冬の昼下がりだった。
 青空が広がり、柔らかな風が彼の黒髪をふわりと吹き乱してゆく。
 歩道橋の手すりに寄りかかっている男を、通りすぎる女たちが皆ふり返った。それも当然だ。
 上質のスーツにコートを纏った長身に、その端正な顔だち。きっと微かに眉を顰め、黒い瞳を鋭く細めながら、こちらを見据えている。
 優しい笑顔も素敵だが、そうして真剣な表情になる時の土方も、どきどきするぐらい恰好よくて……


(って、違う違う。今はそんな事考えてる時じゃないでしょ)


 総司はぶんぶんと首をふってから、慌てて携帯電話を耳にあて直した。
 それから、小さな声で云った。
「あの……土方さん」
『何?』
「ごめんなさい……」
『その謝罪は、俺との約束を破ったこと? それとも、嘘をついたこと?』
「嘘なんかついてないもん。伊庭さんは友人だし、それに……」
 総司は云いつのるうちに、何だか、だんだん腹がたってくる自分に気が付いた。
 だいたい、おかしいと思うのだ。どう考えても不公平なのだ。
 伊庭と会って何が悪いのか。
 別に浮気している訳じゃないし、それこそホテルに行った訳でもないし、ただケーキを貰ったりお茶したりしているだけではないか。
 なのに、どうして、どうして、こんなに云われなくちゃいけないの!?
 きーっ!
「絶対、謝らない!」
 突然、前言ひるがえした総司に、土方は一瞬沈黙した。しばらく黙ってから、低い声で「……なるほど」と呟く。
 怒っている事丸わかりの男の声にびくびくしつつも、総司は必死になって云いつのった。
「だって、だって、おかしいもの。ぼくは伊庭さんと会うだけで駄目、土方さんはそれで女の人と浮気。絶対に釣り合いとれてないもの。これからも、ぼく、伊庭さんと会うから。会ってケーキもらって、お茶するんだからっ」
『じゃあ、そうすれば?』
 あっさり云った土方に、総司は「え?」と目を瞬いた。
 それに、淡々とした声でつづけてくる。
『総司の好きなようにすればいいさ』
「す、好きなようにって……」
 云いかけた時、電話の向こうで土方が誰かと話す気配がした。あらためて窓外を見てみれば、仕事中というのは本当だったらしく、歩道橋の上で同僚らしきスーツ姿の男たちと話している。
 やがて、土方が口早に云った。
『仕事に戻るから』
「あ、土方さん……っ」
 慌てる総司に構わず、土方はさっさと通話を切ってしまった。立ち上がって見ると、土方はこちらに視線を向ける事なく、同僚たちと話しながら去ってゆく。
 それを呆然と見送っている総司に、伊庭が声をかけた。
「坐って、とりあえずお茶でも飲めば?」
「……え」
 総司は伊庭の方に視線を戻すと、我に返ったようだった。
 だが、頭の中はまだまっ白だ。以前のように、本気で彼を怒らせてしまったのではないかという不安が、総司の指さきまで冷たくする。
 のろのろと椅子に坐り、紅茶のカップを手にした総司に、伊庭は苦笑した。
「本当に……好きなんだねぇ」
「……」
 顔をあげると、伊庭はテーブルに肘をつき、どこか悪戯っぽい表情で総司を見つめていた。
「好きで好きでたまらないってオーラが、総司くんから出まくっているよ」
「そ、そうですか?」
「そうさ。でなきゃ、ちょっときつく云われたからって、そんなに落ち込んだりしないし。いや、チョコケーキで一本釣りするつもりが、見せつけられちまったなぁ」
「伊庭さん……」
 総司は長い睫毛を伏せ、俯いてしまった。しゅんとなった姿は、耳が垂れた子犬か兎のようだ。
 こんな可愛い姿を見ていて、すげなく出来るはずがないのにと思いつつ、伊庭は言葉をつづけた。
「とりあえず、例のものを仲直りの切っ掛けにしたらどうだい?」
「え……」
「バレンタイン。そのためにも、それ、オレに頼んだんだよね」
 総司は、先程伊庭から渡されたものに、視線をやった。
 それはチョコのレシピだった。何か簡単なもので、男の人も食べやすいものをと頼んだ総司に、伊庭が結構おいしいからと、ソルトチョコのレシピを教えてくれたのだ。
「文字通り、恋敵に塩を送るってね」
「伊庭さん……」
「まぁ、頑張って。オレも、総司くんの笑顔が一番好きだから。そんな悲しそうな顔は、見ていて辛いよ」
 そう云ってくれた伊庭に、総司はレシピを抱きしめると、「ありがとうございます」と、ぺこりと頭を下げたのだった。












