岩崎元郎:「登山不適格者」
ストックに関する標語として、「他人にやさしく、自分にやさしく、自然にやさしく」が紹介されているが、これは登山全般に通ずるのではないか。
非日常の中で行なわれる「知的な冒険」である登山では、「自分にやさしく」=安全、快適な登山が前提である。
しかし、登山者人口の増加とともに、他人や自然に対する「やさしさ」が、一層重要性を増してきていることは、多くの人が実感していることと思う。
日常の延長線上で登山が可能になってきた(山中でも利用できる携帯電話や百名山目当ての登山ツアー、等)ことが、喜ぶべきことなのかと、考えさせられる。
刺激的なタイトルとは別に、登山をたしなむ者にとって、答を持っておくべき本質的な問いかけをしてくれる本である。

2003年6月10日発行
発行所:日本放送出版協会
217ページ
本体680円