……正直な話、もう恥も外聞もなかった。
 プライドだとか意地だとか皆すっ飛び、土方は必死だったのだ。
 人生、これ以上の熱弁はない! というぐらいの勢いだった。
「総司は俺のものです!」
 土方の声が柄にもなく上ずった。
「俺は、総司を失ったら生きてゆけない。総司なしの人生なんて考えられないぐらい、ずっとずっと愛してきたのです! お願いですから、この話はなかった事にして下さい!」
 そう一気にまくし立てた土方は、より深々と頭を下げた。
 部屋の中は静まりかえっている。
 咳払い一つ聞こえぬ重苦しい沈黙に、頭を下げたままの土方は堪えられなくなった。いっそ顔をあげて、その見合い相手と面と向って対決した方がいいのかと、唐草模様の絨毯を睨みつける。
 そんな土方の頭上に、声が降ってきた。
「……あんた、何やってんの」
「は?」
 一瞬、頭の中がまっ白になった。聞き間違えかと思ったのだ。
 だが、しかし。
「……」
 おそるおそる顔をあげた土方は、とたん、唖然となった。
 いかにも中華レストランという感じの、瀟洒な個室。白地に金の鳥の刺繍がされた壁紙がぐるりと囲む、部屋の中。
 真ん中に深紅の大きな円卓があり、それを囲む形で3人の男女が座っていた。一人は、当然ながら総司なのだが、あと残る二人は───
「姉さん……義兄さん、何でここに……」
「あんたこそ、何やってんの」
 未だ、鶏の唐揚げを取り箸で摘んだ姿勢のまま唖然としている彦五郎の隣、信子が呆れかえった口調で云った。その反対側に坐る総司は、スープ用の蓮華を握りしめ、目をまん丸にしている。
「総ちゃんがあんたのものだとか、愛してるとか、そんなの今更念押しされなくても、こっちは嫌になるぐらいわかってるわよ」
「……」
「それとも何? のろけ? やぁねぇ、あんた幾つよ」
「……」
「だいたい、歳、あんた何しに来たの?」
 当初の驚きが過ぎると、食欲の方が戻ってきたのか、信子はおいしそうに海老の天ぷらを口に運んだ。もぐもぐ食べている。
 彦五郎もようやく鶏の唐揚げを、皿にうつし食べはじめた。総司だけが大きな瞳で土方を見つめている。
 何が何だかわからないまま、土方は呟いた。
「それはこっちの台詞だ。何で、姉さんがここに……」
「失礼ねぇ。久々に、総ちゃんとのお食事会を楽しんでたというのに」
「食事会……」
「あんたも食べる? 歳の好きな北京ダック、総ちゃん食べた事がないんだって。だから、頼んであるのよ。そろそろ来るはず……」
「姉さん!」
 不意に叫んだ土方に、信子はびっくりしたようにふり返った。
「な、何よ」
「これは、姉さんの企みじゃねぇんだな? ただの食事会なんだな?」
「とことん失礼ねぇ。いつ、あたしが企んだというのよ。人を悪の黒幕みたいに……」
「総司、行くぞ!」
 不意に部屋の中を横切り、土方は総司の手を掴んだ。ナプキンを払いのけ、無理やり立ち上がらせる。
 たたらを踏んだ総司を抱きとめ、土方は云った。
「悪いけど、今日はこいつ貰っていくから」
「ちょっと! 先約はこっちよ。それに、今から北京ダックが」
「姉さんたちで全部食ってくれ」
 何よそれー!と、信子が叫んでいるのが聞こえたが、土方はもう構わなかった。半ば横抱きにして、総司をその場から浚ってゆく。
 まるで誘拐同然の状態だったが、土方の腕の中にいる総司はおとなしかった。素直に彼に従っている。
 細い指さきが縋るようにスーツを握りしめている様が、何ともいじらしくて可愛いかった。
 エレベーターに乗り込んだ土方は、いったん下のフロントで部屋をとると、総司を連れてまた上にあがった。むろん、行き先は先程のレストランではなく、それでもかなり上階にある部屋だ。
 部屋に入ったとたん、抱きすくめてきた土方に、総司はびくっと躯を震わせた。涙をうかべた大きな瞳で怯えたように見上げてくるのが、ウサギのようで可愛い。可愛くてたまらない。
「土方さん、ぼく……っ」
