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         デフレ・インフレの一般理論
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2009年12月15日 水泡に帰す7兆2千億円 

水泡に帰す7兆2千億円。

先頃閣議決定された第2次補正予算は、経済成長になんら貢献できず、ほとんど意味の無い7兆2千億になるだろう。

それは消費を増やす手段をなんら講じていないからである。デフレの解消や、デフレ時の経済成長のためには、消費額を増やすための政策が必要である。しかるに今回の補正予算は、従来型のデフレ促進型の借金増大策に過ぎない。

現在の日本の状況は危機的状況に有り、いつ消費パニック(米よこせ一揆、ええじゃないか。)が起こってもおかしくない。
にもかかわらずこのぬるさ、甘さ,遅滞、方針の悪さでは日本は救われないであろう。少なくとも2千10年3月まで経済は下降の一途となることが決ったのである。

4月にガソリンの暫定税率が廃止され丸ごと消費者に還元されればまだ少しは復活の可能性は残るだろう。
しかし環境税などに肩代わりされればもはや経済はさらなる急降下を見せることになる。ハートランドからどんどん資金が減少し続け、深刻度が増すだろう。

恐らく小泉政権下と同じような雪隠詰めになろう。ただただ降下し続ける経済を傍観するだけなのだ。当時はまだ、下降して行く余裕が有ったが、今はそんな余裕がなく、つるべ落としになり、一挙にご破算になる可能性がある。

来年の参院選まで民主党政権が持たないかどうかは、マニフェストを実行できるかどうかにかかっている。

これが元日から高速代金の3割負担で全線で実施されればどれだけ人心が変わることだろう。

元日から前倒しでガソリン税の暫定税率を廃すれば、世の中の雰囲気が一気に変わることだろう。

我々が民主党に望んだのは従来からの鬱屈した決り切った政策ではなく、消費者の懐を増やしデフレ解消の道しるべとなる明るく展望の開けた政策だ。

このような持続的にわずかづつでも消費者の懐を増やす政策がデフレを解消していくのである。正しい消耗でない拡大再生産を伴う成長を見せるのである。

虎の子の麻生14兆補正から取り返した2兆7千億も無駄になってしまった。

私達が今望んでいる生活安全網は築かれず、消費者への資金注入も行われなかった。

麻生政権の経済政策も笑えたが、国民新党の亀井氏が出てきてまた同じ政策を取り主導するとは思わなかった。獅子身中の虫とはこのことだ。

内容は、ほとんど今までの自民党政権の踏襲に過ぎない。財政出動をいくらしても、それを生産者側へ投入している限り、また公共投資をしている限り、それは間違った消耗した経済成長に過ぎず、拡大再生産することはない。

デフレは消費不足なのであり、名目GDPが伸びない限りデフレは解消されないのである。日本の名目GDPの大きさは500兆前後でうろうろしているだけで20年近く伸びていない。生産量だけを伸ばしても結局最終的に、その焚き付け資金ががなくなれば元の木阿弥に戻るのだ。生産額が消費額に一致する。そして消費額の減少に応じて生産額も下がっていく。これがデフレである。
http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonui/デフレ・インフレの一般理論3章デフレのメカニズム参照

このような閣議決定はなされない方がましである。直ちに破棄しもう一度閣議決定されるべきものである。

現在の日本のデフレ状況は厳しく、もはや従前の付け焼き刃程度では、そよ風も起こせないだろう。正しい拡大再生産を導く成長を約束する予算でなければならないのである。

地方への財源委譲は、その内容をよく吟味しなければいけない。ほとんどが公共投資であるなら削減すべきである。
危機的な時地方の疲弊のためとか理由で同情してはいけない。地方も売上がほしいのである。すぐに本丸への攻勢をかけねばならない。

中小企業への融資枠拡大などは、既に大幅に実施されこれ以上やっても無駄なもので、よりモラルに反する貸出が行われるだけである。そしてそれが借金に跳ね返るだけだ。

この貴重な財源を生活安全網の構築に使い、消費者への懐を増やすものにすべきであった。

高速代金の低減3割負担で即日実施
この正月1日から、実施すべきである。

東名や名神などの通行量の多いところが消費者への懐を増やすのであり、地方を無料にしても効果はでない。これは経済政策であり、地方への施しではない。
財務省や、環境庁の役人の言うことを聞いていても景気は回復しない。
もしそれが正しいなら既に景気は回復しているだろう。それは間違っているからだ。

ガソリンの暫定税率の廃止を前倒しで実施すべきである。正月元旦からでも、2月初めからでもよい。
昨年ガソリン価格が上がり車の通行量が減った事は皆さん知っているだろう。逆のガソリン価格の低減は確実に消費を促すのである。

環境と景気回復の2兎を追うものは1兎も得ず。

この間7ー9月期のGDPの2次速報値では、名目値が4ー6月期よりわずかであるが下がっている。実質GDPはほぼ横ばいに近い数値であった。これは定額給付金の効果が完全に7月からなくなったことを指している可能性が有る。
(http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/絶望的な4ー6月期の経済成長、経済学が大変、需給ギャップと財政出動など参照)

定額給付金のようなものは一時的で、金持ちにも配ったので、不効率であったが、それでも効果が現われたと思われる。

ここで言いたいことは、公共投資であれ、補助金であれ、低金利にしろ名目は何であっても、供給側を刺激し生産量の増大を図る政策は、デフレでは役に立たず、逆にわずかであっても消費者への資金投入の方が効果が上がるということだ。

消費額が増えないで、生産量が増えても所得は増えないということだ。労働量を増やしたり、生産量を増やせば所得が増えるというのは、正常な経済の場合で有り、デフレの場合それは幻想に過ぎない。

生産物は必ず消費されなければ売上にならず、売上にならないものは所得を形成しない。生産物は消費されることによって初めて付加価値が形成される。
そのため生産量に比べ大幅に消費が減っているデフレでは、生産量が増大しても消費者が買うことができる量が定まっているため、所得が増えないのである。

これが日本の政策がことごとく失敗し、借金が増大した原因である。

この第2次補正予算には消費額の増大に寄与するものがない。それ故無駄なのである。無だというより浪費である。

日本の政策担当者は、ただ資金投入先を消費者に変えればよいだけである。できるだけ平等に、公平にしかも低所得者に回る方法を考えればよいのである。

蒸気機関車に例えると、焚き付け資金で列車を速く、どんどん走らせることを考えるのではなく、焚き付け資金を乗客を増やすことに回すことが大事なのである。ゆっくり走っても乗客をたくさん乗せれば、採算が取れるのです。

蒸気機関車の焚き付けを増やしたり、燃料を増やし、いくら列車を速く走らせても乗客が少なくなっていけば赤字が増えるだけです。ここ20年間日本はこれをしてきたのです。

民主党の第2次補正予算を見た印象では、マニフェストで標榜した消費者の懐を豊かにするという政策は単に国民を釣るための看板であったように思う。

民主党は、既に役人や、旧来の経済政策主導者に取り込まれてしまったようだ。民主党自体に経済への洞察がないことがこのマニフェストを無効にしつつあるのである。今マスコミや経済学者の多くが
求めている政策は、これまでと同じ一時しのぎの偽りの成長を目指すものである。どうか良く心得てほしい。

羊頭狗肉
遅すぎる、ぬるすぎる。八方美人である。消費者への資金投入がない。このような政策では来年後半にデフレからの解消はない。さらに危機が強まるであろう。

一言主http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/