 さて、チョコづくりである。
 土方の方が料理上手のため、普段はいつも彼のおいしいご飯を食べさせて貰っているが、総司も出来ない訳ではないのだ。もっとも、土方の料理の腕前は、どこぞのシェフ並なので、比べものにならないが。
 とりあえず、総司は初挑戦のチョコづくりに頑張ることにした。
 バレンタインの当日、朝から材料をそろえ、せっせとつくり始める。
 結局の処、あれから土方とは顔をあわせていなかった。
 メールでは一応ごめんなさいと送り、別にもういいという(あまりのそっけなさに、尚のこと落ち込んでしまったが)返事が来たので、前回のように行方不明になっている訳ではない。
 上階で寝起きしているようで物音はちゃんとしていたし、総司がこっそり行ってみた検察庁まで姿を見かけた事もあった。
 だが、しかし、土方が総司の部屋を訪れる事はなかった。全くの知らん顔なのだ。
 そのことに気づいた磯子などは、「また喧嘩?」と呆れていたが、総司は何とも答えようがなかった。
 自分だって、まだ怒っているのだ。一応謝りはしたが、それでも全然納得していない。もやもやしまくっている。
 このチョコは、伊庭が云ってくれたような仲直りの為のものではなかった。ある意味、宣戦布告のようなものだ。


 これからも、伊庭さんと会うけど、土方さんの浮気は許しません。
 ちゃんと彼氏として、ぼくを大事にしてちょうだい!