 何か云いかけるのを遮るように、唇を重ねた。細い腰に腕をまわして引き寄せ、躯をもちあげるようにして口づける。
 くらくらと酩酊するような甘いキスに、総司の頬がぱぁっと紅潮した。
「ぁ……」
 小さな声をあげ、またしがみついてくる。爪先立ちになった総司に、何度も何度もキスをして。
 その柔らかな頬や白い首筋にも、唇を押しあてた。男の吐息を感じるたび、躯を震わせる総司が愛おしい。
「総司」
 低い声で呼んでから、不意に土方は身をかがめた。総司の腰と膝裏に手をまわすと、そのまま抱きあげる。
「!」
 慌ててしがみついてくる総司を抱いたまま、土方は部屋の中へ歩み入った。
 ダブルベッドのヘッドボード側に濃い紫の壁紙が貼られ、そこに描かれた銀糸の花模様が鮮やかだった。明かりを絞れば、ベッド上だけにライトの輪が落ちるようになっている。
 土方はベッドカバーを剥がすと、白いシーツの上に総司の躯をそっと降ろした。甘えるような表情で見上げてきた総司を見下ろし、髪を撫でてやる。
「……まず、聞いておきたい」
「え?」
 いきなり神妙な面持ちで云いだした土方に、総司はきょとんとした。
 このまま甘い情事になだれこむと思っていたのだ。何しろ、ドアを閉めたとたん、あのキスと抱擁の嵐だったのだから。
 だが、土方は、どうしても確かめておきたい事が山ほどあった。
「おまえ、斉藤と電話で話したか?」
「え、あ……はい」
 総司はこくりと頷いた。
「この間、電話があって。その時、今日、土方さんの帰りが早いから誘ってみたら?って云われて」
 そこまでは斉藤の話と同じだ。だが、問題はその先だった。
「それで、ぼく、その日は信子さんたちとのお食事会に誘われているからって、断ったんですけど……」
「……なるほど」
「え……ぼく、いけなかった? お食事会に勝手に行ったことを怒ってるのですか?」
「いや、違う。しかし、斉藤の奴……」
 あの沈痛なまなざしも表情も、全部芝居だったという訳だ。よくもまぁ、あれだけ嘘八百をぺらぺらと。だが、それもこれも彼らを思えばの事だろう。
 友情に篤いと云って下さいと笑った斉藤の表情が、頭の中を過ぎた。
「また何か礼をしねぇとな」
「?」
「それで、次の質問。おまえ、本当に食事会だったのか?」
「お食事会ですよ。それ以外に何があるの?」
「つまり……その、見合いとか」
「えぇえっ!?」
 びっくりして目を丸くした総司だったが、ようやく土方があの時に叫んだ言葉の意味が理解できたようだった。小さな拳をあげると、いきなりドンッと土方の肩を叩いた。
「いてっ」
「痛いの当たり前です! 手加減なしで叩いたんだから」
「そんなに怒るなよ」
「怒るもん! 土方さん、ぼくのこと信じてないんだ! あなたがいるのに、見合いしちゃうような人間だって、そんな……っ」
「ごめん」
 土方はおおいかぶさるようにして、総司の小柄な躯をぎゅっと抱きしめた。
「俺だって、信じたかったさ。けど、斉藤から、おまえが見合いするって聞かされて……頭に血がのぼっちまって、何も考えられなくなってしまったんだ」
「……やきもち、やいた?」
 小さな声で訊ねた総司に、土方は苦笑した。
「やきもちどころか、嫉妬に狂ったさ。頭おかしくなっちまうかと思った」
「じゃあ、あの……言葉は本当? 本気で云ってくれたの?」
「あの言葉?」
 不思議そうに小首をかしげる土方に、総司は顔を真っ赤にしてしまった。耳朶まで赤くなりながら、男のネクタイを指さきで弄る。
「あの、さっき……部屋に入ってきた時、云ったこと。ぼ、ぼくなしじゃ生きられないって……」
「当然だろ」
 土方は真面目な顔で頷いた。
「全部、本気だ。俺はおまえなしでは生きられねぇんだから」
「土方さん……」
 嬉しさに、総司は思わず土方の躯に抱きついた。広い背に手をまわし、ぎゅっとしがみつく。
 優しく抱きしめてくれる男の腕の中、本当に良かった……と思った。こうして仲直りできて、ちゃんと今でもこの人が自分を愛してくれていて───
