人生とは波瀾万丈なものである 特にルパンと関わっていならば・・・・・判っていたはずなのに
「砂時計の記憶」
02 結婚せずに子持ちです
「五右エ門チャーン、悪いんだけれど先に大阪のアジトに行っといてくれない?」
そんなルパンからの電話をうけて、飛騨の山中で修行をしていた五右エ門はまたどうせ仕事だろう、
といつものように先に久方ぶりに使われる大阪市内のアジトへと足を運んだ。
ずいぶんと使っていなかった間にたまった埃をルパン達が来るまで片して、自分好みのこのアジトに置かれた茶の湯で一服をする。
茶の香りと畳の香りが鼻腔に心地よく五右エ門の疲れを癒し始めた頃合に天井より上、つまり地上部分のガレージにフィアットの軽い排気音が響き、
それが止んだあとを足音がアジトまで降りてきて ドアを開けた。
「よー五右エ門ちゃん、お久しぶりー。元気してた〜?」
「ルパン、遅かったではないか。」
「やー悪い悪い、ちょっと買い物に手間取ってな。」
「買い物?」
「そーそ、食いモンとか、服とかな。次元の奴がタコ買うって言いやがってよ・・俺がタコ駄目なの知っててカゴ持たすんだぜー!?」
「お前は子供に食べ物を我慢させる気か〜?自分が食わなけりゃいい話だろ。」
そう言ってルパンに一足遅れて右手でスーパーの袋を、左手で何かを抱えた次元が入ってきて よ、久しぶりだな 五右エ門。と背中越しに挨拶をした。
「そりゃそうだけどよ、でもそう言うんじゃねぇって、俺はタコ見るだけでジンマシンが出てくるってのによ〜!」
「なら隅っこでカップラーメンでも食ってろよ。今日の晩飯はたこ焼で決まってんだからな。」
「とほ〜」
「主等、さっきから言っている子供とはなんなのだ?」
普段なら断固阻止の体制で次元にタコなど買わせないルパンが渋々といった形で折れながらもタコを買ってアジトにまで持ってきたという
珍事件の真相をいまいち掴めずに五右エ門が尋ねると次元がルパンに促されて正面をむいた。
何を抱えているのかと、少し五右エ門が気にしていた腕の上には銀髪の女の子・・・
「帝国来のダチにな、って奴がいてさ、そこの娘なんだ。追われてるってんで預かった。」
「名前を って言うんだ。母親がアイルランド人、父親が日本人のハーフだ。」
「あなたが五右エ門ちゃんですか?おじさんから聞いてます、次元ちゃんとおじさんのお友達ですよね、 です。
どうぞお世話になります。」
・・・・・・
「どういうことだ、説明しろ ルパン。」
今の五右エ門にはそう言うのが精一杯だった。
拙話
五右エ門ちゃん登場。果たしてちょっと不器用な彼はチャンに慣れるのでしょうか・・・。
この作品、ちょっと短め構成です。