一年余の歳月が流れた。
その間にも世の中はめまぐるしく動きつづけ、新選組でも様々な出来事があった。中でも最も大きな事は、伊東派による分離だ。
総司が失踪した後、土方と伊東の対立は最悪を極めた。もはや言葉を交わす事もなく、互いに水面下で熾烈な闘争をくり返し続けたのだ。挙句が、伊東による隊の分離だった。大勢の者が伊東に従い、それを土方は黙然と送り出した。
むろん、これで終わった訳ではない。だが、一つの節目を迎えた事も、また確かな事だった。
「春、だな」
書き物をしていた土方は、ふと縁側の向こうを見やり、呟いた。
ひらひらと紋白蝶が飛んでゆくのが見える。殺伐とした世の中とは裏腹に、のどかな光景だった。
いつの事だっただろうか。こんな晴れた日に、総司を外へ連れ出した事があった。手のひらにいっぱいすくった花びらを、総司に降らせてやった。
ひらひらと降り舞う花びらの中、あどけなく微笑っていた総司。
何の憂いもなかった。永遠に、この可愛い恋人は己の手の中にありつづけるのだと、愚かにも信じていたのだ。だが、今、総司は彼の傍にいない。彼の傍どころか、どこにいるのかさえ、わからないのだ。
あの寒い冬の夜、総司は病の身でありながら去っていった。雪の中にとけ消えるように、行方は途絶えてしまったのだ。
その報せを聞いた時、土方は己が行かなかった事を悔いた。確かに、斉藤の言葉どおり刃傷沙汰になっていたかもしれない。だが、それでも、総司を見失うことはなかっただろう。たとえ、総司を斬った刃を己の胸に突きたてる事になっても、失うよりは余程よかったのだ。
目の前にいない以上、悔いることも、詫びることも、気持ちを告げることも何も出来やしない。どんなに愛していると叫んでも、それはただ虚空に帰っていくばかりなのだ。
総司が消えてから、幾度も考えた。
何が悪かったのか、間違っていたのか。
彼にはどうしてもわからなかった。
愛する者を守ることが、何故悪いのか。愛する者を己だけのものとして、愛することの何がいけないのか。
斉藤は、そうではないと云った。
総司が信じられなかったのは、あなたの気持ちだ。
あなたがどれだけ深く総司を愛していたか、それを何も知らない。
だからこそ、優しい笑顔の裏側で、あなたがやっていた冷酷な仕打ちに、世界が崩壊するほどの衝撃と絶望を覚えたのだ。
あなたに愛されていると、何よりも命よりも愛されていると、そう知ってさえいたなら、総司はあなたから逃げ出さなかっただろう。
今更、だった。
どんなに悔やんでも、総司はこの手に戻らないのだ。
公には、総司は病の療養のため隊を離れたとなっていた。出張から戻ってきた近藤と相談し、土方がそう決めたのだ。
土方は筆をおくと、立ち上がった。
いい陽気だ。久しぶりに散策にでも出かけようかと思ったのだ。
一人きりの散策などわびしい限りだが、色町の女などをつれるのも煩わしい。
土方は黒い着物を着流し、ふらりと一人屯所の外に出た。黒い編み笠をかぶり、両刀を斜めざしにして歩いていく武家姿は粋で、すれ違う誰もがまさか新選組副長とは思わない。通り過ぎた女たちが歓声をあげていたが、それに切れの長い目をむける事もなかった。
艶やかな黒髪や、袂を、さらりと風が揺らしてゆく。それを心地よく感じながら、土方は最近よく立ち寄る神社の境内に入った。今日は祭りがあるらしく、賑やかな市が開かれている。
店々を見ることもなしに眺めながら、歩いていると、とんっと肘が誰かの背にあたった。この雑踏の中だ、やむを得ない。だが、土方は一応の礼儀として謝ろうと、視線を落とした。
とたん、息を呑んだ。
「!」
相手も驚いているようだった。大きく目を見開き、桜色の唇を震わせている。
呆然としている土方の前で、若者は震えながら後ずさった。あっと思った時には身をひるがえし、走り出している。
