京都ノートルダム女子大学が、来年度からの学生募集を停止することをHPで発表しました。
「平素より京都ノートルダム女子大学の教育・研究活動にご理解・ご支援を賜り、心から感謝申し上げます。このたび、学校法人ノートルダム女学院は、2026(令和8)年度以降の京都ノートルダム女子大学における学生募集停止を2025年4月22日開催の理事会において決定いたしました。」同発表では、ノートルダム女学院中学高等学校とノートルダム学院小学校は、大学の募集停止とはかかわりなく、今後とも教育活動を進めるとしています。
「京都ノートルダム女子大学は、「徳と知」をモットーとする全人教育を教育理念として女子教育の重要性を説き、1961年に創立されました。以来、「英語のノートルダム」として認知され、定評ある英語教育とカトリック精神を基盤とした国際教育、90年代初頭からIT環境を備え先進的に取り組んできた情報教育、さらに2度にわたるGPの採択により整備した女子のライフキャリア教育を特色とし、社会課題に向き合い支援的業務に取り組む卒業生や、企業や社会活動においてグローバルに活躍する卒業生などを輩出してまいりました。」
「しかしながら、急速な少子化による18歳人口の減少など社会情勢等が変貌するなか、近年は入学者数が定員を下回る状況が続いており、大学存続のためあらゆる方策を進めてきましたが、2025(令和7)年度の入学生を最後に募集停止せざるを得ないという苦渋の決断に至りました。」
「今後は、全ての学生が卒業するまでしっかりとした教育を提供し続けるとともに、充実した学生生活を送ることができるよう、教職員一同軌を一にして万全を期してまいります。就職支援や進路確保についても丁寧に行い、学生の皆さんに不利益とならないよう対応いたします。」
「卒業生の皆様におかれましても、母校を失う悲しさは推し量ることはできませんが、御理解を賜りますよう何卒お願い申し上げます。」
京都ノートルダム女子大学(京都市左京区)を運営する学校法人ノートルダム女学院は25日、2026年度以降の学生募集を停止する、と大学のホームページで発表した。学生が在籍する間は教育を続け、29年3月で閉学する見通し。
発表によると、京都ノートルダム女子大はノートルダム教育修道女会を創立母体に1961年に創立。カトリック精神を基盤に英語教育や国際教育などを重視してきた。
少子化などにより、近年は入学者数が定員を下回っていた。募集停止は22日の理事会で決めた。ホームページで「大学存続のためあらゆる方策を進めてきましたが、募集停止せざるを得ないという苦渋の決断に至りました」と説明している。
ノートルダム女学院中高とノートルダム学院小は存続するという。(木子慎太郎)
京都新聞は25日朝刊に京都ノートルダム女子大学の募集停止の記事を掲載しました。 その後、大学が10時から記者会見、同時にプレスリリースを出し、2026年度以降の募集停止を公表しました。 京都ノートルダム女子大学は1961年の開学。京都では京都女子大学、同志社女子大学と並び、女子大御三家として有名でした。 2023年に社会情報課程(2025年に社会情報学環と改称)、2025年に女子キャリアデザイン学環を新設。2026年には国際言語文化学部を廃止し、人文学部言語文化学科に改組する予定でした。
ココがポイント
エキスパートの補足・見解京都ノートルダム女子大学が、来年度からの学生募集を停止することをHPで発表しました。 出典:MBSニュース 2025/4/25(金)
2026(令和8)年度以降の京都ノートルダム女子大学における学生募集停止を2025年4月22日開催の理事会において決定 出典:京都ノートルダム女子大学 2025/4/25(金)
学年定員330人に対し、2021年度以降は定員割れが続き、24年度の入学生は186人と大幅に減っていた。 出典:読売新聞オンライン 2025/4/25(金)
女子大学は進化・拡大していくか、共学化か、それとも廃校か。女子大氷河期である一方で、その格差は今後も広がっていく 出典:石渡嶺司 2023/3/25(土)
