総司は家の中で、ぼんやりと着物を見つめていた。
 先日、土方から贈られ、あのパーティにも着ていった着物だ。
 斉藤の知り合いの女性が着付けてくれたものだが、かなり高価なものだと云っていた。確かに、潤み朱色が艶やかで、とても美しかった。
 だが、今の総司には、心重くなるものだ。


(こんな綺麗な着物、本当はもっと別な人が着るべきなのに……)


 いっそ送り返してしまおうかと思った。
 そんな事をすれば土方は怒るに決まっているが、かえって別れ話の切っ掛けにもなる。決定的な一言を告げられる前に、こちらから絶ってしまった方が良いとさえ、考えた。
 だが、一方で、そんな自分が弱く情けなく、唇を噛んでしまう。
「……」
 総司は着物を包みなおすと、胸に抱きかかえた。そうして、ふと窓の方をふり返る。
 夕方、店から帰る最中雨が降りそうだったが、今は大丈夫なのだろうか。
 総司は腰窓の傍にたち、外を眺めた。水たまりが出来ていないか、下を見下ろす。
 とたん、息を呑んだ。
「……っ」
 アパートのすぐ下に、美しい琥珀色の車が停まっていたのだ。
 以前、一度だけ乗せられた事があるので知っている。あれは彼の車だった。
 いや、そうではないかもしれない。別の人が乗っているのかもしれない。
 だが、総司はそれを見た瞬間、彼だと確信していた。電話もメールも拒否しつづけてきた総司に業を煮やし、とうとう家にまでやって来たのだ。
「……に、逃げなくちゃ」
 総司は慌てて部屋から飛び出した。無意識のうちに着物を抱えたまま出た事に後から気づいたが、もう戻っている暇はない。
 階段を駆け下りた。足音をたてないよう、裏口にまわって出てゆく。
 公道へ出る直前だった。
「……え、あっ!」
 思わず悲鳴をあげた。
 突然、片腕をつかまれたかと思うと、あっという間に抱きあげられたのだ。腰と膝裏に手をまわして軽々と抱き上げ、半ば担ぎあげるようにして歩き出してゆく。
 頬にさらりとした黒髪がふれ、地面とコートを纏った男の逞しい背が視界に映った。
「やっ、ちょっ……土方さん!」
 必死になって抗おうとしたが、まったく身動き一つできなかった。
 土方は無言のまま大股で駐車場を横切った。車の運転席側のドアを開くと、そこから総司の躯を助手席へと放り込んだ。柔らかなシートのため痛みはなかったが、衝撃に息をつめる。
 つづけて運転席に躯を滑り込ませた土方は手早くシートベルトをしめ、キーをさしこみアクセルを踏み込んだ。総司が逃げ出す暇も与えず、車を発進させてしまう。
「土方さん……!」
 慌ててシートベルトをしめながら、総司は彼の名を叫んだ。だが、全く答は返らない。
 車は、スポーツカーらしい速度で、夜闇の中を滑るように疾走してゆく。
 常にない彼の乱暴な振る舞いに、総司は半ば呆然となった。おそるおそる土方の方をうかがう。
「……」
 薄闇の中、男の端正な横顔がうかびあがっていた。そこに、一切の表情はない。
 形のよい眉は僅かに顰められ、唇は固く引き結ばれていた。


(本気で怒っている……)