「あ」
 不意に、総司は声をあげた。慌てて土方の肩に手をついて、見上げる。
「何だ」
「あの、トモミさんって誰」
「は?」
「だから、トモミさん。この間、電話してるの聞いたんだから。淋しかった?って聞いてて、ぼくだって逢えなくて淋しかったのに……」
 そう云ったとたん、土方が笑いだした。くっくっと喉奥で笑っている。
 呆気にとられていると、どこか意地悪な笑みをうかべた土方が、瞳を覗き込んできた。ちゅっと音をたてて口づけられる。
「やきもち妬いたのか。知美に」
「……だって……」
「可愛いなぁ。そんな必要、知美には全然ねぇのに」
 トモミトモミと、あまり親しく呼ばないで欲しい。そのたびに、胸奥がチクチクするのに。
 拗ねたような顔で見上げると、土方はようやく答えてくれた。
「知美はさ、俺の姪っ子だよ」
「え?」
 目を見開いた総司に、土方はにこやかな笑顔で云った。
「おまえが前に姉貴ん家にいた時、学校の長期キャンプに行ってたらしいからな。逢った事ねぇんだろ? 今年7才。すげぇ武道家の小学生だ」
「七才、武道家……」
「空手の稽古とか相手になってやってるからな、あまりご無沙汰すると、後ろから跳び蹴り喰らわされたりするんだぜ? もう怖ぇの何のって」
 呆然としていると、土方は小首をかしげてみせた。
「それよりさ、俺に逢えなくて淋しかったってのは……本当?」
「……っ」
 濡れたような黒い瞳に見つめられ、どきりと心臓が跳ね上がった。どきどきして、思わず俯いてしまう。だが、その頬を掌で包み込まれ、甘いキスをあたえられた。
「すげぇ可愛い……」
 耳もとで、低い声が囁いた。
「俺に逢えないから淋しがってたなんて……すげぇ可愛いよ、総司。可愛くて可愛くて、今すぐ全部食っちまいたいぐらいだ」
「全部……食べちゃうの?」
「あぁ。ここも……ここもな」
 男のしなやかな指さきが、躯のあちこちにふれる。そのたびに、総司は小さく躯を震わせた。
 甘えるような、大きな瞳で男を見上げる。
「ん……食べちゃって」
「総司」
「ぼく、全部……土方さんのものだから、好きなだけ食べて…ね?」
「……」
 そんなおいしい事を云われて、我慢できる男がこの世にいるだろうか? いや、いない。
 総司が自分の言葉を深く深く後悔した時には、時既に遅し、だった。













「ぁあ、んっ」
 甘ったるい声をあげて、仰け反った。
 白い躯がベッドの上ではね、いやいやと首をふるたび柔らかな髪が揺れる。
 そのとんでもなく色っぽい様を、土方は満足げに眺めた。
 二人してシャワーをしっかり浴びてから、ベッドにもどり、さぁこれからだとばかりに好き放題致している最中なのだ。あのまま突入しても良かったのだが、久々である事からも、二人さっぱり綺麗にしてからとなっていた。
 もっとも、それは、総司にとってあまりいい事でなくて……
「ん、もうっ…ぃ、やあっ」
 もう何度めかわからない射精を堰き止められ、総司は泣き叫んだ。
 それこそ、全部食べたいの宣言どおり、躯中あちこち舐め回され口づけられまくった挙げ句、土方は総司のものをネクタイで縛りあげ、何度も何度もイカせては中断するをくり返しているのだ。
 先端からこぼれる蜜を舌で舐めあげ、土方はくっと喉奥で笑った。
「すげぇ可愛い……括ってても、とろとろ零れちまうんだな」
「やっ、も…許してぇ……っ」
「駄目だ、お仕置きしとかねぇとな」
「お仕置きって、何っ……ぼく、見合いなんてしてないのに……」
「それでも、俺は地獄を見た気分だったさ。せめて、これぐらいの仕返しは許されるだろ?」
「そ、そんなの勝手……やっ、やぁっ、も…舐めちゃイヤァッ」
 必死になって逃れようとする総司の腰を掴んで引き戻し、土方はその白い腿の間に顔をうずめた。押し広げられたそこで、総司のものはネクタイを根本にまきつけられ、ひくひく震えている。キツく縛られている訳ではないのだが、それがかえって生殺しの状態になっていた。
