オー、愛しのマイ・ダーリン 振り向いてよベイベー。




「呼ばれたい」






「お兄ちゃん、レオンお兄様、手伝ってよ、みんな働いているんだから。」

サルガッソーの最上階、スターウルフの完全なプライベートなリビングでは飛行服にエプロン、三角巾といった
奇妙な姿でソファに座ってくつろぐ、義兄達を怒った。

「なんだよ、まだなんかあったか?」

二人がけのソファに座って向かいの一人がけに座るレオンとチェスに興じていたウルフが面倒臭そうに振り返った。

「まだ?いっぱい残ってるじゃない、ホープバードから持ってきた荷物、お兄ちゃんてば全然片付けて無いでしょ?レオンお兄様も
 パンサーも私もさっさと片付けたって言うのに、自分の部屋くらい片付けてよ、一応ここに住むんだから。」

そりゃあ、ホープバードの方が広くって使い勝手もよかったけれどさ、母艦として復活させるにはこっちに移るしかないじゃない。と
が彼女自身の本音を漏らした。

「下で子分たちも頑張って荷物運んできてくれているのよ?あの艦の内装、そっくり全部改装するんだから。」

と先日、スペースダイナミクス社から帰ってきてからもう何回言ったか解らない計画をが話し始めると、ウルフは
あー、うるせぇ、と言いたげな顔でナイトを前へ進めた。

あの艦で、みんなと遊撃隊やるのが私の夢なんだから・・とうつむいてが言うのを聞いて、パンサーが立ち上がった。

「俺でよかったら、片付け手伝うぜ?、俺もその夢叶えてみたいからな、」

「そうだな・・そろそろ体の方が鈍ってきたし、私がウルフの部屋を片付けよう、とパンサーは
 下へ行って子分たちを指示してやるといい。」

そう言ってウルフの相手をしていたレオンまで立ち上がるとウルフがとうとう根負けして立ち上がった。

「解ったよ、自分でやるからはいってくんなよ、レオン。お前がやったら後がややこしいし物が無くなりそうだ。」

「やったー、じゃあ、お兄ちゃん、ちゃんと片付けてね。」

ありがとうね、レオンお兄様、パンサー、お兄ちゃん動かすの手伝ってもらっちゃって、とが言うと、
レオンがぽんぽんとの頭をなでた。レオンは言葉より行動で愛情を伝えるタイプらしい、兄心があふれる行動だった。

「いや、このぐらいは全くかまわないのだが、は旦那たちの事をお兄さんと呼んでいるようだね、
 なら俺の事はダーリンと呼んでくれないかい?」

その言葉に、はめられた、と少し自分に情けなさを感じていたウルフとの頭を撫で続けていたレオンの動きが止まった。
そしてどす黒い笑顔を浮かべてそれぞれパンサーの肩を叩いた。

「なかなか面白い洒落を言うじゃねぇか、パンサー、ちょっと向こうで洒落について話をしようじゃないか。」

「私がじきじきにとても面白い洒落を教えてやろうじゃないか、何、ちょっと川の向こうが見えるだけさ。」

「えっちょっ、〜!!」

片方ずつウルフとレオンに羽飼締めにされたパンサーが引きずられていくのを手を振って見送ってはこのときばかりは
義兄たちの過保護さに感謝した。
ナンパ男も泣く児も黙るスターウルフのシスコンコンビにはかなわないらしい。



後日、パンサーはボロボロの姿でサルガッソー最下層のごみ処理プラントから発見されたとか。





拙話

ウルフとレオンはシスコンじゃないです、ただちょっと限度を知らないだけ。