 総司は身を竦ませるような怯えの中で、そう思った。
 いつも優しく穏やかな彼が怒ると、総司は怖くてたまらなくなる。どうしたらいいのかわからず、まるで子どものように泣き出したくなってしまうのだ。
 今もそうだった。
 必死になって堪えようとしても、視界がぼやけた。涙がこみあげてくる。
 総司は膝上に置いた包みをぎゅっと握りしめ、それだけを見つめた。
「……どうして泣く」
 低い声が車内に響いた。
 はっとして顔をあげてみたが、土方はこちらを見てもいない。冷たい横顔のまま、車の運転をつづけていた。
「泣く理由がないだろう」
「……ごめんなさい」
「その謝罪は、俺からの連絡を無視した事に対してか? それとも、逃げだそうとした事?」
「どちらも……です」
 小さな声で答えた総司に、土方は僅かに嘆息した。それから、ちらりと総司の膝元へ視線を走らせる。
「それは?」
「……あ」
「何だ」
「あの……これは、着物です。この間贈ってもらった……」
 そう答えたとたん、土方の形のよい眉が顰められた。
 しばらく黙った後、押し殺したような低い声が呟いた。
「……成る程。突き返そうと思った訳か」
「土方…さん……っ」
「俺からの連絡をすべて絶って、挙げ句に贈り物も突き返して。そして、後は、別れ話を切り出すばかりだった訳だ」
 土方は目を伏せ、くっと喉を鳴らして嗤った。
 その自らを嘲るような笑い方が恐ろしく、総司は躯を竦み上がらせた。
 いつも誠実で真摯で、誰よりも優しい彼だからこそ、恐ろしかった。男の声に潜む常軌を逸した何かが、総司をたまらなく怯えさせた。
 不安に震えながら見つめると、ちょうど赤信号だっため、土方は視線を返してきた。常と変わらぬ、濡れたような黒い瞳が総司を見つめる。
「……俺が怖い?」
 優しいまでの声で訊ねられたが、何も答えることが出来なかった。
 ただ息をつめ、土方だけを見つめ返している。
 それに、土方は微かな笑みをうかべた。
「そんなに怖がるなら、逃げなければいいだろう」
「土方さん、話を聞いて下さい」
 総司は思いきって手をのばし、彼の腕にふれた。大きな瞳で土方だけを見つめ、言葉をつづける。
「ぼくは、あなたから逃げようとしました。でも、それは……別れるためじゃないの」
「なら、どうして逃げた」
「それは……」
 一瞬、唇を噛んだ。だが、思い切って言葉をつづける。
「逆に、あなたに別れを告げられるのが怖かったのです。それなら、いっそぼくからと思って……」
「俺が何故おまえに別れを告げるんだ」
「……あなたに縁談があると聞きました」
 掠れた声で呟くように云った総司に、土方は眉を顰めた。
「俺に縁談?」
「聞いたのです。政治家に妻は必要不可欠だと。あなたも適齢期だから縁談が沢山あって……いずれ結婚するはずだからと」
「……」
 総司の言葉に、土方は無言だった。静かにシフトレバーを動かすと、車を発進させる。
 緩やかに走り出してゆく車の中、総司は答を求めるように男の端正な横顔を見つめた。だが、一切の表情がかき消され、その感情一つ伺えない。


(余計な事を云ってしまったの?)


 激しい不安が総司を襲った。


(この人が政治家で、人としてぼくとは違う世界で生きていること……そんなの全部わかっていたはずなのに。なのに、今更こんな事を云うなんて……)