大学の街・京都から女子大が一つ消える。各地で私立大の定員割れが続くなか、京都ノートルダム女子大(京都市左京区)が2026年度以降の学生募集を停止する。25日の発表に、学生や卒業生から驚きや戸惑いの声が上がった。ノートルダム女学院中高とノートルダム学院小は存続する。
大学によると、定員を大幅に下回る状況が続くなか、学生数の確保を進めてきた。23年度に社会情報課程(現・社会情報学環)、今年4月には女性キャリアデザイン学環を新設。26年度には人文学部をつくり、学生を募集する予定だった。
だが、18歳人口の減少に加え、学生の共学志向の高まりによる女子大離れが影響した。運営する学校法人ノートルダム女学院は4月に入ってから募集停止の本格的な議論を始め、22日の理事会と評議会で正式決定したという。
大学の担当者は「小規模大学として財政的な制約もあり、学生を呼び込むための大きな投資が難しかった」と説明する。
心理学科に通う3年生は「急な知らせで驚いた。気持ちの整理がまだつかない。大学がなくなった後のフォローがどうなるのか不安」。別の3年生は「新しい学部を作るという話も聞いていたので驚いた。学生数は減っていると感じていたが、まさかという思い」と話した。
約30年前に卒業した女性(51)は子どもや大学時代の友人からの連絡で知った。特に印象に残っているのは英語の学歌だ。「メロディーもきれいで、ノートルダムらしい誇りに思える歌。少子化や女子大離れで、いつかはと思っていたけれど、母校がなくなるなんて寂しいし、切ない。ショックです」
驚きは京都のほかの女子大にも広がった。
同志社女子大の広報担当者は「驚いている。伝統ある女子大学なので、残念という思い」と話した。全学部で定員が充足し、これまで定員割れは起きていないという。
京都の女子大では、京都光華女子大が26年度から男女共学とし、校名も京都光華大に変えると3月に発表した。京都橘大は05年度に共学化した。(木子慎太郎)
京都市左京区にある学校法人ノートルダム女学院が運営する京都ノートルダム女子大は4月25日、今年度の入学生を最後に募集を停止すると発表した。大学が多く集まる学生の街、京都でも知名度が高かったノートルダム女子大が4年後に姿を消すことに、地元や関係者の間でも衝撃が広がっている。
「近年は定員の7割しか入学者がいない状況」
「京都ノートルダム女子大は地元では“ダム女”と呼ばれ、京都女子大、同志社女子大と並んで京都の女子大の“御三家”的な存在で誰でも知ってます。どこもイメージがいい学校ですよ。かつてはこの御三家の学生と合コンができたら、それ自体がステータスになる、みたいな感じがあったほどです。そのダム女がなくなるなんて想像もしていませんでしたね」 京都の大学に通った50代の男性がそう話すように、同大の発表は驚きをもって受け止められた。同大は25日朝、学校法人が4月22日の理事会で学生募集停止を決めたとホームページで発表し、判断の理由を説明した。 〈京都ノートルダム女子大学は、創立母体であるノートルダム教育修道女会が掲げる『人が変われば世界も変わる』という言葉のもと、『徳と知』をモットーとする全人教育を教育理念として女子教育の重要性を説き、1961年に創立されました(中略)急速な少子化による18歳人口の減少など社会情勢等が変貌するなか、近年は入学者数が定員を下回る状況が続いており、大学存続のためあらゆる方策を進めてきましたが、2025(令和7)年度の入学生を最後に募集停止せざるを得ないという苦渋の決断に至りました。〉(同大HP) 入学者の減少はすでに10年以上前から懸案になっていた。2016年には当時の学長がメディアの取材に「近年は定員の7割しか入学者がいない状況」だと説明。 対処するため、17年度から3学部4学科だった過程を2学部5学科に再編。入学定員も16年度から60人減らして370人にし効率性を高めながら、京都の女子大で初めて特別支援学校教諭の資格を取得できる「こども教育学科」も備え大学の魅力を高めていくとも表明していた。
