間違った需給ギャップの認識と財政出動

世界が現在の危機をさらに深める方向に進んでいるのは、需給ギャップを埋め合わせるという考え方があるからである。特に著名なノーベル賞学者が提唱することから余計に間違った方向へと進んでいる。

経済理論と実際の経済の遊離を分からない輩が、この理論を無闇と振りかざすからアメリカや日本の為政者たちがGDPの2%を越える財政出動という馬鹿げたことをするのである。

現在の経済縮小は、金融資産や土地価格の大幅な暴落により、借金が増え、その借金の返済のためにハートランドの資金が大きく流出しているため、ハートランド内の資金が減少し、その結果ハートランドの消費が著しく不足していることから生じているのである。

しかもその原因がハートランドという同じ市場内に無く、ハートランド外の原因によるものである。

特に日本の現在の統計に見られる大幅な縮小は、デフレにより内需が極端に減少し、外需に頼らざる負えない経済に移行した所へ、欧米の金融危機がその外需を遮断したからである。それ故輸出に頼っていた生産能力が大きく存在したまま、外需という消費がなくなったのである。

これは所得から消費に回る資金が大幅に減少した結果起こる現象である。決して欲しい物を手に入れて満足した結果ではない。欲しいのだがお金が無いだけなのである。買えなくなったのである。

この生産量と消費のギャップは、需給ギャップではない。生産量と資金量の差から生じるギャップなのである。

この時通常の今までの経済学が推奨している政策を取ると間違った方向へと行く結果になる。すなわち低金利や、財政出動により生産量を増やし所得増加をもくろむような政策は、返って経済を悪化させる。

日本のバブル崩壊の時、闇雲にこのような政策を取ったことが今なをデフレに苛まれる理由である。

今回の外需の遮断は、日本のバブルの崩壊の時に、金融資産や地価が暴落し、ハートランドから外へ資金が大幅に流出した結果、国内の消費が落ち込んだのと同じである。

外需が一挙に無くなった結果、日本国内には輸出が不能になった生産手段が丸まる残っているのである。
それは、ものが一巡して誰もが持っているから需要が少なくなったり、誰もがうんざりして需要が減少したのではない。単に外需が減少し購買力がなくなっただけなのである。

その原因は明らかに外需という資金不足にあり、生産過剰の問題ではない。これを間違えて生産量を減らしたり企業淘汰をを図ると、小泉政権のような悲惨な結果をもたらすのである。企業をいくらつぶしても、その分所得が減じ均衡は訪れることがない。

またこの不況を単なる需給ギャップと捕らえ、ハートランドの生産量を刺激し所得を増やそうとしても、返って所得は減少することになる。

これは埋め合わせるべき物を明らかに間違えているのである。貯蓄より借金が大きくなった経済では、生産の増大に伴って所得がそれ以上増えることはない。資金は返って減少する。それ故直接消費を増やすような財政出動が必要なのである。個人の手元にお金を殖やすような政策がひつようなのである。。

消費が不足し生産力が有り余っている経済では、競争激化から低価格品が多く生産されている。
このような所へ生産刺激策を取り、低金利や補助金を増やして、さらに生産力を増やす政策を取ると、生産過剰の上にさらに生産物を増やすことになる。

そして生産物1単位から得られる付加価値がさらに少なくなる。企業はより量を多く売らなければ、採算が取れなくなる。その結果企業はさらに低価格で販売しようとする。それが経済を循環的に縮小させるデフレスパイラルを招くのである。

資金が生産量より著しく少ない市場で、さらに借金をして生産を増やすと、消費の激しい取り合いが起こり、低価格競争が激しくなる。そして1単位辺りの利潤が減少する。それが賃金を引き下げることになる。

これがGDPに反映されると実質GDPの成長率が名目GDPの成長率より下位になり、その差が開くほど資金量と生産量のギャップが激しいことを表すことになる。そしてますます資金がハートランドから減少し
所得線がさらに角度を下げて行く。

所得線の角度が45度より下がった経済で、
供給サイドへの財政出動はデフレを促進する事は理論的に明らかでる。またバブル崩壊後日本が取ったこのような政策は、ことごとく失敗し、投資額以下の所得増になったのはこの理由からである。

日本経済はこのことを明らかに実証もしたのである。
特に2千2年度から2千7年度まで続いた成長はこれを証明している。(単なるデフレ下の成長に過ぎず、消耗しただけだったのである。)http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/ 経済学が大変参照のこと。

所得線の角度が45度から下に下降している市場では、角度を上下動させる政策を取る必要がある。角度が上下動する原因は、資金量と生産量のギャップにあり、デフレのような角度の低下の場合は、消費者の負担を減らし、消費者の手元に自由に使える資金を増やす政策を取ることが重要な政策となる。

需給ギャップは、所得線が45度以上の場合に、所得線上を、所得線に沿って上下動する場合に有効である。生産量を増やすことにより所得が増えるからである。
しかしながら需給ギャップ論は、このように、現在の大きな資産崩壊による資金量の減少と生産量の間にあるギャップにたいして間違った方向へ導くものになる。
一刻も早くこれに気付き、政策の大変換がなされることを願うものです。でなければ大きな災いが世界に降りかかり、その端緒を切るのは日本である可能性が高いでしょう。

消費税の減額、ガソリン税の減額、が必要です。

そして今やっている高速代金の減額も消費者の手元にお金を残す為にやるものです。高速道路をたくさん利用してもらうためにするものではありません。ETCをたくさん付けるためにするものではありません。

首都高速や阪神高速、
名古屋高速の代金を一刻も早く引き下げ消費者に還元するべきです。土曜日日曜日祝日にしても効果が薄いものです。

今日本政府がやっているデジテレビへの補助やエコ商品への補助はすべて生産者を優遇するものです。同じばらまきでも消費者への方向が効果があります。

考え違いをしないことが大事です。生産量に対して資金量が減ったものと(お金が無いので欲しいものが買えない状況、)生産量に対して需要が減ったもの(お金があるがもう買いたくない状況)を区別して対応しなければなりません。

そして経済対策は水平方向ではなく、垂直方向に向かうものを取る必要があります。水平方向は生産増を意味し、垂直方向は、消費増、資金増を意味します。

一言主。


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2千9年4月24日

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