 僅かな吐息とともに、目を伏せた時だった。
 不意に土方がハンドルを切り、車を停止させる。
 驚いて見回すと、そこはマンションの駐車場だった。いつのまにか、彼のマンションまで来ていたのだ。
「部屋で話そう」
 土方はキーを抜きながら、静かな声で云った。それに、総司は不安のため怯えてしまう。
 まだ僅かに潤んだ瞳で見上げる恋人に、土方は苦笑した。手をのばして小さな頭をひきよせ、そっと額にキスを落としてやる。
「そんなに怖がらないで。別れを告げたりしないよ」
「土方…さん」
「ほら、おいで」
 車から降ろされ、二人は彼の部屋に向った。ドアを開き、見慣れた部屋の光景に少し安堵の息をついてしまう。
 総司にとって、ここは今や自分の部屋と同じぐらい寛げる場所となっていたのだ。
「食事はもう済ませたのか」
 土方は何事もなかったように、柔らかな口調で訊ねた。それに、こくりと頷く。
「なら、珈琲でもいれよう」
「あ、でも」
「わかっている。おまえのはカフェオレにするよ」
 そう云うと、土方はコートを脱ぎながらキッチンにむかった。やがて、珈琲のいい香りが部屋の中にみち始める。
 土方は馴れた手つきでカップを運んでくると、カフェオレの方を総司に手渡した。二人ならんでソファに腰かけ、カップを口にはこぶ。
 しばらくの間、静かな時間が流れた。
 総司が躊躇いがちに見上げてみると、土方はそれに気づいて視線を返してきた。ことんと音をたててカップをテーブルに置き、その手で総司の細い肩を抱きよせてくる。
 首筋に顔をうずめるようにして抱きよせ、低い声で囁いた。
「……頼む」
「え」
 縋るような彼の声に、目を見開いた。
「俺から、逃げないでくれ」
「……」
 思わず息をつめた総司に、土方は言葉をつづけた。
「おまえに逃げられるのが……一番辛い。酷く応えるんだ」
「土方…さん……」
「まるで、世界中の誰もから見捨てられ、一人ぼっちになってしまったような気がする。怖いのは俺の方だ。いつ愛想をつかされ別れを告げられるか、不安に怯えているのは俺の方なんだよ」
「……っ」
 総司は目を見開いた。


 信じられない言葉だった。
 だが、彼の声は掠れ、僅かに震えてさえいた。
 それが真実であるのは、縋りつくように抱きしめてくる彼の手が証だ。
 身を寄せることでつたわる土方の底深い孤独に、総司は息を呑んだ。


(土方さん……)


 ぼくは、この人を傷つけたのだ。
 世界中で、こんなにもぼくを必要としてくれる人は他にはいない。
 大天使であれば、人々から崇拝を受けるのは当然だが、彼はそれ以前にぼくを愛してくれたのだ。大天使としてではない、ぼく自身を見つめ、選びとり、抱きしめてくれた。
 なのに、ぼくは、土方さんを傷つけてしまった。
 自分自身が傷つくのを恐れるあまり、弱い心のまま逃げて、誰よりも優しいこの人を傷つけてしまったのだ。


「ごめん…なさい」
 思わず謝った。
 小さな声で云った総司に、土方はゆっくりと身をおこした。
 それに、言葉をつづけた。
「本当にごめんなさい。あなたを傷つけるなんて……そんな事したくなかったのに」
「総司……」
 土方は、そっと両手をのばした。頬を両掌でそっとはさみこみ、瞳を覗き込んでくる。
「もう俺から逃げないか……?」
「はい……」
「信じていいのか。本当に、約束してくれる?」
「あんな事をして傷つけて……ごめんなさい。でも、信じて。もう二度と逃げたりしないから、あなたの傍にいるから」
「何があっても? 俺を嫌いになっても?」
「そんな事あるはずないけど、でも、何があっても……ぼくは、土方さん、あなただけのものです」
「総司……」
 ようやく、土方の瞳の色が和らいだ。微かに笑ってみせると、頬に唇にキスを落としてくる。
 男の両腕が、少年の細い躯を抱きすくめた。
 まるで――永遠の鎖に囚らえ、繋ぐがごとく。
 素直に身をまかせてくる総司の髪を撫でながら、土方は僅かに目を伏せた。
「……」
 形のよい唇の端が微かにあがり、満足げな笑みをうかべた……。












 可愛いくせに、裏切ってゆく。
 それは昔からの事だった。
 この可憐な恋人は、いつも彼の思惑など見事に裏切ってしまう。思ってもみない事に反応し、彼を翻弄するのだ。
 まるで、百戦錬磨のプレイガールが男を手玉にとるかのように。
 しかも、その事に本人が気づいてない分、尚更始末におけなかった。


(まぁ、そこが可愛いとも云えるが)


