「暑いっ!です」
いきなりそう叫んだ恋人を、土方はふり返ることもしなかった。
かるく肩をすくめただけで筆を進めている。相変わらず彼の文机には書類が山積みだったが、今日は少しそれが減っているような気がした。
だが、今の総司には夏の暑さだけが最大の関心事だ。
「ねぇ、暑い、暑いんですってば」
「はいはい」
「どうにかして下さいよ」
「どうにかって、おまえをどうにかしろってか? そんな事したら余計暑くなるぞ」
「?」
一瞬、きょとんとした総司だったが、目の前で人の悪い笑みをうかべている男に合点がいき、かぁっと首筋まで赤くした。
「だ、誰もそんなことお願いしてないでしょう! 私はこの暑さをどうにかして下さいって言ったんです」
とは言ったものの、とんでもなく我儘なことを言ってるとわかっていた。
この暑さをどうにかするなんて、誰にも出来はしないのだ。
だが、そんな恋人のおねだりに、土方はあっさり頷いた。視線は相変わらず書類に落とされている。
「あぁ、何とかしてやるよ」
「え?」
「だから、おとなしく自分の部屋で待ってな」
「???」
訳がわからず坐りこんでいると、土方が顔をあげた。さっさとしろと目が言っている。
仕方なく総司は立ち上がり、のろのろと部屋を出た。縁側に出たところでふり返ったが、土方はこちらに視線を向けようともしない。
本当は私を追い払うために言ったの?
そんな疑問が頭の中をぐるぐる回ったが、とりあえず彼の言葉に従う他ない。総司はため息をつくと、自分の部屋へむかって歩き出して行った。
「……総司、総司?」
優しく肩を揺さぶられ、総司はうっすらと目を開いた。
いつのまにか畳の上で眠ってしまっていたらしい。それほど時は経ってないらしく、まだ陽は上りきってもいなかった。
「ん……あ、土方さん」
目をこすりながら答えた総司に、苦笑する気配が伝わった。それにちょっとむっとして、顔をあげる。
「あれ? 土方さん……何、それ」
土方は手に小さな風呂敷包みを持っていた。それに彼は「あぁ」と頷く。
「着替えだ。おまえのも入れておいた」
「? 何、着替えって……」
「待たせたな、さぁ、行こうか」
さっさと廊下を歩き出した土方に、総司はしばらく呆然としていた。
何が何だかわからない。今日の土方さんは絶対におかしいと思った。
「おい、早くしろよ」
少し苛立った口調で言われ、総司は慌てて立ち上がった。彼の後を追う。
二人して屯所を出ると、そのまま洛北の方向へ向かった。しばらく行くと民家も少なくなり、山や田畑、野原が広がり始める。
「土方さん?」
とうとう総司も我慢できなくなり、土方の袖をとらえた。何だ?とふり返る男に訊ねる。
「いったい、どこへ行くんですか」
「おまえ、暑いの何とかしてくれって言っただろ」
「言いましたけど」
「この先に綺麗ないい場所があるんだ。山あいであんまり人も来ねぇし、気持ちいいぞ」
「あの、何のお話かさっぱりわからないんですけど」
小首をかしげる総司を、土方は呆れたように見下ろした。
「川遊びだよ。おまえ、覚えてねぇのか」
「え」
「この間、おまえに言っただろ。今度、川遊びにでも行こうかって。そうしたら、人の来ねぇ、綺麗な所でなきゃ嫌だって駄々こねてたのはおまえじゃねぇか」
「そう言えば、そんな記憶が……」
「つれない奴だな」
土方は総司の肩を引き寄せ、かるくその額に口づけを落とした。
「こっちは、おまえのためにいい場所探して、連れて行けるよう、せっせと仕事を片付けたんだぞ。少しは喜んでくれてもいいだろうが」
「えっ、もちろん嬉しいです。すごく嬉しい」
間近で見つめられ、総司は頬を火照らせた。彼の濡れたような黒い瞳が、自分だけを熱く見つめている。それを感じるだけで、体中が痺れるような気がした。
