りぅりぅ王子、北海道上陸!!
7月21日
前夜、大稀王子のママから深夜の電話。洗面所の天井から水が漏れているというので見たら、シャワードレッサーから水が滴っていた。応急処置をしてとりあえず眠る。当然朝は最高に眠かった。
着替えさせている時に王子が目覚める。あまり寝てない割には寝起きは良かった。オヤの浮き足立った様子に感化されて王子もハイテンション。王様の運転する自動車で伊丹空港へ。興奮し大きな声を出す王子だったが、広いし人が多いので響かなかった。そうこうしているうちに搭乗時間になり、飛行機へ。綺麗な緑色の飛行機だった。中は2列+3列。3列の通路側に座る。王子は眠たがっておちちを欲しがる。上昇中にあげるつもりだったのであやして引っ張ったが、王子が眠たがるのでおちちを飲ませる。王子が眠りに落ちて間もなく飛行機は飛び立った。夢の中、機上の人となる。お茶のサービスで落ち着く間もなく、自前のおにぎりで腹ごしらえをする。朝昼兼用。私は機内食が大好きなので、なくなってしまってとても悲しい。新幹線のようにワゴンで販売して欲しいと思うが、結局高くて買わないんだろうと思う。そうこうしているうちに王子が目覚めるが、短いお昼寝にしてはゴキゲンだった。キレイなキャビンアテンダントさんから「ゴキゲンですね」と声を掛けられお愛想を振りまく王子。面食い疑惑発覚。あっという間に飛行機は着陸態勢へ。眼下に広がる北海道の土地は思ったよりも田舎だった。三角の屋根の家々と畑。3年ぶり2回目の北海道だ。電車に乗って札幌入りする。前日に北海道入りしているおばあちゃんから気候の情報を得ていたのに反して、北海道も暑かった。でもそれは日なたの話で、影に行くと風は涼しい。夜になると本当に気持ちのいい気候になった。窓を閉めて眠らないと風邪をひくというのにも頷ける。おばあちゃん達の部屋で少し休憩すると、支度の時間になる。ホテルに帰って着替えて出直して、親族控え室へ。伯母さん達に会って、王子は人見知りを炸裂させた。みんなニコニコと王子の様子を見守ってくださる。オレンジを食べさせてもらって、王子ゴキゲンになる。式を始めるというのでオレンジを取り上げて連れて行く。王子はぎゃんぎゃん泣いてオレンジを求めたが、持ってはいけないので泣かせておく。すぐ泣き止んで、王様に抱っこしてもらう。式が始まって、賛美歌を斉唱する。王子はちゅっちゅをすったまま王様の腕の中で眠った。式が終わっても尚眠りつづける。写真撮影の間も眠り、披露宴が始まってもまだ寝ていた。来賓の挨拶やなんかが終わり、新婦の友人の余興が行われる時に、そのパラパラの曲でやっと起きた。2時間は優に寝ていただろう。お寿司のご飯とデザートを少し食べただけだった。新郎新婦の前でも人見知り発動。やれやれ。
7月22日
チェックアウトは10時と、少し早いので、慌しく支度して出掛ける。本当は羊が丘展望台に行って遊びたかったのだが、羊を触れないという情報を得て計画は変更になった。変わりに中島公園に行って水遊びすることにする。が、その日はあいにくの曇り空。湿度が少なく、過ごしやすい気候だった。迷いながらもとりあえずロフトに行って、贈り物を吟味。時計にした。私は人に物を贈る際、気を使うようにしている。必ず実用性を重視して自分の価値を押し付けないことと念頭に選ぶが、今回は王様が気に入ったものにした。かろうじてセーフという具合だったが、使ってもらえているかどうかちょっと心配に思っている。それから歩いて大通り公園へ。目的はとうきび(北海道ではとうもろこしをこう呼ぶらしい)。300円で、祭りの屋台よりはややお安め。物も言わず食べて、満足した。とても美味しかった。その間王子は持参したレジャーシートの上で王様と共に鳩にパンくずをやっているが、どうも鳩が怖いらしい。