 土方はふと薄く笑った。
 腕の中で艶めかしく喘いでいる恋人を、見下ろす。抱き起こせば、しなやかな白い背を反らした。
 膝上に抱きあげ、己の猛りの上に腰をおろさせてゆく。
「…っ、や…ぁあッ」
 総司が彼の肩を掴み、逃れようとした。その細い腕を強引に掴み、ぐっと引き寄せる。
「ぁあーッ!」
 頤をあげ、総司が泣き叫んだ。大粒の涙がぽろぽろとこぼれ落ちてゆく。
 だが、苦痛故でないのはわかっているのだ。妖しい快楽を恐れるあまりの抗い、涙だ。
 それを知っているからこそ、土方は総司の細い躯をより強く抱きしめた。身重によって男のものをすべて受け入れさせられた総司は、喘ぎながら、いやいやと首をふる。
 その様がいたいけで可愛らしく、思わず低く笑った。
「いや、か……?」
 そう問いかけ、キスを落とした。
「だが、いやと云う割に、おまえの躯は俺を優しく受け入れている」
「……だって…こん、な……っ」
「こんな、何?」
「深い…の、こんなの…怖い……」
「怖いか」
 くすっと笑い、土方はかるく揺さぶってみた。とたん、総司が悲鳴をあげ、しがみついてくる。
 その細い腰を両側から掴み、ゆっくりと上下させた。
 己の意志にかかわらず、男の猛りの上に腰を落とされる少年は、たちまち泣き声をあげる。
「や! ぃ、やぁ…っ」
「可愛いな……総司」
「ぁ、ぁあっ、や、んぁあッ」
 いやと首をふりながら、その頬はなめらかに上気し、胸の尖りもピンク色に艶めいている。
 清純な大天使が男の欲望に貫かれ、淫らに艶めかしく悶えていく様は、男をたまらなく煽りたてた。
 さすがの土方も喉を鳴らし、その細い躯を激しく貪り始める。
「あ、いやっ」
 不意にベッドの上へ押し倒され、総司は悲鳴をあげた。
 慌てて上へ逃れようとするが、大きく両脚を開かされ、その中心に男の猛りを突き立てられる。
「ひぃ…ぁあッ!」
 悲鳴をあげる総司を抱きすくめ、土方は激しい抽挿をくり返した。荒い息使いと泣き声、ベッドの軋む音だけが部屋に響いてゆく。
 裏切り、愛し、翻弄する愛しい恋人。
 澄んだ水のように清冽でありながら、快楽に弱く、魔王さえも惑わしてしまう艶めかしい大天使。


 土方はその最愛の恋人を見下ろし、目を細めた。薄い笑みが、形のよい唇にうかべられる。


(……裏切ればいい。俺を惑わし、好きなだけ翻弄すればいい。総司、おまえはそれが許される、唯一の者なのだから……)


 深く唇を重ねたまま、揺さぶりをかけた。
 くぐもった悲鳴がもれ、それにぞくぞくするような愉悦を覚える。
 だが、一方で、口づけにも懸命に応えてくる幼い総司が、可愛くてたまらなかった。愛しくて可愛くて、どうにかなってしまいそうだ。
「総司……愛しているよ」
 そう囁き、頬に首筋にキスを落とした。
 白い肌に咲き乱れる、鮮やかな花びら。それを満足げに見下ろし、また深く突き入れてゆく。
 深く激しく繋がるために。
 身も心もとろけあわせるように。
 きつく抱きしめた魔王の腕の中、大天使は甘く艶めかしく鳴いた……。