「……総司……っ!」
思わず叫んだ。
総司だった。確かに、あれは総司だった。
また少し痩せたようで、華奢な躰に質素だが清潔な着物を纏っていた。だが、それでも、総司の玲瓏とした愛らしさは、変わる事もなかった。
彼を見ていた大きな瞳。なめらかな白い頬に、桜色の唇。
花のような若者の姿は、かつて土方が誰よりも愛した総司、そのままだった。
「……っ」
土方は思わず人波を押しのけ、追った。反射的な躰の動きだった。
何も考えることなく、ただ、失われたと思っていた恋人を、夢中で追いかけたのだ。だが、総司の方が素早かった。あるいは、この辺りの道を知り尽くしているのか。
あっという間に、見失ってしまう。
「……っ、はぁ……っ」
土方は肩で息をしながら、周囲を見回した。だが、どこにも総司の姿はない。もう神社の境内ではなかった。小さな町家がならぶ、複雑に入り組んだ裏路地だ。
「……」
唇を引き結ぶと、土方はゆっくりと歩き始めた。全身で、総司の気配を探りだそうとしている。どこかに、隠れているはずなのだ、あの愛しい若者は。
きっと今も息をひそめ、彼の様子を何処かから伺っているに違いない。大きな瞳をみはり、細い指さきを握りこんで。
だが、土方は一気に掴みかかるようにして、捕まえる気はなかった。そんな事をすれば、あの若者は再び逃げ出してしまうだろう。
ならば、優しく手をさしのべ、自らこちらの腕の中に入ってくるよう、仕向けなければならないのだと、よくよくわかっていた。だが、それは捕えるためではなかった。総司自身の意思を何よりも大切にしたかったのだ。
この一年で、土方も変わっていた。総司という存在を失って初めて、思い知らされたのだ。
どれ程、自分が総司を愛していたか。
――そして、自分がどれほど総司に愛されていたか。
愛することだけに夢中になり、そんな事、考えもしなかった。総司が自分をどんなに愛してくれているかなど、その気持ちの一端さえ知ろうとしなかったのだ。
美しい人形であれば、ただ愛してやるだけでいい。だが、総司は人形ではなかった。彼という男を心から愛してくれた、一人の若者だったのだ。
それがわかったのは、総司を失った後だった。
だからこそ。
(……今度こそ、間違わない)
土方は背中に視線を感じた。
ゆっくりとふり返り、目を細める。
そこには小さな町家があった。小さいが、清潔に整えられた家はどこか懐かしい気がした。
庭に、白い花の咲いた低木がある。おそらく姫空木の花だろう。
春の風に、白い小さな花が柔らかく揺れた。
「……」
土方は木戸を押して、庭に入った。静かに歩み寄ると、その花木の傍へ着物が汚れるにも構わず、跪く。
そっと、呼びかけた。
「……総司」
「……」
花のかげで、若者が身を固くするのがわかった。ぎゅっと唇を噛みしめたまま、土方を見ている。
それに、出来るだけ落ち着いた声で話しかけた。
「久しぶりだな」
「……」
「少し話をさせてくれないか」
「……私を処罰する、ため? 殺すために、話をするのですか?」
一年ぶりの声だった。なのに、それがこの会話とは。
土方は胸奥に痛みを感じつつ、首をふった。
「いや、俺はおまえを処罰する気はねぇよ。ただ、今は話がしたいだけだ」
「……」
しばらく黙ってから、総司は躊躇いがちに立ち上がった。家の縁側にあがると、土方に、どうぞと中へあがるよう促してくる。
小さな家だった。だが、一人暮らしには丁度よいだろう。設えはしっかりしており、畳が敷かれた部屋は綺麗に整えられていた。貧しさは感じない。
「ここは?」
そう訊ねた土方に、総司はこくりと頷いた。
「近藤先生が用意して下さいました」
「――」
呆気にとられた。では、ならば、近藤は総司の居場所を初めから知っていたのだ。朴訥な親友の意外な面を見た気がした。