 と、いう訳なのである。
 つまりは、このチョコで一本釣りするつもりなのだ。一本釣りして、しっかり話をつけるつもりなのだ。
「そのためにも、頑張らなきゃ」
 総司はねりねりチョコをこね、分量どおりに塩を入れた。宣戦布告とはいえ、彼氏を釣り上げるためのチョコだ。一生懸命つくってゆく。
 型にいれて冷やしてから抜き取ると、可愛らしいソルトチョコが出来上がった。それを丁寧に箱につめ、ラッピングする。
 時計を見れば、もう夕方の5時をまわっていた。昨日徹夜だったので(それも、夜物音がしなかったのでわかったことだ)、土方は早めに帰ってきていた。昼過ぎに玄関のドアが開閉される音を、しっかり聞いている。
「よし!」
 一人気合いをいれると、総司は箱を手に上階へあがった。ピンポーンと鳴らそうとして、追い払われたら困ると気づき、以前に貰った合い鍵をそっと差し入れる。
 カチャッと音をたてて入った部屋の中は、薄暗かった。本当にいるの? と思ってしまう程、人の気配がない。
 総司は寝室で眠ってでもいるのかなと思い、とことことリビングの中へ入った。そこも明かりは灯されていない。厚いカーテン越しにうっすらと光が入ってくるが、それでも部屋の中は薄暗かった。
 総司はリビングの中を通り、ダイニングへ入ろうとした。チョコをそこへ置き、お茶の用意でもしてから起してあげようと思ったのだ。
 その時、低い声が響いた。
「……何か用?」
「!?」
 驚きのあまり、思わず飛び上がってしまった。
 大きく目を見開いてふり返ると、誰もいないはずのソファから、土方が身を起す処だった。寝起きなのか、くしゃりと乱れた前髪を片手でかき上げている。
 慌てて明かりをつけると、眩しそうに目を細めた。
「総司……」
「ひ、土方さん……寝室にいると思って……」
「ソファでうたた寝していたんだ。ベッドで眠ると、眠りすぎるからな」
 寝起きゆえに掠れた低い声が、とてもセクシャルだ。
 そんな事にもどきどきしながら、総司はソファへと歩み寄った。土方は帰宅後にシャワーをあびて着替えたのか、ラフなネルシャツとボトムスという恰好だった。大きく開いた襟ぐりから覗く鎖骨が、とても色っぽい。
 久しぶりだからか、彼のすべてにどきどきしてしまう自分を感じつつ、総司は云った。
「あの……土方さん」
「何?」
「これ、渡したくて」
 さし出した箱に、土方は小首をかしげた。不思議そうな顔で、それを眺めている。
「? 何だ、これ」
「開けてみて」
「……」
 土方は云われるままリボンをほどき、箱を開いた。かるく目を見開く。
「チョコレート……あぁ、そうか。バレンタインか」
「うん。ソルトチョコなの」
 総司は恥ずかしそうに頬を染めつつ、云った。
「これなら土方さんも食べやすいかなと思って、それで……」
「おまえがつくってくれたのか?」
「うん」
「ありがとう」
 土方は優しい笑みをうかべた。一つ摘んで口にはこぶ。
 味わうように目を閉じてから、にっこり笑い「おいしいよ」と云ってくれた。
 総司はたちまち嬉しくなった。
「よかった! チョコなんて初めてつくったから、心配で……本当においしい?」
「あぁ、とても」
 そう頷き、土方はチョコを一つ、総司の口にはこんでくれた。総司は、あーんと口をあけて食べてみる。
 塩味とチョコの甘さがまざりあい、不思議な味わいだが、とてもおいしかった。
「おいしい……よかった」
「これ、つくるの苦労しただろう。ソルトチョコなんて、よくレシピあったな」
「あのね、教えて貰ったの」
「誰に?」
「……い、伊庭さんに」
 思わず口ごもってしまった総司に、土方は、だが、「ふうん」と呟いただけだった。今までだったら、怒っていただろうに、全然怒っている様子もない。
 しいて云えば、無関心……?


(ど、どうしよう……)


 総司は両手を握りしめた。
 もしかして、呆れられたのだろうか。
 こんなチョコでは、許してくれない?
 あの時云った、好きにすればいいという言葉は、自分を突き放す言葉だったの……?


「ごめんなさい」
 総司は思いきって頭を下げた。
「伊庭さんとの事は、約束破って悪かったと思っています。でも、あの……」
 云いかけた総司の前で、突然、土方が手をあげた。反射的に、思わずぎゅっと目をつむってしまう。それに、土方が苦笑した気配がした。
 やがて、そっと髪を優しく撫でられる。
「謝るのは、俺の方だよ」
「え……?」
 総司が目を開くと、土方はちょっと照れくさそうな笑みをうかべていた。
「今度ばかりは、俺も我儘だったかなぁと思ってさ」
「土方……さん?」
「やきもち焼きすぎて、おまえをめちゃくちゃ縛ってしまった。ごめんな」
 そう云って、額にキスしてくれた土方に、総司は息を呑んだ。思ってもみない展開に、ちょっと何だか警戒してしまう。
 おずおずと訊ねた。
「じゃあ、あの……いいの? もう怒らないの?」
「伊庭と会う事だろ? あぁ」
「えっ、だって、絶対だめって」
「だから、いいよ。お茶するぐらいなら、総司の自由に任せるさ」
 にっこり笑ってみせる土方を、総司はじいっと見つめた。
 何だか、とってもやばい気がするのだ。というか、本当の本当にいいのだろうか。
 もしかして、これで結局、「だから、俺も浮気するね」なんて事は……
「……あの、ね」
 土方のセーターの端を、総司は細い指さきでぎゅっと掴んだ。上目づかいに彼を見上げ、ちょっと舌ったらずな口調で問いかける。
「浮気、しない?」
「え?」
「だから、浮気。土方さんは、しない?」
「……」
 土方はちょっと目を見開いた。それから、もう一度にっこり笑うと、答えた。
「するよ」


 ……え?


