待ってよ おじさん 待ってよ・・・





「砂時計の記憶」
08 気づいちゃいました





「じゃあ、アルス。今日はワシと一緒にルパンを待つか。」

ちょっとした用事とかで・・・私はとっつぁんちゃんの所の預けられた。











「頼むよとっつぁん、ちょっと預かってくんね?」
『アルスをか?』
「そう、の奴の居所が判ったんだか、連れ戻すのにどうやら一騒動ありそうでよぉ、俺ら総出でやることになったんだわ。」

昨日の夜中、おじさんは自分の天敵とも言えるとっつぁんちゃんに電話をした。電話の前に次元ちゃんたちと電話ではとっつぁんちゃんと
大分揉めていたみたいだけれど、最終的に今私をとっつぁんちゃんが預かっているのを考えるとおじさんはとっつぁんちゃんを
丸め込めたらしい。











私は何も知らない振りをして大阪からおじさんの車に乗って東京のとっつぁんちゃんの家に預けられて、
今はおとなしくとっつぁんちゃんとサービスエリアでお子様ランチを食べている。














本当はおじさんに付いて行きたいってわがままを言ったらとっつぁんちゃんにも叔父さんにも怒られちゃう・・・











目の前のおじさんのライバルは私が落ち込まないように、とおじさんが何を言ったのかは知らないけれど、慣れない手つきで色々と
気遣ってくれる。

、どこか行きたい所はあるか?」
「うーんとね、ディズニーランド!」

いつの間にか覚えた、本音を隠す物言いでそう言うと、とっつぁんちゃんはそうか、と笑って車へ戻ろう、と私を促す。
私っていつの間にこうやって物事を考えるようになったんだろう・・。










私は 私を知らない。










「しっかりとシートベルトをしたか?」
「うん、したよー。」
はいい子だな、ワシの娘なんか二人揃って中々シートベルトをしめんかった。」

そういってとっつぁんちゃんは今晩帰ったら会わせてやるからな、と笑ってギアバーを握った。

「娘さんが二人なの?」
「そうだ、妹の方が姉貴っ子でな、には姉がいるんだろ?」

どんな人だ?ととっつぁんちゃんが聞くけど









私は     思いだせない。

              一緒にいたはずなのに。














「・・・すっごく好きなの。お姉ちゃん。」
「そうか、仲良しなんだな。」

何の疑いもなく、とっつぁんちゃんは私の嘘を信じてくれた。



私は  何も   覚えていない


嘘をつく罪悪感よりも 頭の中には おじさんの言葉

















「日本アルプスに がいる。」

















聞いてない振りしてたけど。聞いていた。

「とっつぁんちゃん、私眠いから後ろでお昼寝していーい?」
「ああ、ゆっくり休めばいい。」
「はぁい。」

後部座席に移って、自分のリュックを漁る。













ゴメンね、とっつぁんちゃん。













心の中で謝りながら不二子お姉さんの部屋から失敬したスプレーをとりだした。











渋滞で車が止まったのを確認してから私は寝た振りを止めてとっつぁんちゃんの顔を覗きに行く。

「とっつぁんちゃん。」
「何だ?トイレか?」

覚悟を決めて右手に持ったスプレー缶をとっつぁんちゃんの顔の前に持って行く。不二子お姉さんお気に入りの催眠スプレー。




















「ごめんなさい。」



















私は パパやママが 大好きだから。














































私が パパやママを助ける。















必死の思い出ハンドルを握った。



































拙話
警部の雰囲気って出しにくいです。こういった場合余計です。
3歳児がこんなに頭の中でごちゃごちゃ考えてたりすることもないですが・・・。
必死だ、と言うことでご容赦下さい。

あーっもうぐちゃぐちゃだ。