思わず笑いがこみあげる。
「俺が騙されるとはな。してやられたよ」
苦笑まじりに呟いた土方をどう思ったのか、慌てて総司が弁明した。
「近藤先生は、私のためを思って助けて下さったのです。土方さんと……伊東先生の間で、悩みもがいていた私を」
「なら、どうして京を出なかった」
「土方さん」
「俺と伊東の争いに嫌気がさしていたなら、京を出ればよかった。ここにいる理由などないだろう」
「確かに……ないですね、私には何も」
総司は長い睫毛を伏せた。細い指さきが畳にふれる。
それを見ているうちに、土方は、総司がひどく変わったことに気づかずにはいられなかった。さっき逢った時は、前のままだと思ったことが嘘のようだ。
総司は大人びていた。
何がどう変わったという訳ではない。だが、総司を包む雰囲気がそう思わせたのだ。
あの頃、土方の愛を信じられず、伊東の誘いに揺れ、ただ不安に泣いていた子どもは、もはやそこにいなかった。
今ここにいるのは、凛とした一人の若者だ。
「どうやって生計をたてている」
不意に話題を変えた土方に、総司は目をあげた。
「近くの寺で子供たちに勉学や剣術を教えております」
「そうか」
土方は頷き、総司を見つめた。総司も澄んだ瞳で、じっと見つめ返してくる。
やがて、土方はゆっくりと太刀をとり、立ち上がった。
「今日は帰る」
「……」
「また寄らせて貰ってもいいか」
「はい」
従順に、総司は頷いたが、あの頃とは違っていた。土方の訪れを自分の意思で判断し、応えたのだ。
土方は、そんな総司がまぶしいほど美しく見えた。可愛らしい小さな蕾だった総司が、凛として涼やかな花と咲き開いたのだ。それも己自身の力で。
どんな葛藤や苦しみがあったかわからないが、総司にとって、この一年が決して安楽なものではなかった事ぐらい、土方も察することができた。京に身を置きながら土方の目を逃れ、自分自身の力だけで生き抜いてきたのだ。
「また来る」
そう云って踵を返した土方を、総司は黙って見送った。夕映えの光景の中、その姿はまるで一輪の白い花のようだった。
「最近、総司のところに通っているそうだな」
近藤の言葉に、土方は書類をまとめていた手をとめた。
打ち合わせの後だった。何気ない口調の近藤に、土方は視線をあげた。
「……まんまとしてやられたよ」
嫌味もなく、ただ淡々と答えた土方に、近藤は小さく笑った。
「別に騙したつもりはない。ただ、総司を守っただけの事さ」
「守っただけ、ね」
「総司はおまえからも、伊東からも、逃れようとしていた。自分に甘えを許さぬあまり、おまえも伊東も拒まざるを得なくなってしまったんだ。もっとも、おまえに対する気持ちは、もっと複雑だったみたいだがな」
そう嘆息してから、近藤は土方を見やった。
「それで、上手くいっているのか」
「別に。ただ茶を飲んで、よもやま話をするだけだ」
「おまえは総司を隊へ戻そうとは、思わんのか」
「あんたが云う事かよ」
呆れたように肩をすくめてから、土方は口角をあげた。
「そんな事をすりゃ、あいつは逃げちまう。俺はもう二度とあいつを失いたくねぇ」
「それは……おまえ次第だろう」
近藤は小さく笑った。
「おまえが己の気持ちを、どう伝えるかだ。総司に受け入れてもらえるよう、真剣に向き合えばいい」
「俺の気持ち?」
土方は眉を顰めた。
「馬鹿馬鹿しい。総司に逃げられる程、嫌われちまった俺だ。今更、何を云っても始まらねぇよ」
「歳」
近藤は、ぐっと土方の肩を掴んだ。顔を覗き込む。
「おまえは総司を取り戻したいだろう。己の傍に戻したい、そうではないのか」
「……」
黙り込んでしまった土方に、近藤は言葉をつづけた。
「総司もおまえも、ただ想いがすれ違ってしまっただけだ。何かが掛け違ってしまったのだ。なら、それをおまえの手で解けばいい」
「俺は……」
