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         デフレ・インフレの一般理論
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2008年12月02日 ショートコメント:世界金融サミットの失敗

ショートコメント:世界金融サミットの失敗

今回の金融サミットは、残念ながら世界経済をデフレに導く第一歩となったかもしれない。

財政出動による各国の景気対策は大半の国で生産者側への優遇策、生産刺激策をとるだろう。それはデフレを促進するからである。世界はまだデフレに対する処方箋を知らないのだ。

世界の主要国が集まり経済を再生するサミットを開催し得たことはすばらしい前進である。

しかし残念ながら、政策の内容が今までの経済対策の踏襲に過ぎない。これでは、1929年の大恐慌の二の舞いになるだろう。

経済対策として消費者側に資金を投入せよと宣言すべきだったのだ。

決まったことは、世界規模での金融機関の監視の強化と、財政出動による内需拡大を図ることであった。

金融機関の監視の強化などは、デフレやインフレの失敗した経済(資金量と生産量の間に大規模な差がある場合)では、金融を独立させることは無意味でありこの決定は当然である。
http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/アダムスミスの致命的欠陥、又は、けいんずの致命的欠陥参照のこと)

問題は財政出動による内需の拡大を図るというところである。

彼らがなさなければならないのは、財政出動による消費者への還元策であり、消費不足を補う政策を行うよう要請すべきなのである。

しかし各国に自由に財政政策を取らせると、多くの国で生産者側への刺激策を取ることになろう。消費が不足しているところにさらに物を作っても売れないのである。物は消費されて始めて所得となる。消費されなければ所得にならない。
これでは、借金が嵩むばかりで、デフレが進行するばかりである。

国によっては消費者側への財政出動を行い功を奏する所も出るだろう。しかしその他の多くの国で、生産者側への刺激策となり、消費に火が付かずに資金減少の大きな渦にのみ混まれるであろう。それが世界経済をよりいっそう難しくするであろう。

今回のサミットの決定により、少なくとも来年1年間はさらに景気が悪化することになる。我々庶民は各国の掛け声や宣伝に躍らされる事なく冷静に判断しなければならないだろう。

来年3月までに取られる財政出動の中身を確認しなければならない。正しく所得減税や、消費税の減額、などの消費者への還元策が取られたかどうかを確認する必要がある。

この資産デフレで資金が大幅に減少している渦中で、
徒に公共投資を増やしたり、低金利にし過ぎたり、生産者側に補助金を出し過ぎることは、多勢に無勢である。

この不景気は生産者側に問題があるのではない、資産価格の崩壊による借金増が、消費不足を招いたのである。この認識を各国は持っているだろうか、もし持っていたとしてもそれに対する的確な政策を実行できるだろうか。

できないであろう。今支配的な経済学はデフレに通用しないものであり、1929年来進歩していないからである。今回集まった人達に進歩した経済学を述べる人達はだれもいなかった。

今やることは資産価格の崩壊をさらに進めることではない。できるだけその崩壊を少なくし借金額を貯蓄額以上にしないことに重点がある。日本はこれに失敗したため、完全な所得デフレに入ってしまった。

世界はまだ所得デフレまで至っていない。まだチャンスは十分に残っている。しかしこのサミットで重要だったことは、生産者側への財政出動は役に立たないことを日本がはっきりと示すべきであったのだ。

しかるに日本で財政出動というとお決まりの生産者への優遇策、低金利、公共投資である。麻生氏は日本で無意味な26兆円の財政出動を行う張本人なため、何の役にも立たなかった。どころか逆のメッセージを与えたかもしれない。

はっきりと世界に消費側に投資せよとアナウンスすべきであったのだ。

日本は反面教師としてサミットに行き、生産者側への優遇策である、公共投資、低金利、補助金などすべてやりましたがデフレに勝てませんでした。
このような馬鹿げた政策をしないように提言すべきであったのです。

一言主