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         デフレ・インフレの一般理論
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2008年12月12日 あこぎな内閣府の試算:消費税・所得税・法人税

あこぎな内閣府の試算

少し古い資料になるが政府や役人が如何にいいかげんで自己都合であるかが分かる資料である。

2千8年7月31日の読売新聞によると、内閣府の試算で5兆円規模の増税を行い、増収のすべてを国債の償還に当てるとすると、消費税を2%上げる必要が有り、その時実質GDPが5年間にわたり年平均0、45%押し下げるという結果を弾いている。

これに対して消費税に代わり法人税率を引き上げた場合、実質GDPの押し下げ効果は5年にわたり平均0、57%であり、所得税を引き上げた場合は、0、48%の実質GDPの押し下げ効果があるという。消費税の引き上げが一番経済を縮小しないと言いたいらしい。

本当であろうか。完全に間違った試算であり、少し所か完全に利益誘導がかかっている。こんなので国民や政治家がだまされ、税金を課されてはたまったものではない。よっぽど法人税引き下げの圧力が内閣府に強くかけられているようだ。

善いように取ると、恐らく彼らは消費税と法人税、所得税の違いが分からないのかもしれない。知らないとすればお気の毒だが、一番損をするのは国民である。いいかげんな試算は出さないで欲しい。

悪く捕らえると、恐らくこのようなよまい事の試算を小出しにし、国民を洗脳しようとしているのであろう。それが非常に色濃く出た試算といえよう。既に2、3の政治家はこの間違った利益誘導の値を信じ、消費税と企業減税を組み合わせたような政策を論じているものさえ出ている。明らかにこの試算の影響を受けていると思われる。

消費税と所得税、法人税の掛け方、徴収のし方を考えれば明らかであろう。

消費税は売上にかかるものである。
国全体の売上を直接下げるものである。これに対して法人税、所得税は、売上の中から利益を出しそれをどのように配分するかの問題である。
根本的に経済に対する作用、影響の仕方が違うのである。

消費税の増税は、
それは生産量と資金量の比率を変えるものになる。それは所得線の角度を変える性格のものである。角度を下げる方向に働くことは、デフレスパイラルを起こすことを意味している。生産量がそのままで消費量だけが急速に無くなることを意味している。

それ故インフレのような、所得線の角度が45度線より高い場合、資金量を減少させ、所得線の角度を下げ、経済の過熱を下げる効果がある。

これに対してデフレのように、資金が少なく所得線の角度が45度線以下になっている場合、消費税を上げるとさらに資金が少なくなり、生産量と資金量の比率が変わり所得線の角度が下がることになる。この所得線の下降がデフレスパイラルを起こす。それ故激しい経済縮小が起こり、低価格競争と、所得低下が循環的に繰り返される。

これに対して法人税や所得税の引き上げは、国民所得の所得線の角度を直接変える作用を持つものではない。所得線の角度を変えず、その線上を所得の減少にあわせて生産量と均衡するところまで経済が縮小する。その後その税収分をどのように国が配分するかで経済の発展の仕方が変わるものである。この命題では全部国債の返済に回すことから、なんら市場に出回らずただ経済が縮小させるだけであるが。

このことからデフレにおける消費税の引き上げは、法人税の引き上げや所得税の引き上げとは根本的に違った経済現象を巻き起こし、経済に与える影響は計り知れない甚大なものになる。

このことからデフレの場合、理論的に、消費税の引き上げの影響は、所得税の引き上げや法人税の引き上げより大きいことは明白である。
故にこの試算は完全な間違いか、利益誘導か洗脳であると言うことができる。

またさらに付け加えると、法人税はデフレの場合赤字の法人が多く、実効効果が現れ憎い、所得税の引き上げは、直接消費に影響するため、法人税より悪い影響が大きくなる。

デフレの場合最も悪い影響があるのは、消費税引き上げであり、次に悪いのは所得税の引き上げである。そして次にくるのが法人税の引き上げである。

そもそも消費税の引き上げは、デフレ下では、売上に税率を掛けただけでは計算できず、売上減がどの程度かを加味しなければならず、消費税の2%増税がうりあげ5%減であれば意味がないのである。

もう一つ付け加えるとこの試算の前提となっている増税分のすべて5兆円を国債の返済に回すことは、国の借金が1000兆円越えをするかという時に、200年かかることになる。これこそ借金を末代まで残す算段である。それも経済を縮小させながら払って行く計算になる。

馬鹿な政策であることはひを見るより明らかである。こんな政策を日本の中枢が取るとは普通思えないが、
やりかねないところがあるのが日本であろう。

普通の理論と掛け離れた偏向試算のように思います。

近頃再び消費税を上げて、企業減税をするというような組み合わせた施策をしようと試みる人達がいるが、デフレでは、まず始めにデフレ解消が大事であり、消費税を上げてデフレは解消されることはなく、借金がなくなることもない。

企業減税をしても今の欧米の現状では外需が伸びることはない。企業減税は確かに民間にとってはうれしいことだが、デフレ解消には無意味に過ぎず、かえって借金を増やしかねないものである。


一言主
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