 土方がそれを舐めまわし始めると、総司の泣き声がより切羽つまったものになった。「いやぁッ」と泣きながら、土方の頭を押しのけようとしている。
 その手を素早く掴んでシーツに縫いとめ、ねっとりと舐めまわした。裏側から先端へ舐めあげ、とどめとばかりに鈴口へ舌先を埋め込んでぐりぐり動かしてやる。
「ひぃ…ッ」
 総司が悲鳴をあげた瞬間、白い蜜が迸った。ネクタイを緩めてやったとたん、勢いよく白い蜜が迸ってゆく。
 達している間、総司は恍惚とした表情で喘いでいた。時折、ふるりと腰をくねらせるのが、壮絶なまでに色っぽい。
「本当に、おまえは可愛いな」
 そう云いながら、指さきで後ろの蕾を突くと、ぴくんっと総司の躯が震えた。こっちはもうバスルームで準備済なのだ。
 土方は己のものにアニメティグッズで見つけたミルクローションをかけると、あらためて総司の両脚を抱えあげた。すらりとした両脚を押し広げ、その蕾に男の猛りをあてがう。
「入れるぞ」
 低い声で告げると、一瞬、総司が不安そうに彼を見上げた。
 期待と不安がいりまじった、何ともいえぬ艶めかしい表情だ。それが、男をたまらなく欲情させる事も気づかず、潤んだ瞳で見上げてくる。
「ぁ……っ」
「欲しいんだろ? 俺の」
 土方は薄く笑いながら、焦らすように腰を動かした。くちゅりと音をたて、蕾を猛りの先端が擦りあげる。
 総司はたまらないという表情になり、躯をより開いた。早くと口には決して出さないが、躯はもう彼だけを欲しがっている。
「躯は素直だな」
 そう苦笑まじりに呟き、土方は総司の膝裏に手をかけた。押し広げ、ゆっくりと腰を沈めてゆく。
 男の太い猛りが柔らかな蕾に、突き入れられてきた。
「っ、あ……っ」
 反射的にだろう。総司が上へ逃れようとした。だが、そんな事許すはずもない。
 土方は素早く引き戻すと、その細い肩を掴んだ。そのまま、ぐっぐっと最奥まで己の猛りを挿入する。
「ッあッ、いやぁッ!」
 甲高い悲鳴をあげ、総司が仰け反った。シーツを手が必死になって掴んでいる。
「……ゃっ、ぁ…あ、く、苦し…っ」
「力を抜けよ。ほら……っ」
「…ぁ、いやっ、や…ッ」
 涙がぽろぽろとこぼれ落ちた。だが、そのくせ、総司のものはピンク色に勃ちあがっている。
 土方はそれを掌におさめ、唇の端をつりあげた。
「本当に、躯は素直だな」
「ん、な…に?……」
「仕返し続行という訳で」
「え……っ」
 放り出してあったネクタイを引き寄せ、土方はまた総司のものの根本にシュルッと巻き付けた。目を見開いて嫌がる総司に構わず、ギュッと縛りあげてしまう。今度は先程より少しキツめに。
 総司が涙目で土方を睨みつけた。
「こんな……の、や! 解いて……っ」
「駄目だ。俺はまだ気が済んでねぇんだよ」
「何、それ……この変態!」
「あぁ、そうだな」
 くっくっと喉を鳴らし、土方は総司の顔を覗き込んだ。ちゅっと音をたてて、頬にキスをする。
「俺は変態だよ。おまえみたいな可愛い男の子を恋人にして、さんざん好きなことをするのが変態だって云うのなら、喜んでそう呼ばれてやるさ」
「……っ、何云って……」
「あのな」
 土方は不意に真剣な表情になった。低い声で、云いきかせるように話しかける。
「普通だとか、そんなものどうでもいいんだよ。俺はおまえが好きで、おまえも俺が好き。それだけで全部いいじゃねぇか。世の中の定規で俺たちを測る方が間違っているんだから」
「……うん」
 短い沈黙の後、総司はこくりと頷いた。細い両腕を彼の首にまわして、甘えるように躯を擦りよせる。
「本当に、土方さんの云うとおりだよね。ごめんなさい……おかしな事ばかり云って」
「俺もな。怒鳴って悪かった」
「ううん……土方さん、だい好き」
「あぁ、俺も好きだ。愛してるよ」
 そう云って微笑んだ土方の笑顔は、精悍な中にも優しくて、思わず見惚れてしまう程だった。
