1.マスターとパダワン
新しい季節が始まって、晴れて、パダワン見習いを卒業したベア・クランたちを新任のマスターたちが迎え入れて、新しい師弟関係が築かれる。
その中に、オビ=ワン・ケノービとアナキン・スカイウォーカーのコンビも入っていた。
アナキンが正式にパダワン見習いを卒業したのだ。目の前にいる師匠の忘れ形見の成長の早さにオビ=ワンはこれほどとは、と感嘆しながら
アナキンを温かく迎え、
「では、行こうか、アナキン。」
「はい、マスター」
歩き出そうとした。
「やー、オビーじゃないか、ここで何をしているんだい?」
聞き覚えたやや声のトーンの割には無礼さが伺える声の主を振り返った。
「お前こそ、何をしているんだ ?」
オビ=ワンの足元で同じく振り返ったアナキンが声の主を見て顔をほころばせた。声の主がテンプルで数少ない彼の知人だからだ。
「ナイト・!こんにちは!」
「おや、アニーじゃないか。久しぶりだな。何でオビーと一緒にいるんだ?
…あ、そうか、アニーおめでとう!オビ=ワンのパダワンになれたんだな?早かったじゃないか!さすがアニーだ!」
きっとクワイ=ガンも喜んでるぞ、とがアナキンを抱き上げて振り回し始めた。さすがにもう何回も同じことをされているらしい、
アナキンは、笑っているだけで以前のように悲鳴は上げていなかった。
「それで、。私がここにいる訳は分かったろうが、お前は何をしている?それに、そんな格好で。」
オビ=ワンが最近は亡き自分のマスターの言いつけで本来の性別の姿を取り戻していた同僚がまた男のような姿で、しかも今度は
マスターのローブを纏った姿で現れたことを指摘した。
「あー、俺?オビーと一緒。昨日付けでマスターになっちゃってさ・・パダワンを迎えに来てたの。んで、修行に付き合うならやっぱり
こっち(男)の方がいろいろと動きやすくてね、しばらくはまたこっちだ。
そうだ、紹介するよ、俺のパダワン。イノリ・ジン。」
「どうも、はじめまして、イノリ・ジンです。どうぞよろしく‥マスター・ケノービ。スカイウォーカー君。」
のローブの後ろから肩までのアナキンより濃い砂色の髪をしたパダワンが顔をのぞかせた、可愛らしい顔をしている。
その容姿と名前にオビ=ワンが息を飲むのがにはうかがえた。アナキンはそんなマスターの様子には気づいていない、
そんなことより、目の前の自分の同期の顔に釘付けだ。
「よろしく、イノリって呼んでいい?僕はアナキン・スカイウォーカー。アナキンでいいよ」
「‥ウン!」
恥ずかしがりなのか、少しおずおずとイノリがのローブから離れてアナキンの手を握った。
「よかったな、イノリ。また友達ができて。そうだ、アニーと二人でベア・クランの先生に『ちゃんとマスターと会うことができました、
今までお世話になりました』って言っておいで、俺はマスター・オビ=ワンと少し話があるから。」
「ハイ、マスター。」
がしゃがんでイノリに目線を合わせてそういうと、花が綻ぶようにイノリが笑った。
「よし、いい子だ。じゃあ アニー、君はイノリよりもお兄さんだから、イノリと一緒に行って来てくれ、イノリを頼んだぞ?」
「イエス、マスター・。 行こう、イノリ。」
アナキンとイノリが線の泉の間を仲良く手をつないで歩いて行くのを見送って立ち上がったにオビ=ワンは鋭い視線を投げかけた。
「イノリ・ジン、彼女は何者だ?」
「何者って言われたって‥オビーは知らなかったか、イノリはクワイ=ガンの忘れ形見さ。っていっても本当に血のつながった親子じゃない。
クワイ=ガンの元祖『拾い物』さ。」
「・・・『拾い物』・・・」
明らかにオビ=ワンの中で亡きマスターのいやな習性?が蘇ってくる。
「俺がここに来て間もないころ、だったかな。クワイ=ガンが自分の故郷の星で拾ってきてさ、才能はあるが身寄りがないってんで、
俺が名前を、クワイ=ガンが姓をやったんだ。だから俺とクワイ=ガンの息子ってとこだ。」
「息子?」
オビ=ワンが訝しがって聞き返す、イノリはかわいく二つ括りにしていなかったか?
「そう、息子。あんまり可愛いから飾ってみた。」
にしししし、とがいつものように笑う。
「てことで、あとマスター・ヨーダからの伝言。『グループ訓練はうちの馬鹿弟子と一緒。』だそうで。いろいろとよろしくぅ!」
一瞬側頭部をガモーリアンに殴られたような気がしたオビ=ワンのところに可愛い可愛い弟子たち、アナキンとイノリとが走ってやってくるのが伺えた。
オビ=ワンの心労の日々が始まる。
拙話
副題:オビ=ワンをいじめよう(笑)
コンビ結成
パダワンのイノリ・ジンはヒロインの旧名(ルパン設定参照)からいただきました。
悪魔でこのシリーズのメインは、マスターだろうとナイトだろうと性格最悪(酷)なヒロインですから。