「……ほんと、おまえって可愛いな」
くすっと耳もとで男が笑い、総司は目を瞬かせた。それに土方は手をのぼし、ゆっくりと果実のような唇を指さきでなぞった。
「こんな所で誘うんじゃねぇよ」
びっくりした顔の総司にもう一度笑うと、土方は再び歩き出した。慌ててそれを追う総司を見下ろし、手をさしのべてくる。
総司は首をふった。
「だめ、こんな所で」
「誰も見てねぇよ」
「暑いからやだ」
「俺の手、けっこう冷たいぜ。ほら」
その言葉に、ふれてみようと思わず手をのばした。とたん、素早く手を掴まれ、しっかり握りこまれてしまう。
「土方さんっ」
総司は怒って頬をふくらました。
「騙しましたね」
「騙してなんかいねぇよ。ほら、俺の手冷てぇだろ」
「……うん」
本当は手を繋ぎたかったから。
暑くても何でもよかったから。
こんなふうに手を繋いでいたら、すぐ暑くなってしまうだろうけど。
でも。
「だい好き……」
小さな声で告げると、繋いでいる土方の手に少しだけ力がこもった。
その渓谷は鮮やかな緑で覆われ、涼しげな水のせせらぎと鳥の声だけが響いていた。
本当に他には誰もいない。
清らかな水が流れる川は浅瀬で、覗きこむと透明な水の中を小魚が泳いでいた。
「わぁ、すごい。いっぱい、魚いますよ」
そう言った総司に、土方がふり返った。思い切って下帯だけになった姿だ。
水に膝下辺りまでつかったまま、こちらへ歩いてくる。
「へぇ、結構いるもんだな」
傍らで身をかがめ、川底を眺めている土方に、総司は思わず頬を赤らめた。
どきどきする。
見慣れている彼の裸が少し恥ずかしい。昼間見るからなのか、逆に意識してしまうのだ。
いつも自分を抱き締めてくれる逞しい腕。体をあずけるとほっとする大きな広い胸に、水滴がはねて、妙に色っぽい。僅かに濡れた黒髪を指さきでかきあげる仕草一つにも、どぎまぎしてしまい、総司は慌てて目をそらせた。体が熱い。
ばしゃっ。
不意に前で魚が跳ねた。それを素早く土方がとらえ、差しだしてくる。
「ほら、見ろよ。きらきらしてるぜ」
見上げた土方は明るく優しい笑顔で、総司は自分が恥ずかしくなった。
ただ川遊びで連れて来てくれたのに、彼の裸を見てどきどきして意識してる自分が、少しいやだと思った。
(この頃してもらってないから、欲求不満なのかなぁ)
「総司?」
小首をかしげて覗きこまれ、総司は慌てて首をふった。土方の手から受け取った魚をそっと川に逃がしてやる。
二人はしばらく手をつないで川の中を歩いたり、水をかけあって遊んだりした。
まるで昔、よく遊んでもらった子供の頃のような気がして、総司は嬉しくなった。
「懐かしいな」
土方も同じ事を思い出していたのか、小さく笑った。
「よく川で遊んでやったよな」
「行商の帰りで疲れてるのに、私を見つけて遊んでくれた事もありましたね」
「じーっと川眺めてたからな、すげぇ入りたそうな顔してさ。お光さんに叱られるから迷ってたんだろ」
「でも、その私の体抱き上げて川へ放り込んだのは、土方さんでしょう?」
「そうだったかな」
「意地悪なとこは全然変わってませんよね」
くすくす笑いながら、総司は身をひるがえした。岩場へむかって歩き出した。
もう上がろうと言うのだろうか。
それが不満だった土方は手をのばし、その細い手首を掴むと己の方へ引き寄せた。が、力加減を間違った。
「あっ……!」
次の瞬間、激しい水音が山あいに響いた。土方の前で水飛沫があがる。
あまりに強く引かれたため、勢いがつき、総司の体が水の中へ倒れ込んでしまったのだ。
「総司!」
慌てて土方は総司の体を引き起こした。ずぶ濡れになってしまった総司は、しばらく呆然としていた。
が、やがて我に返ると、凄い勢いで土方をふり返った。
