶望的にするものである。これを銘記して政策立案しなければならない。

暫定税率の廃止が来年の参院選に影響が少ないという考えは、政策担当者や専門家のたわごとに過ぎない。実際来年の4月以降も経済が縮小し悪化し続ければ、最も影響を受けるのが参院選なのである。

専門家の間違った主張はごまかすことができても、実際の景気はごまかすことができない。

日本の経済的繁栄が確実に失墜する来年度の悲しいお知らせになりました。来年を通じて最高度の注意が必要です。また為替を通じて外国の仕手筋がなんらかのアクションを円や日本株市場に仕掛けるかも知れません。気を付けてください。

今の鳩山民主党の政策方針では、デフレの進行が確実に約束されています。これは決して自然現象でも、止む負えないことでもありません。人為的現象です。悪化に向かう方の人為的現象です。

政権交代による景気回復の期待がしぼみ、再び大きくデフレの促進方向に舵を切ったのです。

一言主。http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/