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         デフレ・インフレの一般理論
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2009年8月7日
自民党のマニフェストについて 

自民党のマニフェストについて

経済面から見ると最悪のマニフェストでる。

民主党のものも論評したので、自民党のもするのが普通ですが、経済の面から見て批評のしようがないというのが実際です。

自民党のマニフェストは目標を上げていますが、そのための手段や方法が全く書いていません。財源をどうするのかを書いていませんが、消費税を法制化の準備するということから、財源は消費税を増税して補うつもりのようです。

1、来年後半には年率2%の経済成長を目指す。
2、今後3年間で200万人の雇用確保
3、10年後には可処分所得を100万円増額する。
4、景気回復後には速に消費税を上げる。

このような目標値を上げています。しかしそれに対する手段、方法、財源、消費税の税率額、などなんら明示されていない。これでは批評のしようがないのです。
これは明らかに自民等の手詰まりを物語っているのか、あるいは、手の内を見せず相手を攻撃しようとしているのかもしれない。

1、来年後半の2%成長であるが、この成長率が名目GDPであるのか、実質GDPであるのか明らかではない。

先ずこれを明らかにすべきである。でなければ論評できない。
実質GDPかあるいは名目GDPであるかにより当然取る政策手段方法が違ってくるからだ。

しかし恐らくこれは実質GDPであるだろう。従来どおりなんら反省する事なく同じ論理でこれからも同じ政策を取るようであるからだ。

それが実質GDPであるなら、そして名目GDPがこれより下になるような成長なら、単にデフレを促進しているに過ぎない。今までどおりの生産者優遇の政策でいいだろう。それはさらなるデフレを促進することになる。
しかしながらなんら手段は書かれていない。

逆に名目GDPであるなら、直ちに消費者優遇策に変えねばならないだろう。それはデフレ解消の道程を歩むことになる。

2、200万人の雇用確保、どのような手段による雇用の確保なのか。生産者への補助金による雇用の補助なのか、直接労働者に対する所得補償なのか。
その財源はどこから引っ張ってくるのかを明らかにする必要が有る。新たな雇用創出によるものなら、新たな産業を創成しなければならないだろう。それはどんなものか明らかにすべきだろう。

景気を拡張させ雇用者を増やすのなら消費税を減額し、消費額を増やし景気を回復させなければならないだろう。

3、10年後の可処分所得100万円増やす。すばらしい目標である。これを実現する事は可能である。
しかしその手段は自民党のマニフェストには皆目見当たらない。ウソを付いているのと同じだ。

10年後に可処分所得を100万円増分するのはそれほど難しいことではない。正しいデフレ解消手段を取れば軽く実現できるだろう。しかし今のところその政策手段は民主党のマニフェストの中に散見されるだけだ。民主党の方がデフレ解消の可能性が高く、実現する可能性が高いだろう。

4、景気回復後には速に消費税を上げる。

先ずいつ景気が回復するか分からない。今の自民党の政策に景気が回復する手段が書かれていない。このまま回復しないかもしれない。なら消費税は上げられまい。

何%上げるか書いていない。何をどうするから、これだけの消費税が必要という具体的な数値が不明である。
また景気回復の具体的な数値が不明である。

例えば実質GDPの成長率が2%ぐらいで、しかも名目GDPの成長率がそれより低い場合でも成長というのかどうか疑問である。というのはいざ凪を越えたという経済成長と政府が宣言した2千2年2月から2千7年10月までの実質GDPが2%前後であったからだ。

この程度の数値で消費税を上げれば、日本経済は即死だろう。

もし消費税を上げるなら、最低限、名目GDPの成長率が5%以上必要であり、しかも同時に実質GDPが3%以上必要である。このような名実GDPの状態と2%程度乖離がなければやってはいけないものだ。

消費税の増税はデフレで行えば壊滅的な状態に陥る。真っ当な知識、経験が有る者はしないものだ。今消費税を上げるというものは、正義の味方でもなんでもなく、単に経済の半可通に過ぎず、デフレというものの原理仕組みを知らないもののたわごとに過ぎない。

このように自民党のマニフェストは経済面から見ると落第であり、その根本理由は手段が抜けていることである。その手段が書いてあって初めて論評に値するのであるが、その手段が有ればもっと酷評できたかもしれないし、あるいはより好意的に書けたかもしれない。
経済面から見てマニフェストに値しない。財源についてもなんら言及がなく、民主党の方がまだ具体的な財源対策が書かれておりましだと思われる。

一言主http://www.eonet.ne.jp/~hitokotonusi/
デフレ・インフレの一般理論第1章参照