「もうっ、土方さんのせいですからねっ!」
「……悪かった」
「こんなぐしょ濡れになって、そりゃ、土方さんは下帯だけだからいいけど、私は小袖だけ着てたのにっ」
「総司……」
ぷんすか怒ってる総司を眺めていた土方が突然、にやりと笑った。嫌な予感を覚え、総司は彼を見上げる。
「な、何ですか」
「おまえ……すげぇ色っぽい」
「え」
慌てて自分の格好を見下ろした総司は絶句した。
白い麻の小袖だけを身につけていたのだが、その薄い布地が水に濡れて肌が透けてしまっているのだ。つまり、体の線から、胸の尖りまで、しっかり男の目に晒されていた。しかも布越しなので、余計艶かしい。
「やっ……」
慌てて自分の体を手で隠そうとした総司だったが、素早く土方の手がその手首を纏めて掴みあげた。頭の上に上げさせ、じっくりと眺める。
「すげぇ、色っぽいよ。いいな、この格好めちゃくちゃそそるぜ」
「ちょ……いや! 手放して下さいっ」
「やだね」
あっさり断ると、土方は空いてる方の手で総司の体にふれはじめた。ゆっくりと手のひらで体の線をなぞるように撫でおろしてゆく。
「ぁ……は…あぁ……っ」
思わず感じてしまい、総司は身を捩った。胸を脇を腰を男の手のひらで撫でまわされ、次第に甘い疼きが体の芯を火照らせ始めた。土方は首筋や耳もとに口づけながら、総司の体を優しく撫でまわす。
布越しに胸の尖りを弄られ、総司は思わず喘いだ。
「ぁ……んん……っ」
「ここ、おまえの好きなとこだものな」
くすっと耳もとで男が笑った。それにさえ感じてしまう。指の腹で擦り上げるようにされ、総司はたまらず腰を彼の体に擦りつけた。だが、彼は絶対に肝心の部分を可愛がってくれない。時折、指さきでかるく突っつくだけだ。そんな刺激だけでもう、総司のものは固く立ちあがっていた。
もっと強い刺激が欲しくてたまらない。
総司はゆるゆると首をふった。
「や……もっ…お願い……っ」
「お願いって、何が?」
「……ぁ…あっ……意地悪……っ」
「口で言わないとわからねぇよ」
くっくっと喉奥で笑いながら、土方はまた爪で総司のものをかるく引っ掻いてやった。それに総司がとうとう我慢できなくなる。
「ぁ…ぁああっ、お、お願い……してっ、私のさわって……っ」
「可愛いくてたまらねぇよ、総司」
「……は、早く…ぁあっ……土方、さんぅ……っ、ふ…くぅ……ッ」
くりくりっと先っぽの部分を親指で擦り上げられ、総司は甘く啜り泣いた。もう涙目で男を見上げ、強い刺激をねだる。
それに土方は苦笑した。かるく、その可愛い唇に口づけてやる。
「ほら、足広げろ」
土方は総司の前に跪くと、その細い腰を両腕で抱え込んだ。
「しっかり立ってな」
言うなり、総司のものを口に含んだ。思い切り吸い上げてやる。
「あぁっ!」
総司の唇から嬌声がもれた。
甘い、少し掠れた声だ。それを聞きながら二、三度鈴口の辺りを舐め回してやると、あっけなく達してしまった。
ぐったりと凭れかかってくる総司を抱きとめ、土方は小さく笑った。
「今日はすげぇ感じてるんだな」
「だって……あんなに焦らすんだもの……それに……」
総司は潤んだ目で男を見上げた。彼の体にきつく抱き付いた。
「何か、凄く感じるの。こんな昼間からなのに……おかしい?」
「おかしくなんかねぇさ」
川底に坐りこんだまま、総司の体を膝上に抱き上げた。水が腰辺りでざぁっと流れてゆく。
向かいあったまま、何度も何度も口づけあった。濡れた髪をかきあげ、額に頬に首筋に。そして、また唇を深く重ねて。
「土方…さ…ん……っ」
指先を滑らせ、蕾にそっと挿入した。ゆっくりと中で円弧を描くようにして緩ませてやる。
「あ、あ……んっ、あん……っ」