まあよく考えれば王子は人間以外の動物に慣れ親しんではいない。犬や小鳥の類でさえも間近に見ることはおろか触れたこともないのだ。散歩途中に犬を見ても無反応なのは仕方がない。王様のシャツを目一杯握り締めて鳩を観察していた。そこから地下鉄に乗って中島公園駅へ。駅から数分歩いた所に「キリンビール園」というものがあり、立ち寄る。てっきりビール工場だと思い込んでいた我々は、その期待を裏切られることになる。そこはビアホールだったのだ。工場見学マニアの王様はいたくがっかりしていた(あとで何度も悔やんでいた)。それでもとりあえず、生ラム食べ放題(2000円→1000円のサマーセール中)に舌鼓。ジンギスカンのなだらかな山形の鉄板に羊肉と野菜を乗せて食べる。強い火力でさっと焼いて食べると柔らかくて美味しい。歯ざわりはとりに近く(個人的には人肉のようなカンジもした。人体標本の筋肉のような見た目だったからだ)、気にならない程度の臭みがある。でもそれがクセになる。山羊を焼いても似た料理になるのではなかろうか。とにかく筋金入りのオキナワ派を貫いてきた私が今更北海道になびくのも道理が行かないが、無防備だった分、ガツンとやられた。要するに見直さざるを得なかったのである。しかしそれは一時的なことで、沖縄に行っていれば夏ばてしなかったし、そうしたら北海道の涼しさを恋しく思うこともなかった、という訳であろう。言い訳がましいが、兎も角そんな心持であった。冬はもういやだが夏ならきてもいいかな、と王子も言いたげだった(想像)。それからゆったりとした時間を中島公園の池のほとりで過ごし、早めに札幌に戻る。道すがら不思議に思ったのが、札幌市民は王子によく声を掛けるということだった。確かにベビーカーの数は圧倒的に少ない。一日で十台も見ていない位だ。何度も何度も王子に微笑んでくださる人を見た(特に信号待ちで)。スーツを着たサラリー風の人もにっこりして王子を見る。すれ違い様にも見ているので最初は勘違いかと思ったが、頻繁に起こるのでそうでもないらしいということが判った。王子に優しい街、札幌。大きくなった彼がかつてここを訪れたのを覚えてはいないだろうが、私は気候と反した暖かいココロを留めておこうと思う。関係ないが、手の冷たい人は心が温かいというのを思い出した。私の手は温かいのでよく云う迷信だと思うが(ここでツッコミなし!)。空港でロイスという高級チョコレートの試食をあちこちでしながら、フライトの時間を潰す。日曜日ということで人はごった返している。出発ロビーにも長蛇の列ができていた。立って並んだ経験はないのだが、この行為に何らかメリットがあるのだろうか?子ども連れは優先で乗せてくれるというアナウンスがあったので、それらを尻目にいち早く機上の人となる。JALの飛行機はミッキーの絵が付いていた。ヘッドレストカバーもミッキーのシルエット。子どもへのプレゼントもミッキーの搭乗者限定グッヅと見て、私が選んだ。ミッキーちゃんが大好きな大稀王子のママへのお土産にした。かなり強い雨が降っていたが、出発に遅れはなかった。いつもより強く揺れながら分厚い雲をゆっくり抜け、遠く空の果てのオレンジ色の太陽を見る。王子は耳が痛いのか、しきりにおちちを欲しがっている。陽が落ちてから暗くなるのは一瞬だった。気づけば眼下は息を飲むような夜景が広がる。名古屋の街並み。音より早い飛行機はあっという間に大阪に着く。電飾に彩られた景色は紛れもなく私と王子の住む街のものだ。今日も王子はお利口さんだった。泣き喚く子どものせいで曲げられたスケジュールは一つもない。もっと大きくなったら、また、連れて行ってあげよう・・・かな。
2000年7月26日 記