電脳名画座 |
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戦闘中にメモリチェックぅ?!
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殉職した警官がサイボーグとなって復活し,正義のために大活躍するSF作品といったら――ご存じ「ロボコップ」(1987年,米,ポール・ヴァーホーヴェン監督)である。 SFと言っても限りなく現代(公開当時の1980年代後半)に近い設定で,全体のノリはむしろ“西部劇”だ。 ラストシーンで名を尋ねられたロボコップは,銃をクルクルっとスピンさせてホルスターに仕舞い,「マーフィー」と人間だったときの名前を答えて去っていく。クライマックスの銃撃戦,ロボコップに撃たれて2階から落ちる悪者の描写は,まるっきり「シェーン」である。 さて,コンピュータ。これがまた,ツッコミどころ満載なのだ。 コンピュータが埋め込まれたロボコップの視界には,システムの情報が「いかにも」という感じで映し出される。COMMAND.COM,LOAD BIOS,MEMORY SET…って,あんた,MS-DOS(1980年代にパソコンで使われていた、文字のコマンド入力で操作する地味なOS。初期のWindowsはMS-DOSから起動するプログラムだった)で動いてたの? ってぇことは,CPUはインテル社製の8086かなんか? 壊れた左腕を取り付けた後のシーンでは, 視野の中にRAM CHECK,CONFIG.SYS…COMSPEC.EXE…などと情報が表示される。ということは,ロボコップの意識が活動しているということで,コンピュータは稼働状態にあるはず。なのに,LOAD BIOSとかRAM CHECKなんていう電源投入直後のメッセージが出るのはなぜだ? 1987年当時は,まだCG技術が未成熟な時代。敵役の二足歩行ロボットED209は,伝統的なミニチュアのコマ撮りアニメ。いかついデザインだが,階段が降りられずに転げ落ちるという醜態をさらす。 当時,二足歩行のロボットは早稲田大学や本田技研で研究中。実用化まで10年の歳月を要した。 特筆すべきは,映像に対する細部のこだわり。ロボコップがはじめて起動し,起き上がって歩くシーンでは,目覚めた彼の視界の隅に複数のディスプレイが映る。 彼はまだ自分の姿を知らないが、彼の視野の隅には自分自身の歩く姿が小さく映し出されている。 他にも、オムニ社のトイレの中で社員が会話するシーンで鏡を効果的に使うなど,ディスプレイや反射映像が効果的に,しかも目立たずこっそりと使われている。80年代の映画で時々見かける手法なのだが、なかなかにおしゃれだ。 続編の「ロボコップ2」(1990年,アーヴィン・カーシュナー監督)では,悪役ケインの顔の映像にMacintoshで作ったCGが使われた。 上半身のメカもMacによる制御。視野内に映るメッセージのフォントもMacっぽいし,左上にはドクロのアイコンが表示されている。一方,ロボコップの視野には“CRIME IN PROGRESS(犯罪進行中)”などのメッセージが表示された後,プロンプトが点滅(入力待ちかよ!)。 修理中に「ハードディスクを交換」なんて台詞もあるので,限りなくパソコンに近いメカのようだ。悪役はMacで主人公はMS-DOS。もう少し待てばWindowsが使えたのに…。 オムニ社の端末にはSUNっぽいロゴが見える。仕事でUNIXワークステーションを使っておきながら,肝煎りのサイボーグにはDOSのパソコンって…。 3作目の「ロボコップ3」(1993年,フレッド・デッカー監督)では,とうとう背中にジェット・ユニットを付けて空を飛ぶ(鉄人28号かよ!)。 敵役の日本製サイボーグ「オートモ」は,視野の中にカタカナが映る。「コマンド,ロードバイオス,ラムチェック」って,システム・メッセージまでカタカナっていうのは笑える(どうでもいいけど,戦闘中にラムチェックするなよ!)。 そして遂に,ハリウッド定番の理数系に強い女の子が登場(待ってました♪)。彼女の使うラップトップは,キャラクタ・ベースのコマンドライン入力で,なんかシブい。 最後に,シリーズ3作で最も気になったところを指摘しておこう。「3」で登場する日本企業「カネミツ」がオートモを保存している部屋の扉に注目。 「立入禁止」の張り紙が手書きで,めちゃくちゃチープ。オムニ社を乗っ取ろうっていう大企業なんだろ? せめて,ゴシック体か何かのステッカーにしてほしかった。 |
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