総司は甘い声で啜り泣き、腰を小さく動かした。三本目を入れたところで指を抜き、土方は総司の腰を片腕で抱えると浮かせた。視線が逆転する。
そのまま、ゆっくりと腰を落とさせていった。
「ぁっ……あっ、ひ…あぁ……っ」
嫌がるかと思ったが、意外にも総司は拒まなかった。
開放的な雰囲気が総司を大胆にさせているのか。
「苦しいか?」
「ん……大丈夫……っ、は…あぁ……っ」
水の中で交わるなんて初めてだ。
そう思ったとたん、自分のしてる事に総司は気づいた。
白昼、それも川床で坐りこんだ男の上に跨っているのだ。いくら愛しい彼のためとはいえ、たまらない羞恥が込み上げた。が、その彼を見下ろしたとたん、じっと自分を見つめる彼の目に息をとめてしまう。
「あ……っ」
深く澄んだ黒い瞳は総司だけを見つめていた。ずっと子供の頃から、川遊びをした頃から何一つ変わっていない彼の瞳。
少し違うのは、自分を見つめる目に優しさだけでなく、熱っぽさがくわえられた事だ。
総司の心を蕩かし、虜にしてしまう彼の熱。
夏の暑さとは違う、けれど纏わりつくような甘さが似ているその熱が、総司はたまらなく好きだった。いつまでも囚われていたい彼の熱だった。
「土方…さん……っ」
総司は土方の首に細い両腕をまわし、ぎゅっとしがみついた。ようやく彼のものを全部収め、はぁっと息をつく。
そんな総司を抱きかかえ、土方は耳もとで低く囁いた。
「……しっかり摑まってろよ」
え?と聞き返そうとしたとたん、土方が半分程、己のものを引き抜いてゆくのを感じた。内部を擦られる異様な感覚に悲鳴をあげる。次の瞬間、奥まで激しくグンッと突き上げられた。「ひっ」と悲鳴がもれる。
そのまま力強い律動を始めた男に、総司は激しく悶えた。熱い痺れが腰奥を突き上げる。
「ぃ…あっ、ぁああっ、あっ……んっ、あぁ……はぁっ……!」
「……気持ちいいか?」
「う、うん……い、いいっ……あっ! ああっ、あっ……」
何度も何度も腰を激しく下ろさせられた。蕾の最奥を男の猛りで鋭く穿たれるたび、水音が鳴る。
総司は背筋を貫く甘い疼きに堪え切れず、大声でよがり泣いた。
「あぁーっ……んっ、はあっ、ぁっ……もっ…と……ああっ!」
「おまえのココ……すげぇ熱い、とろとろに蕩けてるぜ」
「やっ!……そん、な……言わないで……ああっ! あぁああぁ……っ」
土方は喉を鳴らして笑った。
可愛くてたまらない。何もかも食べてしまいたいくらい、可愛いってのはこういうのを言うのだろう。
もっと苛めてやりたくなる。もっと閉じ込めてやりたくなる。
だが、そんな事ができないのは、この腕の中の若者を誰よりも愛してるから。
誰よりも気が狂いそうなくらい愛してるから。
「総司……好きだ、愛してる」
そう囁いた土方を、総司は涙に濡れた目で見つめた。その唇が確かに「愛してる」と動くのを見た瞬間、土方はたまらない愛しさを覚えた。
何度、言われても飽きなかった。
何度、言われても足らなかった。
愛してる愛してる愛してる。
「総司……っ」
不意に激しくかき抱いた彼に、総司は息を呑んだ。が、すぐさま目を閉じ、彼の動きに身をまかせた。どんどん耳もとで彼の息使いが荒くなり、動きが激しくなる。総司は土方にしがみついたまま、掠れた声で泣き叫んだ。
「あっ、んっ……あぁっ、ああっ……土方、さん……っ」
「は…ぁっ」
「あぁ! ん、んっ……すご…いっ、ああっ……い、いっちゃうっ…あぁっ……やあぁぁっ……っ!」
総司のしなやかな背中が仰け反った。下腹に総司の飛沫が迸るのを感じる。
次の瞬間、土方は総司の体を息もとまるほど抱きしめた。
「……総司……っ」
己の奥に吐き出される彼の熱を感じながら、総司はうっとりと目を閉じた。
「この着替えって……想定済だったんですか」