 思わず目を瞬いてしまった。
 聞き間違い?と思って、小首をきょとんと傾げる。
 それに、土方はくすくす笑いながら、云った。
「浮気、するよ。そうだなぁ、しちゃうかも」
「……って、えっ、えぇっ!?」
 総司は大声で叫んでしまった。
「全然反省なんかしてないじゃないっ」
「あれ? 俺、反省したなんて云った?」
「云ってない、けど! でも、我儘だって」
「だろ? 我儘すぎたと思ったから、総司が伊庭に会うの了承した訳じゃないか」
「でも、だから、土方さんが浮気するなんて、絶対おかしいもん!」
「じゃあ……」
 不意に、土方の声が低められた。
「浮気しないよう、総司が俺を束縛すればいい」
「──」
 総司は大きく目を見開いた。
 土方は、濡れたような黒い瞳に総司だけをうつし、その耳もとに唇を寄せた。しなやかな指さきで首筋を撫でながら、ゆっくりと低い声で囁きかける。
「今度は、おまえが俺を縛ればいい」
「ぼくが……土方さんを?」
「そう。好きなだけ、束縛してごらん?」
 形のよい唇だけで微笑んでみせる。
 その誘惑するような笑みに、総司は背中をぞくりとするものが突き抜けるのを感じた。熱っぽい、甘美な痺れだ。
 気がつけば、ソファの上に抱きあげられていた。男の膝をまたぐようにして坐らされ、彼の端正な顔を見つめてしまっている。
「束縛して……」
 甘い声が囁きかけるのに、総司はゆるゆると目を閉じた。無意識のうちに男の首をかき抱き、頬をよせる。
「本当に……いいの?」
「あぁ」
 土方は総司の頬を両手ではさみ、額に、瞼に、唇に、甘いキスの雨を降らせながら、微笑んでみせた。
「おまえになら、構わないよ。むしろ、縛られたいぐらいだ」
「じゃあ……縛っちゃおうかな」
 ちょっと舌ったらずな声で答えた総司を、土方は濡れたような黒い瞳で見つめた。ぞくりとするほど色っぽい視線だ。
 総司はチョコの箱をラッピングしていたリボンを、そっと取り上げた。それで土方の手をとり、両手をあわせてぐるぐる巻き付けてゆく。
 そうされても、土方はじっと見つめているだけだった。形のよい唇に、微かな笑みさえうかべている。
 両手を縛られた土方は、総司を愛撫することも抱きしめることもできない。
 だが、そのかわりに、総司が彼を愛撫し、抱きしめた。いつも彼がしてくれることを思い出し、一生懸命奉仕するように辿ってゆく。
 シャツを脱がせ、なめらかな褐色の肌のあちこちに唇を押しあてた。吸い上げると、くすぐったかったのか、土方が喉奥で笑う。
「……」
 余裕である彼が何だか悔しく、総司は男を煽ることに懸命になった。その甲斐があったのか、ボトムスの下で、男のものが固くなってゆくのがわかる。
 周囲を何か探すように見回した総司に、土方がそれの在りかを教えてくれた。引き出しからクリームを取り出し、自分の蕾に塗りこめてゆく。
 怖かったが、少しでも楽になれるよう、顔を真っ赤にして頑張る総司に、土方は苦笑した。
「無理しなくていいから……ほら、そろそろ解いて」
「だって」
 総司はベビーピンクの唇を尖らせた。
「縛ってって、云ったの土方さんじゃない」
「意味が違うのですよ、お姫様」
「違わないの」
「困ったなぁ」
 土方は肩をすくめた。
「これじゃ、総司を可愛がられないし、何もできない」
「大丈夫、ちゃんとやれるから」
 総司はきっぱり云いきると、ソファの上に横たわった男の上にまたがった。それに、土方の眉が微かに顰められる。
「やめよう。無理だよ」
「大丈夫だもん。今日、バレンタインデーだし……ぼくも頑張りたいの」
「チョコを貰ったから十分だよ。それに」
