ああ、どうしてうちのマスターはこう
喧しいものに好かれるんだろうか・・・。
「Distortion」
act.B-2
「やぁやぁ、また会っちゃったね、ご両人。ところでそのなんかちょっと素敵な生物は何かな?」
私とマスターと、マスターが助けたことで付いてきたがっているジャー・ジャー・ビンクスなるグンガンとでオータ・グンガを目指そうと
決めた矢先にいつもより心なしかは高く聞こえなくもなかった聞き慣れた声がして、茂みの中から人影が現れた。
私が正しいのなら、それはいつも見慣れている新任のジェダイ・ナイトだと思ったのだが・・いや、それを包んでいるどこかふざけた
フォースはまさしく彼のはずなのに・・・。
「・・・か。シードに直接降りるんじゃなかったのか?」
「いや、そのつもりだったんだけれど船がなかったから仕方なくクワイ=ガン達をおっかけたんだけれど・・。
何でオビーは固まってるの?」
そう行って首を傾けたナイト・が私を見た。ついさっきまで自分が女であることを隠していた(というか男としか思えない)彼 否彼女は
その長い銀髪を高い位置でひとつに括り、よく見れば今までは抑えていたのだろうか胸のふくらみといい雰囲気といい、どこか丸みをおびて
華があるように思えた。
「オビ=ワンはお前が女に戻ったところを見たことがないから、驚いているんだろう。」
「ふーん、オビーってば初だもんなぁ〜、惚れんなよ?」
そういってこっちを見た彼女は紛れもなくだ・・私が誰がになんか、と言い返す前にマスターにジャージャーのことを
誰?と訪ねていた。
「この星の住人 グンガンのジャー・ジャー・ビンクス。さっき助けた。」
「ふーん、よろしくな、私は・。」
「ハイドゥー よろしくね、。ミーはジャー・ジャー・ビンクスね。これからユーたちをグンガンシティに案内するよ。」
とジャー・ジャーが握手を交わす、そのころなってようやく私は、が女だったショックから立ち直った。
世の中にはこういうとんでもない人間(銀河系外生命物体)もいる、ということを肝に銘じるためのいい見本として。
「納得いかない。」
「仕方ないよ、。」
「だって水の中の都市だなんて・・・銃の手入れが大変じゃないか。」
「普通のジェダイはそんなもの持って任務にこないよ。」
グンガンのボスいわく、最も早くシードにたどり着く乗り物、星の核を通り抜けるボンゴの助手席、私の隣では不貞腐れていた。
後ろの席ではマスターがどうやら笑をこらえているらしい。ジャー・ジャーは自分でこの案内を買って出ておきながら後悔の真っ最中らしい。
そんな私たちを乗せたボンゴは私の操作で確実にシードを目指して水の中を進んでいく。
隣にちらり、と目をやると背の高さは私と変わらないが座高は彼女のほうが低いらしくより上の目線にまだ濡れたままの彼女の様子が覗えた。
髪は色濃く濡れてボリュームが少なくなり彼女の細い首を隠し、最近聖堂でも着るようになっていた彼女のゆったりとしたローブは服ごと
彼女の体にぴったりと引っ付いて透けてはいないものの彼女の女であるということを改めて思い知らせる丸く滑らかな体のラインを強調していた。
少し目線をあげて見えるのは、よく見れば長く色素の薄いまつげに決め細やかな肌 そして桃色の柔らかそうな唇・・・・そして胸元。
「オビー、やらしい目でこっち見んな。そんな目で見ても私がお前にあげるのは鉛弾だけだぞ?」
「えっ!」
「パダワンよ、そいつは若く見えてももう40過ぎだ、悪いことは言わないからやめておけ。」
「え゛っ!」
「オビー、若さに任せて 襲うのだめね!」
「違いますってば!!」
「てか、クワイ=ガン、どさくさにまぎれて何言ってるんだ!まだ20のままでいいんだよ!こっち来てからの20標準年、
