普段の私なら 鼻にもかけない子供なのに・・・




「砂時計の記憶」
03 気に入っちゃいました



「次元ちゃ〜ん、たこ焼お代わり欲しー」
「ほら、もうねぇから俺の 食ってな。」
「あ〜い」

食卓を囲んで次元と、五右エ門は黙々と「たこ焼」をおかずに夕食を進め、少し和やかな雰囲気を醸し出していた。
特に次元がの世話を甲斐甲斐しく焼いてもう まるで親子のようになっていた。出会って数時間だというのに
この双方の懐きの良さは共に食卓に座る五右エ門の頬も思わず緩みそうなものだった。

それに比べて・・と五右エ門が部屋の隅を見れば結局「たこ焼」が食卓にある限りはそこに顔も出したくないというルパンがすっかり拗ねて
カップラーメンをすすっていた。その哀愁漂う背中はどう見ても希代の大怪盗とはかけ離れていた。

「ごちそ〜さまでした!」
「お粗末さん。」
「・・馳走になった。」

「お〜、食べ終わったってことはタコはもういねぇな?」

そういって食べ終わった食卓の方へとルパンがやってきて抱っこをせがむを胡坐を掻いた膝の上に乗せた。

「おじさんなんで一緒に食べなかったの〜?」
「ん〜、おじさんはたこが大っ嫌いなのよ。」
「駄目だよ〜、好き嫌いしてると警察に捕まるってママ言ってたもん。」
「あらら〜じゃあおじさん捕まっちゃうかもな〜」

ハハハ、と笑いながらルパンが膝の上で遊ぶを支える。事件が食卓の上を片付けている間にルパンが五右エ門にいつ頃着いた?
と尋ねた。

「お主らのつく2時間ほど前だ。ここを少し片しておこうと思ってな。」
「あらら、五右エ門ちゃん、片付けまでしてくれたの?」
「ウム、どうせ何れせねばならぬのならと思ってな。」
「悪いな五右エ門、待たせておいて掃除まで。」

そう言って片付けの終わった次元が清酒の入った一升瓶と猪口を持って3人が寛ぐ八畳間までやってくる。
次元が座るとすぐに小さなはルパンの膝から次元の膝の上へと移る事をせがみだし、ルパンが少し憮然となる。

「して、今度の獲物は?」
「心斎橋の堅物商事って新しく出来たビルでな、何でも300カラットあるピジョンブラッドを公開するらしいんだ。
 ちょっくら行って来て貰っちまおうかな〜と思ってさ。」
「何でも数年前に掘り出されたばかりの代物でな、ついこの間まで行方知れずになってたっていう曰く付さ。」
「おじさん達お仕事のお話するの〜?」

邪魔になるからお風呂入るね〜、と小さいながらも気を効かせたが次元の膝から離れて風呂場の方へと消えていった。

「小さいのにしっかりしてるよな〜、チャン。さすがんとこの娘だ。」
「そういえば仕事の時はどうするんだ?まさか連れて行くわけにも行くまい。」
「だが、かのように幼き子を一人でここに置いて行くわけにもいくまい。」
「そうなんだよな〜、次元、五右エ門。お前らどっちかが残って面倒見てくれてもいいんだけどよ、それだと仕事がし難くなるしな〜。」

うーん、と頭を捻りだしたルパンを見てこれはしばらく掛かるぞ、といった顔で次元が猪口の酒をぐいと飲み干した。

「あら、どうしたの?新しい盗みの計画なら、私を入れてくれなきゃ駄目よ?」

「・・・・不二子。」
「なんでお前はそう俺達の行く先々に現れるんだ。」

突然現れた(勿論ちゃんと上の入口から入ってきたのであろう)不二子に次元があからさまに嫌な顔をして見せた。

「アーラ、不二子ちゃんいい所に!俺様ちょっと困ってて不二子ちゃんの力を借りれたらなぁ〜と思って。」
「私の?珍しいじゃない、ルパンが私に頼るなんて、そんなに難しいもの盗もうとしてるの?」
「まぁ、そういうんじゃなくって不〜二子ちゃんでないと駄目って感じなわけで・・。」
「おい待て、ルパン!まさか不二子にお守りさせる気なんじゃねぇだろうな!」
「お守り?」