短大と女子大が厳しい状況にさらされている
当時の学長は「大学のブランド力を過信するあまり、時代のニーズに合わせて変革する努力を怠ってきたつけが回っている。変わろうと懸命に努力している」とも話しており、大学は生き残りをかけ変革を模索してきた。 だが2024年度の大学基礎データを見ると、2020年度には合計370人の入学定員に対し1494人いた志願者は、定員をさらに330人に減らした2024年度には304人にまで減少。入学者数は186人にとどまっていた。 大学によると、こども教育学科も2020年度を最後に募集を打ち切り、志願者増には結び付けられなかった。 少子化で学生の獲得競争が激しくなる大学業界では4年制大学志向と共学志向が強まっているとされ、短大と女子大が厳しい状況にさらされている。かつては短大や女子大は女性向けの求人や資格獲得に強みがあったが、そのメリットが薄れてきているとの見方がある。 文部科学省の集計では、短大の数はピークだった1996年に598校あったが、2024年には297校と半減。 「短大志望者に多かった保育士や幼稚園教諭になりたいという人が、少子化のために減り、さらに4年制大学進学者への奨学金など経済的支援が最近拡充されていることも4年制大学志向に影響しているでしょう」(全国紙記者) 次に逆風が強いのが女子大だ。 「女子大も1998年度には98校ありましたが、男女共学への転換などで2024年度には73校にまで減りました。しかもこのうち2校は募集を停止しており、25年度にはさらに5校が男女共学に変わりました。 男女共学の大学で入試に『女子枠』を設ける大学が増え、女子大が置かれている環境は厳しさを増しています」(全国紙記者)
「創立時の理念として、女子教育の重要性を説いてきました」
2023年3月には、東京都多摩市にある恵泉女学園大学・大学院が閉校に向けて24年度から学生募集を停止すると発表。 大学は「18歳人口の減少、とくに近年は共学志向など社会情勢の変化の中で、入学者数の定員割れが続き、大学部門の金融資産を確保・維持することが厳しくなりました」と説明していた。 ことし2月には、名古屋市昭和区の名古屋柳城女子大を運営する学校法人が、来年度から学生募集を停止すると発表した。同校は2020年4月に開校し、昨年3月に1期生が卒業したばかりだった。 もちろん、女子大も手をこまねいていたわけではない。新学部・学科の開設で志願者を取り込む動きは京都の女子大でも30年前から始まっていた。1994年に光華女子大が、97年に京都橘女子大が、それぞれ新学科を開設すると全国的な話題を呼んで志願者が増え、他の女子大も追随する動きが出た。「最近もデータサイエンスや環境などを学ぶ学部・学科を新設する動きは続いています」と全国紙記者は話す。 こうした変化で魅力を高めることに成功できるか。または男子学生を受け入れ共学化するか。女子大が生き残るにはこの2つの道しかないように見える。 京都ノートルダム女子大は共学化による生き残りは考えなかったのか。担当者は「本学の創立時の理念として、女子教育の重要性を説いてきました。その中で共学化の選択肢を敢えて取りませんでした」と説明した。 大学の街、京都から名門校が消えることで、大学運営の厳しさが改めて浮き彫りになっている。
揺らぐ“女子大”の存在意義
“女子大”の存在意義が揺らいできている――。
「京都女子大学」、「神戸女学院大学」と並んで“関西女子大御三家”のひとつに数えられる名門校「京都ノートルダム女子大学」が、2026年度以降の学生募集を停止することを発表した。
運営元の学校法人ノートルダム女学院は、学生募集停止の背景として、近年入学者数の定員割れが続いていたことなどを挙げており、今春入学した学生の卒業をもって閉学する見通しだ。