まったく年取ってないんだから!」
「まぁ、確かに黙っていればオビ=ワンと似合いだな。」
「そんなっ、マスターまで!私はそういうつもりじゃなくってただ、が寒くないかな、と思っただけです!」
私があわてて否定すると、「本当にぃ?」とが疑わしそうに私を覗き込んだ。
ちょっとドッキン
あわてて自身の中の理性を総動員して顔に上って行く熱をとめようとする。その後ろ姿を見て笑いをこらえながらマスターが口を開いた。
「パダワンよ・・・フォースが乱れているぞ。まだまだ修行が足りん・・・・なんだ!?」
「見てっ!オビー、クワイ=ガン!おっきな魚がーー!」
「キャー食われちゃうヨ!!!」
マスターの言葉をさえぎる振動の後に続く少し・・いや かなり耳障りなほど頭に高く響くジャー・ジャーとの悲鳴や意味不明に
口走る後悔の言葉がボンゴの中に響き、私は少し顔をしかませながらハンドルを切って何とか抜け出そうとした。もがいているうちに
ボンゴを咥えている魚をさらに大きな魚が襲い、私たちは自由の身となる。
「ふー‥死ぬかと思った。」
「‥上には上がいるということだ。」
「ミー、もう帰りたい!引き返してぇ〜。」
「マスター、エンジンが止まります。」
三者三様に一息ついていたボンゴ内にまたジャー・ジャーの悲鳴が響き、がやっぱり食われたときにどこか壊れたかぁ、
と操縦席のパネルの下を隣から覗き込んできた。
「直せると思うか?」
「フッ俺様に任せなさ〜い。」
ジャー・ジャーがまたずいぶんなことを口にしだしたのをBGMにが私と場所を入れ替わって運転席の下のケーブルをいじり始めた。
なぜか彼女はこういった作業が得意らしく、よくテンプルでジェダイたちの修理工を食事一回と引き換えに修理していた。(私も、マスターも
たまにお世話になった。)本人曰く、向こうでは砂漠で化石みたいに年代物のバイクに乗って旅をすることだったあったので死にたくなければ
修理をするしかなかったらしく嫌でも腕が上がったらしい。
が頭をもぐらせているパネルの下から「毎日 毎日 僕らは鉄板の〜」との星の歌(昔大流行したらしい)が聞こえてきて、
この私にとっては少し得体の知れない乗り物はさして苦労もせずに再び動いてくれそうで安心した。彼女は必ず何とかなる修理のとき以外に
歌を口ずさむことがないのは今まで見てきてよく知っていた。ふうっと、詰めていた息をはくのとほぼ同時に
「おじさん つばを飲み込んで 僕をうまそうに食べたのさ〜 と修理完了。」と歌ってが顔を上げてボンゴの操縦桿を握った。
どうやら、運転席からどく気はないらしい。
フロントのライトが付いて前方にすばらしく大きな牙のある厳つい口が待ち構えているのを見て、がこっちを見て少し済まなそうに笑った。
「オビーの嫌いなアクロバット運転させていただきます」
声がとても楽しそうだった・・。
その後しばらく私は生きた心地がしなかった。
は私が横で顔を引きつらせているにかまわずに狭い穴の中を何度もぶつかるすれすれまでに寄せて猛スピードでボンゴをまるで踊っているかのように操った。
しかも後ろからは、それやれ!とマスターの野次が飛び私より三半規管が弱いらしいジャー・ジャーの悲鳴が壁に近づくたびにあがる。
そんなやかましいボンゴをはさらにお構いなしな操縦でぐるぐるとスピンを駆けて後ろの魚を引き離し、大きな声で笑い出した。
「はははっこの様に食おうなんて100万光年早いんだよ!」
マスターとが後ろを向いて操縦間が離れた手が下品なサインを繰り出した・・・どんなに綺麗でもはだ・・・
あの時ときめいた自分が少し悲しかった。そんなことを思い 前を見て私は叫んでしまった。
「ッ前 前!」
「イヤー、ヤベェッ!」
「死んじゃうよー!」