次元が断固反対だ、と言いたげにルパンとルパンの傍に早速座っている不二子に向かって怒鳴った。既に五右エ門は、我関せずの体制で
知らん振りを決め込んでいる。

「お守りって何のこと?」
「お前には関係ねぇよ。ルパン、不二子といちゃついてる暇があったら俺なしでやる方法を考えな、俺が残る。」
「だから、お守りとか残るってなんの話なのよ!?全然話が読めないわ!」

不二子が喧嘩腰にもうこの話に一枚噛むのは当然といった態度で次元に怒鳴り返した。それに対して次元は何でもねぇって言ってるだろ?
と絶対話そうとせずにルパンまでもがいつものようにまた 話の外へと放り出される。いつものことなので呆れたルパンがどちらかが
疲れるまで待つか、と言った感じに手酌で清酒を呑み始めた。

「次元ちゃ〜ん、お風呂気持ちよかったよ〜」

そんなトーンの高い声がうるさい部屋の中で次元に届き、次元が喧嘩を止めて風呂場からタオルを抱えて出てきた声の主を抱き上げた。

「駄目だろ、ちゃんと髪拭いてから出てこいよ。」
「だって拭けないし眠いの〜」
「しゃあねぇな・・ほら拭いてやるから座ろうな。」

そう言って不二子との喧嘩を忘れてかいがいしく、小さな声の主の世話を始める。その様子を見て不二子はルパンにあの子誰?と尋ねた。

「帝国のダチの子供でってんだけど、訳アリで預かってんだ。」
「さっきから揉めているのも、を仕事中にどうするかという事だ。」
「五右エ門も次元もいねぇとあのビルへの侵入が極めて困難でな、かといって連れて行くわけにもいかねぇ・・・それでどうしようかって
 相談していたところなんだ。」

そう言ってるパンと五右エ門が次元の膝の上で大人しく 母親譲りの銀髪を拭かれているへと視線が注がれて不二子もその小さな
視線を向けた。
湯上りで上気した肌は銀髪と幼い顔立ちをより一層愛らしく魅せていた。

「ねぇ、ルパン?要は誰かがちゃんと一緒に留守番していたら良いのよね?」
「・・・?」
「私が面倒見るわ!」
「は?」

世話をする次元を含む男3人の視線だけ出なく、話の的のの視線までもが不二子へと注がれる。

「だから、私がちゃんとここで留守番しててあげるって言ってるのよ。」
「不二子が?お前、一体何を企んでるんだ?」

まるで不二子が小さい子に興味を示すはずがない、といいたげに次元が疑わしげな目での頭を拭く手を休めずに言った。

「失礼ね。ちゃん 可愛いし、こんなに大人しくて出来た子なら預かってあげてもいいカナって思ったのよ。」

私が子供を嫌うのは暴れて汚れるからだもの。と不二子が次元の前に座ってに人差し指を差し出した。

「始めましてちゃん、私は峰 不二子よ。私と一緒にルパンたちがいない間 お留守番できるかしら?」
「初めまして、不二子・・お姉さんでいいですか? って言います。、お留守番頑張れるよ。」
「あら〜、本当にいい子。ね、ルパンも次元もちゃんがこういってるんだしいいでしょ?もちろん五右エ門も、文句ないでしょ?」

まるで勝ち誇ったかのように不二子が言ってを自分の膝の上に抱えあげた。その膝の上で

、ちゃんとおじさん達待ってられるよ〜」

と、いってらっしゃい というように手を振っていた。



もう、ルパン達が折れる以外に道はないようだ。



















拙話

不二子ちゃん登場でやっとルパン一家勢ぞろい。
何かのオフィシャル本か何かで不二子が子供嫌いとか書いてあったので綺麗で大人しい子供なら
まぁお守りぐらいはするのではないか、と思いつつかきました。
警部も次あたり出てくるのではないでしょうか・・・