「おまえの言葉で、おまえの気持ちを告げろ。歳、今度はおまえが動くべきだ」
「……」
近藤の言葉に、土方はきつく唇を噛みしめた。目を伏せ、何かを考え込んでいる。
それを眺めながら、近藤は、あの夜、逃げ出してきた総司のことを思い出していた。
宿から飛び出し、雪の夜の中を歩く総司と逢ったのは、偶然だった。
京へ戻ろうと伏見に戻ってきた近藤が、宿近くで、たまたま見つけたのだ。追い詰められた様子の総司を、近くの宿に匿った。あの時、斉藤や伊東は懸命に総司を探していたが、意外にもすぐ近くにいたのだ。
京へ戻る途中、総司を借り家に落ち着かせ、何食わぬ顔で帰営した。きつい表情の土方に事情を聞かされた時も、何も云わなかった。
どれほど土方が総司を愛していたか、失った事で苦しんでいるか、よくよくわかっていたが、居場所を告げるつもりはなかった。いずれとは思っていたが、双方の気持ちが落ち着くことを待っていたのだ。
ずっと昔から、見守ってきた二人だった。次第に、二人の恋が危うい歪んだ方向へ突き進んでゆくのを、どうする術もなく見ていたのだ。土方によって総司が壊される様も、自暴自棄になった土方と傷つけあっていることも、知りながら助けてやれなかった。
だが、今度こそ、手をさしのべるべきだった。土方も、総司も、あの頃の二人とは違う。さまざまな事を経て、互いがどれほど大切な存在かわかったはずなのだ。
(あの祭りに総司を行かせたのは、間違いではなかったな)
土方が部屋を出ていった後、近藤は小さく笑った。
「あ」
小さく声をあげた。
庭の手入れをしていた総司は、人の気配を感じ、ふり返った。
すると、垣根に手をかけ、武家姿の男が佇んでいたのだ。あの再会した日のように、黒い編み笠に、上質の黒い着物を着流している。伊達にしめた帯が男の色香を感じさせた。
相変わらず艶やかで、華がある男だ。思わず見とれてしまわずには、いられない。
「土方さん」
はにかむように笑った総司に、土方も、ほっとしたように口元を緩めた。僅かに小首をかしげ、訊ねてくる。
「入っていいか」
「えぇ、どうぞ」
他人行儀な会話だったが、それが今の二人の防波堤のようなものだった。一切、あの頃のことは口にしない。そうしていなければ、すべてが壊れてしまいそうだったのだ。
あまりにも脆い関係であることを、土方も総司も自覚していた。
家にあがると、総司はいつものように茶を彼にすすめた。酒は出したことはない。それは夜を過ごさないという現れだった。
土方は茶を一口飲んでから、しばらくの間、押し黙っていた。何も云わず、庭先を眺めている。それを総司が訝しく思った頃、ぽつりと云った。
「花が……散ったんだな」
「え?」
「あの日、おまえが隠れていた姫空木の花だ。もう散ってしまったのか」
「そう……ですね」
総司は視線を庭の方にむけた。あれから数日がたっている。姫空木はもう散ってしまっていた。地面に白い花びらが散り、かわりに鮮やかな緑が目に眩しい。
それを見ながら、総司は思わず呟いた。
「昔……白い花を降らせてくれましたね」
「……」
驚いたように、土方が総司を見た。昔のことを総司が口にだした事にも驚いたが、そんな些細な事を覚えているとは思わなかったのだ。
見つめる土方の前で、ゆっくりと言葉をつづけた。
「もうすぐ冬になる頃だったのに、あなたは花びらをいっぱい集めてくれて、私の上に降らせてくれた。まるで夢みたいに綺麗で、私はそれも嬉しかったけれど、私のために……あなたが、そうして花をあつめてくれたことが何よりも嬉しかった。本当に愛されている、そんな気がして、たまらなく嬉しかったのです」
「総司」
「あの頃は怖くて聞けなかったけれど、今も……少し聞くのが怖いけど」
総司は澄んだ瞳で、土方をまっすぐ見つめた。
