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         デフレ・インフレの一般理論
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2007年7月30日 現在の経済状況2千年7月

現在の状況2千年7月
今年の2月頃考えていた以上に日本経済は悪いようだ。特に名目賃金が昨年後半下がっていたというデーターは、非常に重要で公表するには遅すぎる。これが分かっていたら普通住民税の増加増税など先延ばしにしていただろうに。政府関係者は未だもって、デフレの仕組みや原因が分かっていない。という証しだろう。
もう少し期待していた大企業の5月の昇給も低調に終わったようだ。6月年金の問題で将来の不安をカキ立て、住民税の増加になった。昨年の名目賃金は減少していた。消費者物価は下がり続けている。何のことはない選挙があるので株価が上がっているだけだ。

世界は円安で日本の評価をし始めた。日本の現状を正しく認識し始めたと言う事だろう。
GDPの実質と名目の逆転現象が何を意味しているか世界は知り始めたのである。
この6年間の実質GDPのみの成長を捕らえた議論は、景気はいざなぎを越えたとか、日本は物価が安定した好景気が続き、公共投資がなくても成長しているのは、戦後初めてのことだ。などと浮かれている人達に乗せられている場合ではない。彼らはGDPの逆転現象を説明できない人達なのだからそんなことを言う資格がないのである。実質GDPの成長を指標にして、低金利にし、インフレにしようということ自体が哀れなのである。根本が違うのだ。また政府や役人やどこかの新聞記者の音頭にのせられて消費税を上げるべきだという国民が増えつつある現状だ。涙を禁じ得ない。
またこの成長を半信半疑で受け止めている人達もいる。その人たちはパワーレス成長とか、繁栄亡き成長とか言っているが、いずれも状況のおかしさを指摘するだけで、具体的な物を出さない単なる批評家に過ぎない。
最近私の近くでは息切れによる廃業が増えている。このような零細企業の倒産廃業がデフレを促進して行く。大企業の輸出に頼った経済では、日本の大部分を占める中小零細企業の廃業、倒産、破産などの淘汰は、所詮大企業の利益や雇用だけでは補うことができない。また大手であっても国内需要主体のコングロマリットも危なくなっている。

政府はそれが分かっているにもかかわらずなんら手を打っていない。言い換えると打つ手が無駄打ちになっている。彼らは無駄打ちを認めたがらない。自分の失敗を喧伝することになるからだ。
これから後半物価は少し上昇する可能性がある。原油価格の上昇やそれに関連した素材の価格が上昇しているからである。しかしそれは単なる価格上昇に過ぎず、デフレの解消とはなんら関係が無いのである。名目GDPが下がっているなら返って悪くなっていると言えるであろう。去年もやはり同じ現象が起こっていたはずである。今年も同じことが起こるであろう。より悪くなって。

*「デフレはまた何度も繰り返すが、資金が生産量に比べて著しく減少している状態であり、所得線の角度が45度線より角度が低くなっている状態である。」
デフレ下の輸入素材価格の上昇は、消費者の価格に対する指向が強く(価格弾力性が高く)、企業が思うほど価格を生産物に転嫁できない。それでも物価は少し上昇するだろう。しかしこの時全体の資金が伸びないあるいは減っている状況で物価が上がれば当然買う量が少なくなるか、価格の安いものにシフトするかであろう。これが日本全体の付加価値を減らすことになる。名目GDPは確実に下がるであろう。物価の上昇は、インフレによるものでなくデフレ下の物価上昇であり日本経済の成績がさらに悪くなったことが判明するだろう。(デフレインフレの一般理論から)

この時気を付けねばならないのは、政府が発表する名目GDPや実質GDPは、国内だけではなく外需によるものも含まれているということだ。去年のような円安になると特に名目GDPが増え、見かけ上よく見えることだ。実質GDPもしかり。日本国内の需要以上に作っているので、国内で消耗して増えている生産量にプラスされることになる。デフレは日本国内であり、他はデフレではない。それ故国内と輸出分をはっきり区分けしないと間違った政策を取ることになる。特にこの輸出還流資金は、国内市場(ハートランド)に
回らず国民所得を形成しないので、土地資産や金融資産、外貨に回ることになる。なぜならデフレ時にはハートランド内に有効な投資先がないからである。
恐らくこのまま進めば日本はデフレ下の完全雇用を達成するであろう。その時経済学者は何というであろうか。こんなはずじゃなかったでは遅いのだ。しかしそれすら認識しないかもしれない。なぜなら教科書に載っていないから。教科書に載っていないから責任取る必要がないのは、学生だけだ。

デフレ・インフレの一般理論

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