私はなんて幸せ者。こんなに貴方に愛されて。
もしも私たちが出会わなければ
こんな風に笑いあうことなんてできなかった。
私の1番の幸せは貴方の傍にいられること。
幸せな気持ち
「土方さーん。入りますよ」
いつものように締め切っている彼の部屋の襖を開ける。
土方が仕事が忙しいのは知っていたけれど
どうしても一緒に出掛けたくて昨夜総司が頼んでいたのだ。
忙しくて休みがなかなか取れない自分達のご褒美に。
そして恋人としての二人の時間にしようと。
だが土方の部屋は静まり返っている。
「あれ?」
土方はというと、書類を書き上げながら眠ってしまったようで
筆を持ったまま瞳を閉じている。
折角書いた書類の上に筆から滴り落ちた墨で汚れてしまっていた。
総司は急いでその筆を手に取り硯の上に置く。
・・・疲れていたのかな。
昨日自分が無理なお願いをしたばかりに
土方は急いで仕事を終わらそうとしてくれていたのだろう。
出掛けるにもまだ時間はある。
このままだと風邪を引くと思った総司は土方を彼を起こそうと軽く揺すった。
「土方さん。起きてくださいっ」
その時、体勢を崩した倒れ総司の膝を枕にするように
身体を仰向けにして寝転んだ。
「ちょっ・・土方さん///」
顔を赤らめて必死に起こそうとしている総司だが
それに対して土方はというと彼の膝の上で熟睡して起きる気配がない。
膝枕はいつもしていること。
でも総司はまだ慣れていないようでいつも顔を赤らめた。
暫く我慢して膝枕をしていた総司だが、彼の足も限界にきている。
「ねぇ。起きて」
何回も耳元で優しく彼に囁くけれど反応は同じ。約束の時間もとっくに過ぎていた。
―――もうっ!!!
怒った総司はパッと立ち上がると膝の上で寝ていた土方はごろんと畳の上に転がる。
出て行った足音が遠くなるにつれ土方もゆっくりと瞼を開いた。
「・・・」
実はこの男、ずっと起きていたのだ。
総司と一緒にいられる時間が久しぶりで温もりを感じたくて
黙って寝ているふりをしていたのだ。
しかし結果として総司を怒らせることになってしまったのだが。
「・・・総司」
好きで好き過ぎてたまらないくらい愛しくて。
でも、あいつは誰にでも笑うから・・
不安になり怯えている自分がいる。
あいつを俺だけのものにしたいと何度思ったことか。
人前で自分のものだと宣言し
俺のものだと何度見せ付けてやりたかったことか。
「はぁ・・」
その頃総司は屯所の近くにある川原に来ていた。
少し高くて青々と茂る木の上に上り京の町並みを見渡している。
・・そういえば子供の頃、かくれんぼの時はいつも
大きな木に登って隠れてたっけ。
クスクスと少しだけ笑って再び真顔に戻った。
「土方さん・・約束したのに・・」
きっとここに私が居るなんてわからないだろうな・・
愛情って怖いの。
だって本当に私だけを愛してくれてるのか。
どうしても不安になっちゃうの。
大好きなんだけど・・愛しているんだけど。
本当に永遠に私だけなのかなって思ってしまう。
だから逃げたりするんだよね・・。
幼い子供の時もそうだったけれど。
そして今の大人になった自分もまだ逃げている。
不安になってしまう・・。
そんなことを考えていると急に強い西風が吹いた。
「――っ!」
振り落とされないように木にしがみつくが軽い総司の身体はバランスを崩す。
「駄目っ。落ちちゃう」
気が付くと自分の身体は投げ出されて地面に落ちていく。
・・もう駄目。
そう思ったときに誰かが抱きとめてくれた。
誰?
見下ろすと土方が抱き締めてくれている。
土方は総司の腋窩と腰をそれぞれ抱え、
総司は土方の頸部を両腕をまわして自分の身体を支えていた。
総司が土方を見下ろすような体勢。
いつもとは違う体制に総司は戸惑った。
「ひ・・じかたさん?」
「よかった。地面に落ちなくて」
心配・・して来てくれたの?
あれから土方は総司を探して一刻ほど町を彷徨っていたのだ。
何処に行ったのか無性に気になって町に探しに出掛けたのだが
見付からないので屯所の戻ろうとした時に
川原の大きな木から落ちそうになっている総司を発見したのだ。
「帰るぞ」
そのまま抱き締めた体勢で屯所に向かう。
幼子を自分の肩に座らすように軽々と。
いつもよりも目線が高い。
土方の頭部よりも自分の目線の方が高いのだ。
落ちないようにぎゅっと抱き締めてくれる彼の腕。
いつもよりも大好きな彼の顔が自分の顔のすぐ前にあって、
総司は胸は初恋の少女のようにドキドキした。
抱き合えば感じるこれほどにない夢心地。
屯所に帰ると隊士総動員で総司を探し回っていた。
近藤が二人が帰ってきたのを見て土方に近づく。
「おぉ。歳。見付かったんだな」
「あぁ。心配掛けたな」
ふと総司は周りを見渡すと
斉藤や原田など幹部達が外に出て出迎えてくれていた。
「・・ところで総司はどうしたんだ?怪我でもしているのか?」
近藤が二人の体制に疑問を抱き、質問してくる。
その答えを総司はニッコリと微笑んで、
「木から落ちそうになったところを抱えて助けてくれたんです。あと・・」
そう言うと彼は土方と見つめ合い、総司から軽く口付けた。
いつもとは違う口付け。なんだか積極的になってしまう自分がいる。
唇を離すと土方は満足げな表情を総司に向けた。
総司は大好きな彼にとびっきり幸せな笑顔を見せて
そして、驚いて固まっている幹部達に
「私たちはこういう関係ですからv」と
自らが土方との関係を宣言したのだった。
貴方は私が手を伸ばすと
すぐに届くくらい近い存在。
貴方が傍にいる。
暖かい愛情と
安らぎと居場所がある私は
とっても幸せです。
だから私は貴方だけの特別な笑顔で
貴方を幸せにしてあげたい。
好き。
本当にどうしようもないくらい
愛してる。土方さん。
□END
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相互記念*葉月雛様に捧げますv
雛さんに『幕末の京都で甘い甘いお話。近藤さんや原田さん、
斉藤さんなどなど皆の前で土方さんが総司をたて抱きだっこするお話』
という素敵なリクエストを頂いたのですが
由季にはどうしても人前でたて抱っこする理由が思いつきませんでした。
雛さん本当に申し訳ないです・・どう・・でしょうか?
お気に召されませんでしたら、遠慮なく申し付けてくださいね。
ちなみにこのお話は大塚愛さんのcherishを参考にさせて頂きましたv
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由季さま、ありがとうございますー!
私めの我儘なリクを叶えて頂き、しかもこんな素敵なお話♪ ほんっとに感謝しております。
土方さん、めちゃくちゃ優しい♪ 総司、すっごく可愛い♪ 初恋の少女のようにどきどき、ですよ! もう萌えまくりでございます。その上、なんと、皆の前で「ちゅー」まで! あぁ、もう思い残すことはございません(笑)。土方さんの嬉しそうな顔が目にうかぶようです。幸せいっぱいですね♪
本当に本当に、ありがとうございました! 大切に保管させて頂きますね♪
これからも末長くお願い申し上げます。 葉月雛>
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