 朝の日射しが柔らかだった。
 大きな窓ガラスごしに陽が射しこみ、リビングは白薔薇のような光にみたされている。今日は天気がよくなりそうだった。
 澄んだ美しい空を見ていると、思わず両手をさしのべ、翔びたちたくなる。
 そんな事をぼんやり考えていた総司は、はっと息を呑んだ。突然、後ろから優しく抱きすくめられたのだ。
 見上げれば、土方が微笑みながら見下ろしている。
「おはよう」
「お、おはようございます」
「随分早いね。目覚めたらいないから、帰ってしまったのかと思ったよ」
「そんな事しません。勝手に帰るなんて……」
 慌てて首をふった総司に、土方は微かに笑った。どこか揶揄するような笑みだ。
「さぁ、それはどうかな」
「え……?」
「それはそうと、朝食にしようか。かるい食事しか用意できないが」
「あ、ぼくも手伝います」
「その格好で?」
 くすくす笑いながら、土方が総司の耳もとに口づけた。それに、頬を染めてしまう。
 土方はもうシャツにジーンズという格好に着替えていたが、総司は白いパジャマ姿のままだったのだ。しかも上だけしか着てないため、ひどく扇情的な格好だ。
「このパジャマもよく似合うが、この姿でキッチンに立たれたら我慢できなくなるよ」
「え……」
「ほら、着替えて。おまえの服はもう用意しておいたから」
 そう云ってソファの方をさし示してから、土方はふと気づいたようにふり返った。
「そう云えば、あの着物は?」
「……?」
「あの着物だよ。どこに置いたんだ」
「あ」
 総司は慌てて彼の傍をすり抜けると、リビングの一角に置いていた包みを取り上げた。それをテーブルの上へ置く総司に、土方が問いかける。
「これ、気にいらなかったか?」
「いいえ、とっても綺麗で素敵でした」
 そう答えた総司は、包みを広げようとした。だが、土方はそれを柔らかく取り上げると、自ら包みをほどいてしまった。
 ばさっと音をたてて広げれば、潤み朱色が見事なほど艶やかだ。
 土方は総司の細い躯を着物で包みこむように広げ、羽織らせた。
「……よく似合う」
 土方は僅かに目を細めた。
「とてもよく似合うよ。今度着る時は、一緒に半襟や帯締め、すべて一式揃えよう」
「え、あの」
「この間は借り物だったのだろう。そこまで気が回らなくて悪かった。まさか、あんなにすぐ着てくれるとは思っていなかったから」
「ご、ごめんなさい」
 総司は着物の襟元を引き寄せながら、謝った。
「あなたに何の断りもなく着て……ごめんなさい」
「その事を謝るより、斉藤と出かけた事の方を謝って欲しいね」
「あ」
「次からは、俺から贈られたものを着るのは、俺と一緒の時に限ること。いいね?」
「は、はい」
 こくんと頷いた総司に、土方は満足げに微笑んだ。どこか悪戯っぽい光を宿した瞳で、恋人の可愛い顔を覗き込む。
「今度、一緒に色々と買いに行こう。鞄から草履まで、たくさん買ってあげるよ」
「そんなのいりません。それに、ホワイトディに買ってもらったし……」
「あれは別だろう。そうじゃなくて、今度は俺自身の満足のためだ。いや、油断したらいつ逃げ出すかわからない大天使を、繋ぎとめておくための鎖、かな?」
 揶揄めいた口調でありながら、土方の黒い瞳はどこか冷たい翳りを帯びていた。
 まるで、狙った獲物を見つめる残酷な獣のような瞳。
 だが、それに総司が気づくことはない。彼の胸もとに小さな頭を凭せかけ、拗ねたように呟いた。
「鎖だなんて……もう逃げないのに」
「俺からの束縛は、いや?」
「いいえ……嬉しいです」
 どこかうっとりしたような口調で答える総司に、土方は微笑んだ。


 この世でただ一人。
 魔王たる俺を裏切り、惑わし、翻弄する恋人。
 だが、わかっているか?
 その許しの代償は、おまえの愛だ。
 清らかで美しい、おまえのすべてだ……。


 土方は優しく恋人の髪を撫でた。
 そして。
 甘いキスを落としてやりながら、そっと囁きかけたのだった。
「……愛しているよ、総司」



 美しくも清らかな
 その御身に絡みついた、鎖ごと……
 





















いつか着物姿の総司をエスコートする魔王さま土方さんも、書いてみたいです。