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         デフレ・インフレの一般理論
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2007年5月9日 経済同友会消費税16%の提言について

経済同友会の消費税の提言16%について。

デフレにおいて増税は政策ではない。特に消費税の税率アップは最悪の政策である。理論的には可能であるが、それは経済を一挙に破壊する方法であるという意味である。

1、消費税ほど景気を左右する税金はない。

以前消費税は景気に左右されない税金だとだれかが正気で言っていたのを思い出す。そして未だにその間違った論が一般的になっている。消費税が景気に余り影響及ぼさないように見えるのはそれがインフレの時になされた場合のみである。日本が最初に3%に上げた1990年はバブルの最盛期であった。それ故資金を民間から吸収したためかえって経済の状態がよくなった位である。
消費税は売上に掛かる物である。物の価格が上がったのと同様の現象が生ずる。当然同じ所得の人が同じ消費額をすると購入量を減らすか、より低価格のものをかわざる負えない。生産調整することになるのは極めて明瞭であろう。それ故不景気の時消費税の税率を上げることはより不景気を深刻化するものである。

消費税は国民所得を直接削減する性質を持つ。それも極めて大きな影響力をもつものである。生産力がそのままでありながら資金が急激に減るため急激な縮小を招く。生産量と資金の比率を変えるため、所得線は角度を下げることになる。所得線上を需要減にあわせて減少するものではない。角度の変動なのである。

それではデフレの場合どういうことが起こるであろうか。デフレは生産量に対して急激に資金量が減った場合に起こる現象であり、全体の貯蓄量以上に借金が増えた場合を考えればよいであろう。市場に出回る資金が少なくなり、消費が減少し、それに対して企業が販売競争を激化させ、価格を下げて少しでもたくさん売ろうとすることから、付加価値が下がり続ける現象である。それでも売れ残りが生じ、企業の廃業倒産、リストラなどにより売上減から所得減を招き、資金がさらに市場から減少して行く。デフレの原因は資金の大幅な減少に始まり、価格の低下に伴う売上減から資金が漸次減少し続けるものである。(この辺の次第はデフレインフレの一般理論を読んでいただきたい。詳しく説明している。)
それ故所得線は45度より角度が下がり、消費曲線よりさらに角度が下がっているものである。これがデフレの所得線といえよう。
それ故デフレにおいては、資金を民間からさらに吸収することはしてはならないことである。それはデフレ促進することにほかならないからである。

消費税は直接売上に掛けその分を民間から政府に移転する物に過ぎない。それ故民間の経済をさらに大幅に縮小させる減少を生じさせる。この縮小現象は資金が少なくなればごく普通の経済現象として起こる。このようなデフレ促進策を取れば日本経済がどうなるか自ずと明らかであろう。橋本政権下の日本とは違いそのころよりはるかに国内経済は縮んでいる。国内の中小企業の多くは耐える力がより少なくなっている。そこへほんのわずかな資金減による消費減を伴なえば大きな動揺が起こるであろう。(http://blog.so-net.ne.jp/siawaseninarou/の赤字補填の増税の項の図を見てもらえば明らかであろう。)
昨年も国内の自動車の販売は伸びていない。日産が新たなリストラをするのを見ても、国内がどのような状態かは明らかであろう。
財政再建のための増税は、民間から資金を吸い上げるだけで、市場になんら再投資をしないため、極悪非道の行いになる。
よしんば消費税で取り上げたすべての税を再び市場に投資した場合でも、政府の再投資は極めてえこひいき的に行われるため、政府がなんと言おうとも広く薄く再投資されることはない。それ故消費税のアップにより広く薄く大量に市場から巻き上げる資金の減少は、所得線の角度を下げる方に働きデフレスパイラル的な経済縮小を招き、政府の再投資は全部が返ったとしても、平等に返ることは決してないので、所得線の角度を変えず、下がった所得線上を上昇することになる。これで明らかにわかるように、全額赤字補填せず、全額再投資されても経済は大きく沈むことになる。それ故デフレ時の消費税アップは国民所得を大きく減らすものである。
また全額赤字補填されようなら最悪の事態を招くことになる。単に経済が悪くなるだけで財政など均衡するはずがない。これをやろうとまじめにしているところが日本の無知のこわさである。普通の経済学者なら提言しないだろうが、普通の人がいないのだ。

経済同友会の消費税の増税提言は日本を経済的に破壊する政策であり暴挙に過ぎない。特にデフレにおける消費税増税はありえない議論である。少なくとも正常な経済かインフレの経済状態すなわち所得線が45度線の角度を維持する状態まで、待たなければならない。日本を代表するような会社が集まった経済同友会がこのような馬鹿げた提案をするところに、日本の危機が見て取れるし、今までの経済政策が失敗している原因でもあろう。

現在日本は財政難から増税すればあたかも財政がましになるようなことを言っている人が大半である。新聞もメディアもそして政府役人さらには経済学者も輪になって消費税増税がいいことのように喧伝しているが、それは完全に間違ったことであり、デフレの術中にはまることである。

今消費税を増税すれば当然売上が下がり、国内企業の窮状がさらに大きくなり、例えば11%の消費税の増税が、11%の売上減を招けば意味がないのである。財政破綻どころか日本経済が崩壊するのである。

デフレにおける政府の最悪の選択は赤字補填のための消費税アップである。これで完全にデフレの罠に落ちるのである。一体デフレにおいて増税せよと言うようなどんな理論があるというのだろう。

日本を指導する方々はもっとデフレというものを知るべきである。今までの間違った政策がどれだけ我々日本国民を苦しめているか。ケインズ理論はデフレやインフレには有効でなく、逆に間違った結論をもたらしている。間違っているということを早く気づき変えなければならないのだ。(来週に続く)

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