京都ノートルダム女子大学は1961年に創立され、英語教育や人文学を中心に、女子の高等教育を第一線で支えてきた。そんな伝統ある大学の閉学に対して、X(旧:Twitter)では次のような驚きの声が相次いでいる。
《関東で言えば白百合やフェリスが閉校になるほどの衝撃。》
《ちょっと信じられない。しかし過疎の地でもない京都の名門大学でもこんなことになるなんて。日本…。》
また女子大の存続についてはこんな意見もみられた。
《もう当たり前のように女性が普通の大学に行くようになりました。 女子大は役割を終えたのではないかと個人的に思います》
《学習院女子大も2026年に学習院大学に統合されて無くなるし、女子大が生き残っていくのはかなり難しい時代なんだね》
上記のポストで言及されているように、都内の名門である学習院女子大学は2023年に系列の学習院大学との統合を発表した。同じく都内の名門校として知られる恵泉女子大学も2023年度の入学者をもって学生の募集を停止するなど、現在女子大の閉学や共学校への統合が頻繁に起こっているのだ。
今回は、名門女子大の閉学の背景について、そして女子大の社会的役割などについて教育ジャーナリストの小林哲夫氏に話を聞いた。
女子大が維持していた“ブランド力”
現在は共学の大学がほとんどを占めているが、そもそも女子大とはどういった経緯で設立されたのだろうか。
「戦後、新制大学が発足する前の旧制度において女子への高等教育を行っていた女子専門学校が現在、多くの女子大の母体となっています。この旧制女子専門学校のいくつかは、戦後、2年制の短期大学となりましたが、1960年代以降1990年代にかけて、短大が四年制大学になるケースがたくさん見られました。ですので、ある時期に突然女子大が乱立したということはなく、戦前の女子の高等教育機関が派生して現在に至ります」(小林氏、以下同)
津田塾大学や日本女子大学、東京女子大学など、女子大には独自の“ブランド力”を持つ名門校が多数あるが、小林氏によれば女子大のピークは90年代ごろまで続いていたという。
「70年代から90年代ごろまでは女子大へ行くことは“普通のこと”でした。というのも、娘を共学の大学に行かせることに反対する親が少なからずいたのです。キャンパスのなかとはいえ男子と生活をさせるのはあぶない、娘を持つ親としては心配だという古い価値観に縛られていたからです。一方で、津田塾や日本女子といった有名女子大学は、独自のブランド力を誇り、“優秀な女性が行く大学”といったイメージが世間に根付いていました。早慶両方受かっても津田塾大に進んだ女子はめずらしくなかった。当時はこうした名門女子大に憧れを抱く受験生も多く、大変人気を得ていたんです」
では具体的に、当時の女子大人気の背景にはどういった事情があったのだろうか。
「女子大のメリットとして多く語られるのが、女性のリーダシップやマネジメント能力を身に付けられる教育環境であるということです。当時はまだ男尊女卑の傾向が残っており、共学校では男性がリーダシップを握る機会が多かった。対して女子大は当然ながら女子しかいないので、何事も女性たちが自ら率先して動かなければいけない環境で、自然とそういった能力が育まれていくんです。
そしてもう一つのメリットは、就職率の良さでしょう。女子の就職活動に関する情報は、当然共学よりも女子大のほうが圧倒的に持っています。女性を多く社会に輩出してきたからこそ形成された女子大独自のネットワークやコネクションは、OGから後輩へ代々受け継がれていっているため、就職活動に関しては女子大ならではの強みがあります」
名門校でさえも閉学になってしまう理由
しかし、2010年代に入ると徐々に女子大の人気が低迷してきたという。その理由について小林氏はこう指摘する。
「女子大人気が落ちている背景には、まず前提として少子化の影響があるのはもちろんですが、それ以外には保護者と学生自身が共学志向にシフトしているということが挙げられます。平成に入り、徐々に男女共生社会の価値観が提示されていくなかで、教育の場面でも同じように価値観の変化が起こりました。親たちのあいだで以前よりもどうしても女子大がいいというこだわりはなくなり、学生自身も女子大、共学問わず自身の志望する大学を受験するようになっていったんです。これまで女子高に通う生徒は女子大に進学する傾向がありましたが、現在は女子高でも共学の難関大学を選ぶようになりました」