「まだフォースにはなりたくないっ!」
そんなの気合の入った声と共にボンゴが大きく運転席側に傾いて目の前の大魚の口に私たちを追いかけていた魚を突っ込ませて
マスターの指差した地上への出口(だと思いたい)トンネルへと飛び込んだ。
「・・・いくら運転がうまくても、前を見て運転してくれ。」
「うん、私も今後悔しているところ。生きててよかった。」
「ミー、生きてるのが信じられないよ・・。」
何とか無事にナブーの首都 シードの宮殿近くの滝の上へと船をたどり着かせて船の上で私たちは生きていることのすばらしさをかみ締めた。
こんな経験ができるのもすべで隣に座るとんでも宇宙人のおかげ・・彼女が男であると思っていたまんまだったたらきっと殴っていただろう。
「さぁ、女王陛下のところへ。きっともう通称連合の手が伸びているだろうからな。」
「イエス、マスター」
「「あいあいさー」」
マスターを先頭にシードの町を進行しているドロイド軍にばれないように走り抜ける。後ろのジャー・ジャーはオドオドと臆病な足つきで、
ほぼと私の隣に近いはマスターよりもうまく気配と足音を消していて目の前の姿が幻ではないかと思えるほどだ。(マスター曰く
本当に気配を消したりすることがよりうまいやつはテンプルにはいないらしい。職業柄だ、とは笑っていたが)が手に持った
鈍色の銃だけが向こうで就いていたと言う、の職業を連想させた。
何度目か、回廊を曲がったところで外をのぞいたがフォースをつかったようだ、
《クワイ=ガン、あそこ 女王だ、どうやら連行されている最中らしいね。》
フォースによっての思考が私とマスターに伝わる。
《どうする?》
《回り込んで 奇襲するのはどうでしょうか》
《いい案だな、パダワンよ。それでいこう。》
《OK、クワイ=ガンとオビーで先行って、私は上から遠くのやつを牽制するから。》
短いフォースでの会話の後、が私に道を譲ってジャー・ジャーの手をとると、耳打ちしてジャー・ジャーに作戦を伝える。
マスター、私、ジャー・ジャー、の順にちょうど女王一行が下を通る回廊の上へとたどり着き、マスターと私が手すりを乗り越えて
不意打ちの準備をする。
ちらり、と後ろを向くとががんばってね、とフォースではなく、口パクと仕草で送ってきた。それに微笑み返して
私はマスターに続いて飛び降りた。
マスターと私のライトセーバーの光刃がバトルドロイドを次々と倒していき、その後ろにベシャという情けない音の後にジャー・ジャーが
牛みたいな声を上げて起き上がった気配がした。は?と顔を上げると あの古い銃を構えて手すりに足を乗せたままこの騒ぎに
気づいて近づいてこようとするドロイドの正体を片っ端から打ち抜いていた。
彼女が銃の効く相手に向かってまともに銃を使うところは初めて見たが、なるほどマスターが褒めるだけのことはあり可愛そうなバトルドロイドたちは
首から上が吹き飛んだり、物によっては胴体のど真ん中から上を吹き飛ばされたりしていた。
あの旧式銃・・ブラスターとはまた違った破壊力があるらしい・・人に使ったらきっとおびただしい血が出るのだろうな。
そ れ を 彼 女 は 普 通 に 使 っ て 生 き て き た ?
それを使わなければ生きていけないような暮らしをしていたのだろうか・・に故郷のことを聞けばいつも彼女のフォースは平静の
落ち着きをなくして乱れるのは何か関係があるのだろうか。
そんなことを考えている間にがマスターの横に体重を感じさせない動きで着地して彼女が元々護衛を仰せつかっている相手、
アミダラ女王の前で頭を下げた。
私は のことをよく知らない
私には 彼女がどこか遠いところを見ているような気がした
拙話
ジェダイがF●CK!していいんだろうか・・。