「あなたは……あの頃、私を愛してくれていましたか」
「……」
「ほんの少しでも。私のために傷つけたと云ったけれど、あなたの愛を感じる事が出来なかった。あなたは、私をただ束縛したい、独占したい。それだけしか感じることが出来なかったのです。だから、聞くのが怖かった。でも、今なら……」
「愛していたよ」
はっきりとした口調で、土方は答えた。驚くほど真摯な表情で総司を見つめながら、言葉をつづけた。
「おまえだけを愛していた」
「土方、さん」
「誰よりも、自分の命よりも、おまえだけを愛していた。だからこそ守ろうとしたし、束縛もした。他の誰がふれる事も許せなかった。だが、それがおまえ自身を俺から遠ざける事になるとは、思っていなかった。俺の気持ちがおまえに伝わっていない事も、わかっていなかった」
一瞬、視線を落としてから、土方は微かに苦笑した。
「確かに、俺はおまえを子供扱いしていたんだ。どうしても、そうとしか見ることが出来なかった。守るべき愛しい子供だと思い、だからこそ、おまえが俺のものである事が当然だと思っていた。逆らうなど、考えられなかった。おまえはいつまでも可愛い総司で、俺の手の中にいればいい、そう信じていたんだ」
「……」
「今はそれが間違いだった事も、わかっている。俺はおまえを子供にしておきたかった。それ自体が間違いだった事も。だが」
土方は総司をまっすぐ見つめた。黒い瞳が、男の情念を感じさせる。
「これだけは信じてくれ。俺は、おまえを愛していた。心の底から、おまえだけを愛していたんだ」
そう云った土方に、しばらくの間、総司は何も云わなかった。ただ黙ったまま、土方を見つめている。
やがて、小さな声が訊ねた。
「愛して……いた?」
「……あぁ」
「それは、昔の話? 今は……違う、のですか」
「総司?」
訝しげに眉を顰める土方の前で、総司は長い睫毛を伏せた。
「ごめんなさい。我儘な事を云っていると、わかっているのです。自惚れていると。愛されていただけでも、幸せなのに……私は今のあなたまでも、求めてしまう。あれだけ拒んで逃げた私に、そんな資格があるはずもないのに……」
「総司」
土方は思わず手をのばした。はっと息を呑む総司に構わず、その腕を掴んで引き寄せると、己の胸もとにきつく抱きしめる。
「愛している……っ」
「……土方さ……」
「今も、おまえだけを愛している。総司」
「……ぁ」
総司の目に、大粒の涙があふれた。真珠のように綺麗な涙が、ぽろぽろと零れ落ちてゆく。男の腕に抱かれたまま、総司は声をあげぬまま啜り泣いた。
その事からも、土方は、総司が大人になった事を知った。
そして、今の自分が、それを受け入れられるだけの男になったことも。
「愛しているよ……総司。俺はおまえだけを愛している」
「私、も。土方さん、私も……あなたを愛しています」
二人は愛の言葉を囁きあい、互いを抱きしめあった。
長い間、引き離されていた恋人たちのように。
もう二度と離さない、離れないと。
心から誓いあうように。
―――柔らかな春の空の下、風が二人の髪を揺らしてゆく。
地にあった白い花びらが、ふわりと風に舞い上がった。
そして。
白い花びらは天高くのぼると、あの幸せな日のように、ひらひらと青空に舞い散っていったのだった。
ラストまでお読み下さり、ありがとうございました。「甘い罠」、今度こそ本当に完結です。
このお話はサイトを始めてすぐの頃、upした短編が切っ掛けでした。それから、こうして京都編まで書くことが出来たのは、勧めて下さったみつきさま、そして、読んで下さった皆様のおかげです。本当にありがとうございます。
ある意味、このお話は、土方さんと総司の成長物語でした。色々な事を経て、ようやく二人は本当の恋人同士になる事ができたのです。
ラストまでおつきあい下さり、ありがとうございました♪