さらに、女子大には人文系や語学系の学部がメインのところが多いが、これも女子大の人気が落ちている原因のひとつだという。
「女子大の多く、戦前の旧制女子専門学校の時代から、主に文学、英語などの語学、そして家政といった、かつては女子に人気があった学部で構成されていました。これは「女性は家事を担う」といった社会的に性的役割分担がなされていた時代の名残です。現在でもこうした文、家政系(生活系)学部がメインの女子大は見られます。しかし、いまや多くの女子が経済学部や商学部、あるいは理系学部に進んでいます。ジェンダー平等が進み、さまざまな分野で女性の社会進出が進んだ結果、女子受験生の選択肢も広がっているわけですが、女子大はこうした時代のニーズの変化や社会構造の変化に対応しきれなかったのは否めません」
実際、今回話題となった京都ノートルダム女子大も「国際言語文化学部」と「現代人間学部」の2つの学部のみで、人文や語学以外の文系学部、そして理系学部は存在しない。
存続していくための女子大改革とは?
小林氏は「今後も女子大の閉学や共学への統合は引き続き起こるだろう」と推測するが、女子大の意義についてはこう語る。
「女子大の持つ社会的な役割はまだまだ大きいと考えています。女子大はこれまで社会におけるジェンダー平等が果たされているかどうかを、アカデミズムからジャッジする役割を果たしていました。女性の社会における現在の立場を冷静に分析することに関しては、共学より女子大のほうが長けており、社会におけるジェンダー不平等に警鐘を鳴らす“観察役”として機能しているのです。最近では女子大不要論なども見かけるようになりましたが、女子大のこうした社会的役割は守られるべきではないでしょうか」
最後に今後女子大が存続していくために必要な“改革”について聞いた。
「女子大を存続させるなら、『女子のみ』という性別による制約を撤廃する必要があるのかもしれません。女子大の大学院では男子学生を受け入れているところもあります。女子大も『女子大』という看板は下げず、大学の得意分野(それこそ家政系、ジェンダー系)で男子を研究生、聴講生、科目等履修生などの身分で少しずつ受け入れる、そして男子を思い切って正規学生として受け入れるなどしていけば、受験者数の定員割れの状況を多少改善することができるのではないでしょうか」
――相次ぐ名門女子大の閉学や統合。その裏には社会構造や、受験生の心情といった時代の変化があったようだ。存在意義を問われている女子大は、今後も存続していくのだろうか、そして存続していくとしたらどのような変化・改革が必要になっていくのだろうか。(取材・文=瑠璃光丸凪)
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相次ぐ共学化
武庫川女子大(兵庫県西宮市)の教育総合研究所・安東研究室の調査によると、全国の女子大数は令和6年度で71校。ピークだった27年前の平成10年度(98校)から実に4分の1が消滅した。
定員割れが続き、系列校との統合に踏み切るケースもあるが、共学化に活路を見いだす女子大も少なくない。「園女(えんじょ)」として親しまれた園田学園女子大(兵庫県尼崎市)は今年度から園田学園大へと改称し、共学校として再スタートを切った。
「少子化が進み、学生の確保が難しくなった。時代のニーズに合わせ、性別や国籍の枠を超えた大学の多様性を図ろうと共学化を決意した」。園田学園大の大江篤学長は力を込める。
今春から3学部のうち2学部を共学化。大学によると、男子学生26人が入学した。大江学長は更衣室の整備などハード面の課題はあるとし、「男性にも選んでもらえるように、オープンキャンパスなどを活用して周知を進めたい」と語った。