濡れた着物を脱ぎ、土方が用意してくれた小袖に手を通しながら、総司は訊ねた。
土方が唇の端を上げてみせる。
「まぁな、初めから狙ってた事は認めるよ」
「じゃあ……」
彼の裸にどきどきした事を恥ずかしく思っていた自分は、何なのか。
いつでも自分を思うようにしてしまう年上の恋人が少し憎らしかった。この関係は昔から全然変わってない。
拗ねたような顔になった総司に、土方は身をかがめ頬に音をたてて口づけした。
「俺の裸に欲情してた総司、可愛かったぜ」
「よ、欲情なんか! してっ……ましたけど」
口ごもった総司に、小さく笑っている。
そんな笑顔も、だい好きで。何もかもだい好きで。
自分を抱きしめてくれる腕も。いく時に爪をたててしまう広い背中も。自分の体を優しく撫でてくれる手のひらも、指さきも。
あの瞬間、熱っぽく見つめる黒い瞳も。
みんな、みんなだい好きで……。
「土方さん」
「ん?」
「だい好き、愛してる」
小さな声で言った総司に、土方はびっくりしたような顔をした。が、すぐに優しく微笑むと、腕をのばしてそっと抱き寄せてくれる。
「あぁ、俺も好きだ。おまえだけを愛してるよ」
そう答えてくれる土方に、総司はよりそった。
着替えをすませ、二人はゆっくりと来た道を辿ってゆく。ひんやりした夕方の風が、総司の髪をやわらかく揺らした。
「あのね、土方さん」
総司は隣を歩く男を見上げ、そっと話しかけた。
「今日はここに連れて来てくれてありがとう。あとね、一つだけお願いがあるんだけど……」
「何だ、言ってみろよ」
「手、つないで」
「え?」
土方は目を見開いた。それに頬をあからめながら、総司は白い手をさし出した。
「お願い、手をつないで下さい」
「けど、おまえ、言ってたじゃねぇか。暑いからやだって」
「でも」
「それに、今、俺の手熱いんだぜ。朝と違ってな」
「いいから、土方さん」
土方はしばらく総司を見つめてから、ゆっくりと手をさしのべた。
そっと白い手をとり、指をからませて握りあう。その瞬間、総司は安心したように微笑んだ。
見上げると、彼の黒い瞳が自分を見つめている。
優しくて切なくて、熱っぽい瞳が自分だけを見つめている。
ずっと昔から。まだ子供の頃から、見つめてきてくれた彼の瞳。
その熱い視線に怯えて怖がったこともあったけど、今は、ほら……こんなに心地いい。
愛されてると。
心から、激しく熱く愛されてるとわかったから。
そして、そんなあなたを私も誰よりも愛してるから……。
今、あなたの瞳に映るのは私だけ。
そんな熱っぽい瞳で見つめられるのは、この私だけ。
「総司……」
静かに身をかがめ、土方が顔を寄せてきた。見上げると、不意に抱き寄せられ、唇を重ねられた。
深く激しい口づけだった。
まるで、彼の身の内に秘められた熱のような。
唇からつたわる彼の熱に、総司はそっと目を閉じた。
暑い夏は嫌いだけど、彼の熱は好き。
私を抱きしめ、身も心も熱くしてくれる彼がだい好き。
この広い世界の中で。
誰よりも。
ずっと、いつでも求めている。求められている。
熱くて愛しい彼───。
[あとがき]
暑い夏は水遊びが一番! 初めてのお外お褥シーン(もっと別に言い方あるんですよね、確か)です。開放的で気持ち良さそうって思うんですけど。誰かに見られそうなスリルもあって? 土方さんって手とか冷たそうじゃないですか。一見すると外見も雰囲気も冷ややかだし、でも、総ちゃんだけが知っている、土方さんの熱って話です。恋人の内面の激しい熱さを、総司は日々、身と心で感じてる訳ですよ。お読み頂き、ありがとうございました。
尚、2006年8月に背景変更致しました。
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