 くすっと笑った。
「云っただろ? 俺が総司を可愛がりたいって。バレンタインデーなんだから好きにさせてくれ」
「やだ。絶対にするの」
「だめだ」
 きっぱりと云いきった瞬間だった。
 不意に、総司の視界がぐるりと回り、気がつけば、ソファにぱふっと沈んだ処だった。
 え? え? と目を瞬かせながら見上げれば、覗き込んだ土方がにっこり笑いかける。
 その手にあるのは、解かれたリボンだ。
 思わず叫んでしまった。
「しっかり結んだのに!」
「それは残念でした。さて、たっぷり可愛がってあげるよ」
 土方は総司の躯にのしかかり、甘い甘いキスをあたえた。そのまま両膝を抱え上げ、クリームで濡れた蕾に己の猛りを押しあてる。
 総司が息を呑んだのがわかると、小さく笑ってみせた。
「可愛いな」
「土方…さん……」
「愛してるよ」
 囁きざま、一気に貫いた。
「ぃ…ぁああーッ!」
 総司は仰け反り、悲鳴をあげた。反射的に上へ逃れようとするのが押さえ込まれ、しっかりと根本まで受けいれさせられる。
 柔らかく熱い感触に包み込まれ、土方が、はぁっと色っぽい吐息をもらした。
「……すげぇ気持ちいい」
 それに、総司は長い睫毛を瞬かせた。
 確かに痛みはあったが、それでも、彼と一つになれる事は嬉しかった。愛する土方との行為は、いまや、総司にとっても甘く心地よい、大切なものとなっているのだから。
 しばらくしてから、土方が
「動いていいか?」
 と、訊ねてきた。それに躊躇いつつも、こくりと頷く。
 土方はなめらかな頬にキスを落とすと、ゆっくりと抽挿を始めた。男の猛りが蕾に抜き挿しされる。
「ッんっ…ぁ、ぁあっ…ぁッ」
 総司は土方の腕にしがみつき、声をあげた。
 痛みの中から甘い疼きがこみあげてくる。それが心地よくて、だが、どこか怖くて、思わず「いや…っ」と首をふった。
「ぁ、や…だッ、ぃや……っ」
 子どものように首をふる総司に、土方は目を細めた。男の情欲が刺激されたのか、たまらないとばかりに両腕で抱きしめてくる。
「すげぇ可愛い」
「んっ、やっ、も……怖い……っ」
「そんなに怖がらないで。大丈夫、さっきも云っただろ?」
 土方は総司の細い両膝を抱え込み、体を二つ折りにしてのしかかりながら、優しく笑いかけた。だが、その黒い瞳は熱っぽく濡れている。
「たっぷり可愛がってあげるってさ」
「ぃ、や…ぁ、ぁああ──ッ!」
 一気に最奥を穿たれ、総司は悲鳴をあげた。その後はもう嵐のようだった。
 土方は総司の細い両膝をしっかり抱え込み、何度も激しく突き入れる。
 深々と貫き、感じやすい奥をぐりぐりと男のものの先端で抉りまわされた。そのたびに、総司は「ひぃっ」と泣き叫び、頂きへと追い上げられる。
「ぁッ、ぁあッ、ぁ…や、ぃぁあッ」
「っ…はぁ……すげぇ熱…ッ」
「も、許し……許し、て…ひぃ、イッぁあッ」
 一際甲高い悲鳴をあげた瞬間、総司のものが白い蜜を迸らせた。それと同時に、最奥へ土方の熱が激しく叩きつけられる。
「ぁ、ぁあ…ッ、ぁあッ」
 感じる箇所に熱を注がれ、総司は泣き声をあげた。たまらず腰が何度も跳ね上がる。
 内と外からの快楽に、気が遠くなりそうになった。
 快感に震える細い躯を、男の両腕がきつく抱きしめる。
「……愛してる、総司」
 そう囁いてくれる恋人の声に、総司は夢見心地の幸せの中、こくりと小さく頷いたのだった。












 さて、結局の処。
 一本釣りされた挙げ句、おいしく頂かれちゃったのは、どちらの方だったのか。
 はたまた、これからも縛られるのは、どちらなのか。
 それは、皆様のご想像におまかせするという事で……