敢えて閉校選択
関西では、かつて「お嬢様大学」として人気の高かった名門女子大でも、偏差値低下や定員割れが指摘されている。生き残りに向けた対策は多くの女子大で必至の状況だ。
これに対し、京都ノートルダム女子大が選んだのは閉校だった。同大文学部(現・国際言語文化学部)出身で、滋賀県内の美術館職員、山田由希代さん(51)は「寂しい気持ちでいっぱい。建物だけでも残してもらえないか」と話すなど、卒業生にも衝撃が広がる。
中村学長によると、一部の教員から共学化の議論を求める声があったとするが、重視したのは「女子教育の重要性」を説いた創立時の理念。中村学長は女子教育に徹することが使命だとし、「女子大として終わる」として敢えて閉校を選択したと明かした。
「学びたい女子高生まだ一定数いる」(河合塾教育研究開発本部の近藤治主席研究員)
女子大の募集停止や共学化が相次ぐ背景には、18歳以下の人口が急激に減少していることや女性の進路の多様化、また女子大の学部構成がニーズに追いついていないことが考えられる。
これまで女子大の学部は人文系や家政系が中心だった。しかし、近年は理系への進出をはじめ、文系でも法学部や経済学部で女性の受験が増えている。従来の学部構成の転換や多様化が求められているのではないか。
名門と呼ばれる女子大が偏差値を落としているとの声もある。偏差値は志願者の増減と密接にリンクするので、当然志願者が減少すれば入試の難易度も下がる。倍率が下がれば、偏差値も下がるということになる。
ただ、男女共学の大学ではなく、女子大で勉強したいという女子高校生は一定数いると感じている。今後、女子大でも学部の多様化が進めば、学びたいという女子高校生の思いとマッチすることもあるだろう。まだまだ女子大の存在意義はあるはずだ。
私立大全体に及ぶ「サバイバル」
急速な少子化で18歳人口の減少が進む中、昨春の入学者が定員割れした私立大は全体の6割にのぼる。今後も18歳人口の減少は進む見通しで、生き残りに向けた危機感は、女子大だけではなく私立大全体に広がる。
日本私立学校振興・共済事業団のまとめでは、令和6年春の入学者が定員割れした私立大は354校で、前年より5・9ポイント上昇の59・2%。ここ数年は過去最高を更新し続けている。一方、定員全体に占める入学者の割合を示す定員充足率は98.19%で過去最低。特に地方での減少が目立ち、大規模大学への学生集中などが定員割れにつながっているとみられる。
文科省などによると、18歳人口は平成4年には約205万人いたが、以降は毎年のように減少。令和6年には約106万人とほぼ半減し、17(2035)年までには100万人を割る見通しだ。大学進学者も6年の約63万人から22(2040)年には44万人まで落ち込み、現在の定員の7割程度しか埋まらなくなる。
中教審は今年2月、急速な少子化を踏まえた大学など高等教育機関の在り方について、文科相に「定員未充足や募集停止、経営破綻に追い込まれる高等教育機関がさらに生じるのは避けられない」と答申。経営状況が厳しい大学の撤退・縮小を促進するため、国の指導や支援の強化を提言するなどした。文科省は今夏をめどに今後10年程度の政策工程を示す予定で、大学の再編が今後加速する可能性がある。(塚脇亮太)
兵庫県にある武庫川女子大学を運営する学校法人武庫川学院は、2027年度から武庫川女子大学を共学化する方針を固めたと正式に発表しました。
大学名は2027年度から「武庫川大学」とする予定としています。また、現在設置されている附属中学校・高等学校については女子校を継続するということです。
武庫川学院によりますと、武庫川女子大学は1949年に開学し、薬学部、建築学部や経営学部など開設し、今年4月には13学部21学科になり、大学院と合わせると約1万人の学生が所属していて、全国でも最大規模の女子大学だということです。
武庫川学院は、7月28日の理事会で決定後、正式に公表を予定しているとしています。