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         デフレ・インフレの一般理論
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2007年7月11日 昨年2006年の名目賃金が下がっていた理由

昨年2006年の名目賃金が下がった理由。

どうやら昨年の後半名目賃金が下がっていたらしい。政府はこれに対してなんらコメントしていないが、今の経済成長(実質GDP2、4%の成長)がまやかしであり、今の政策がなんら付加価値が増えない事を証明している。

実質GDPを成長させても、名目GDPがその半分ぐらいであり、インフレ率もほとんどない状況というのは、経済が消耗している証拠である。
そのようなデフレの時いくら生産量を引き上げる政策を取っても無益なのである。かえって競争が激しくなって価格が下がるのである。資金を市場に増やす政策がなければ無用の政策となる。それ故、製品に付加される自己利益の減少となり、その結果リストラや賃金カットがおこるのである。

名目賃金が下がるのは、1、一つの理由は、儲かっている企業は一部に限られ、それも外需を謳歌している輸出企業である。その他の多く内需対応の企業は大企業であっても、零細であっても国内のデフレ圧力を受け賃金も維持又は低下気味である。それ故に好調企業は賃金を上げて募集する必要がない。
2、去年は原油高であり、円安でもあったので、石油関連の輸入素材は軒並み上昇した。
デフレの典型的な状態である全体的に資金不足の場合、原材料となるような輸入品の価格が上昇すると、特に原油のような現在の基礎的な資源が上昇すると、日本の産業の広範囲にわたり、仕入れに対する費用が増えることになる。余分な資金を価格の上昇した輸入品の購入に回さざる負えず、そのコストを価格転嫁しようにも、市場は資金不足のため、消費者需要が十分なく、他企業との競合関係から商品への価格転嫁が十分できない。そして結局そのしわ寄せが、自力でできるリストラや賃金の減少となったと思われる。企業が輸入原料のコスト分を自己製品の価格に載せることが困難なため、自己利益を減じ、その圧力がリストラや賃金抑制につながったと言えよう。
3、消費者の負担が減ったり、消費者の賃金が伸びていないため、消費額が一定のため、製品価格のわずかな上昇にも敏感に反応し、か格弾力性が非常に高い。企業は自ずと価格にコストを十分に転嫁できなかった。
輸出企業といえども原油高はコスト要因になっており、賃金の下落に影響を与えた可能性がある。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/の水槽経済学2デフレにおける石油価格の上昇の項参照)図参照

デフレ下の輸入素材の価格上昇は、商品に価格転嫁することが難しく、またたとえ製品価格が上昇しても付加価値が減り、企業の経営状態はより苦しくなる。昨年は原油価格の値上がりとその関連価格が上昇した。それにより多くの人々は、価格が上昇したことをもってデフレが解消しつつあると言っていた。そして旺盛な外需要は、円安が進んだため大幅な名目の売上となり、名目のGDPも内需の不振にもかかわらず、プラスになったのである。それゆえ一見デフレから解放されたような論調が目立っていた。しかし実質はなんら変わっていないことが、この名目賃金の下落によって明らかであろう。内需の資金量が変わらない中で、原油という必需的な輸入素材が値上がりしたため、企業はそのために資金を多く使い、なかなか自己製品に付加価値を載せることができなかったため、その分労働賃金を下げたと言えるだろう。理由はこれだけとうぃえないけれど、デフレにおける素材価格の上昇は、市場資金が伸びなければ、消費が増えないため企業は付ける付加価値を押さえがちである。コスト高を製品に転嫁することができないのである。それ故賃金は押さえられることになる。
”これで明らかなようにデフレとは産出量に比べて大幅に資金が減少し、その結果販売競争の激化から付加価値が十分に取れず、経済全体が縮小していく現象であると定義できよう。”

経済のグローバル化が賃金を下げているのだろうか。
その責任を経済のグローバル化に求める人達もいる。

普通の先進国と言われる国の輸出は国内の需要を確実に満たし、その余剰を外国に輸出するものである。この場合内需が十分にあるため、付加価値を十分に取ることができる。それ故外需を享受するために製品価格を下げても、賃金が下がることはない。賃金下げようものなら、労働力が集まらず、輸出をすることはできないであろう。好調な輸出企業の賃金が上がらないのは、国内の労働市場が逼迫していず、いくらでも他産業や他企業から労働力が参入するからである。
賃金の下落は、経済のグローバル化による要請ではなく、明らかに国内のデフレ圧力によるものである。国内の付加価値削減圧力が、賃金の低下をも垂らしているのである。
見方を変えると 政府は外需を獲得するため国内の賃金を抑制する政策を取っていると言えなくもない。政策担当者は図らずともそのそしりを受ける政策を取っているのである。

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