 躯を繋いでいる事も忘れ、総司がぼーっと見惚れていると、その視線の先で、土方がふっと口角をつりあげる。
「……?」
 とたん、いやな予感がした総司に、土方は嬉しそうに云った。
「さて、お許しも出たし、再開だな」
「え、何……」
「俺の云うとおりって思ってくれたんだろ? 変態って云われてもいいんだろ?」
「は? それどういう……ぁ、ぁああッ」
 突然、ずんっと腰奥を突き上げられ、悲鳴をあげた。慌てて身を引こうとしたが、それを引き戻され、がんがん腰を打ちつけられる。
 男の太い楔が蕾の奥を乱暴に穿った。激しく躯が揺さぶられる。
「ぃ、やあぁッ…ぁああっ、ぁあっ」
 総司は目を見開き、泣き叫んだ。どんどん熱が躯を支配してゆく。
「だ、だめ…ぅ、ぁあっ、ああッ」
 ぐっと奥まで男の猛りが突き入れられた。それに「ひいッ」と悲鳴をあげたとたん、グリッと痼部分を擦りあげられ、ギリギリまで抜かれる。
 そして、また激しい抽挿で揺さぶられるのだ。
「ぁ、ぁあっ、やめ、て……っ」
「やめる? 何で?」
「激し、すぎ…ぁ、ぁあっや…っ」
 泣きじゃくりながら懇願すると、土方が動きを緩めた。わかってくれたのかと潤んだ瞳で見上げれば、土方が薄く笑いながら見下ろしている。
「ゆっくり責めてやるよ」
 そう告げた土方は、ゆっくりと腰を動かし始めた。長いストロークで抜き挿しされる。だが、たちまち総司は泣き出した。
 男の硬く熱い猛りが緩やかに突き入れられ、感じやすい痼部分を押しつぶすように擦りあげた。それから、味わうように何度かそこで捏ね回してから、ゆっくりと引き抜かれてゆく。
 それは生殺しに近い状態だった。いきそうと思った瞬間に堰き止められ、ほっとしたとたん、また擦りあげられるのだ。
「ぃ、は…ぁ、あっ、ぁああっ」
 総司は涙をぽろぽろこぼしながら、首をふった。手をのばし、ネクタイをほどこうとする。だが、それは簡単にふり払われてしまった。
 土方が身を倒し、意地悪く笑ってみせる。
「そんな事許すと思うか?」
「も、許して……、イきた……っ」
「イきたいか。なら……イかせてやるよ」
 そう云いざま、土方は総司の躯を裏返しにした。無理やり四つ這いの体位にさせると、いきなり後ろから一気に貫く。
「いやぁああ──ッ!」
 総司は悲鳴をあげ、仰け反った。
 激しく躯を揺さぶられ、あまりの快感に目の前がスパークした。
「ぁあっ、ぁあっ…ひぃ、ぁあッ」
「す…げっ……熱…っ」
「ぃ、やあっ、こ、壊れちゃ…ぁああッ」
 総司はシーツに顔を押しつけ、泣きじゃくった。必死になってシーツを握りしめていると、その手に深く指を絡められる。
 男の息づかいが耳もとで荒くなった。めちゃくちゃに腰奥を穿たれ、熱い痺れが背筋を突き抜けてくる。
「ひ…ぃあッ、ぃ、も…いきたいぃ…ッ」
「……は…っ、総司……っ」
「お願…ッや、ぃやあッ、ぁあああーッ」
 一際高い声をあげて仰け反った瞬間、総司の腰奥に男の熱が叩きつけられた。それと同時に、戒めを解かれた総司のものからも蜜が迸る。
 土方は総司の細い躯を後ろから抱きすくめ、白い背中にキスを落とした。愛しくてたまらないと云いたげに、まだ繋がったままの躯を抱きしめる。
「ぁ……は、ぁ……っ」
 白いシーツに突っ伏したまま、しばらくの間、総司は呼吸がおさまらなかった。やがて、薄く目を開くと、優しい笑みをうかべた土方と目があう。
 そっと頬を撫でられ、唇を重ねられた。
「……愛してるよ」
 男の甘い囁きに、総司は夢心地のままこくりと小さく頷いたのだった。












 さて──後日。
 先日の中華レストランでのお詫びもかねて、佐藤家を訪れた総司だったが、そこで件の知美に出逢う事となった。
 生粋の武道家である7才児知美は、総司を見たとたん、「うわー、きれいな王子様みたい。あたし、超好み〜♪」と、うっとりしたまなざしで宣い、土方を引き攣らせたとか何とか。
 いやはや、それは、また別の話ということで……。