わたしたちアトリエの考える住まいや建築は、場所や使う人、規模や考え方が常に異なり、そのために計画はニュートラルな位置からスタートし、さまざまな試行錯誤を繰り返しながら、1つの家のかたち、建築の形を模索し、出来上がってきています。 したがって最初から強いコンセプトや形があるわけではないのですが、計画を進めるにあたっての、アプローチの仕方や大事にしたいと思うことがあります。それは常に完全で、すべてではないのですが、住まいや建築を考える上でのベースになっているのだと思います。
音楽が人の心にやすらぎや勇気や、さまざまなことを与えてくれるように、建築空間は豊かさ、やすらぎや、さまざまなことを心にもたらし刺激してくれると考えます。 とりわけ住まいは人間にとって、もっとも大切な基本的な場所、戻る場所、よりどころとなる場所です。その住まいが心を開放し、心に力をあたえ、心を豊かになるように刺激をあたえられるような、心に響くような場所となるように常に考えて行きたいと思っています。
住まい造りはハードを造ることですが、そこに生活する人の生き方、あり方、楽しみ方といったソフトを受け入れる器を造ることだと思います。 昨今、さまざまな商業的な情報の為、住まいの性能やそれと関係した材料ばかりが目立って、いつの間にか住まいを考える=性能や材料を考えることが第一優先になって、それだけでおなかいっぱいなっている人が多いように思います。極端な言い方をすれば、部屋数や広さという物差しだけで出来た簡単な間取りで、家族構成や生活パターンを当てはめて納得させられているように思います。 わたしたちがまず第一に大切にしたいのは、どう楽しく住まうかを考えることです。その上でその住まいや住まい手を支えるために技術を考えたいと思っています。