ヒーローはお空から



「奇妙なカンケイ」
act.4-a


フォックにとっても、新生スターフォックスにとっても初めての任務はなかなかのものだった。

コーネリアの都市を侵略して来たアンドルフ軍を撃破しつつコーネリア侵略隊の体長格を見つけたフォックスたちは自慢のオールレンジ
モードで撃退にかかっていた。

アンドルフ軍の隊長、アヒルのような容姿のグランガの周りを何度も旋回してレーザーの照射を当ててはいたもののフォックスは
どうしても決定打を与えられずに手こずっていた。

『どうだ?フォックス、やれそうか?』
『シールドは順調に減っているから、その調子だよ、フォックス』
『なんなら代わってやろうか?』
「・・大丈夫だ!」

仲間の声が通信越しに聞こえてきて、自分が少し焦っていることに毒づきながら、フォックスはもう一度グランガに挑むべく
方向転換をするためにフットペダルとスロットルを操って機体を反転させた。

数秒後にはキャノピー越しにいかついグランガの姿が映る。

「次で終わりだ!」

そう意気込んでレーザーのトリガーを引けばレーザーはしっかりとグランガに当たるもののホローポイントではないらしくグランガは
反撃とばかりに無数のミサイルを吐きだしてきた。

『宙返りを使え、フォックス』
「全く、時間が掛かるな・・・」

ペッピーの声にしたがってフォックスが自分を追尾しているミサイルを振り払おうと宙返りをすると、たまたま視界に入った太陽の周りを
何かが飛んでいるのに気がついた。

「斥候か?」
『どうしたの?フォックス?』
「いや、今までレーダーはミサイルの影で一杯だったから気が付かなかったんだけど、上空にもう一機何かがいるみたいでさ、」
『俺が行って調べてこようか?』
「頼む」

フォックスがそう通信機にそう言うか言わないかのうちにファルコ機が上空へと向かって機首を向けて向かおうとした。フォックスは
そこに向かって飛来するミサイルを軽くレーザーでなぎ払う。その時だった。

『初仕事、手こずってるみたいね。こういう奴は直接背中のエネルギーパックを狙うべきよ!』
「なにっ!?」
『誰だ!?」
『その機体、所属コードがないよ!』

聞いた事のない女の声と共に太陽を背にものすごい勢いでその青い色以外見慣れた機体、アーウィンが飛来して一瞬のうちにグランガの背の
エネルギーパックを穴だらけにした。元々フォックスがかなりのダメージを与えていたため、グランガはそのまま倒れて爆散する。
その爆炎を避けるようにフォックスと謎の青いアーウィンはファルコやペッピーたちが待機する高度まで上昇した。
そこにナウスからの帰艦信号が入ったのを見てフォックスは意を決めて通信機で青いアーウィンに着艦を薦めた。

「援護、感謝する。もし良かったら艦に招待するから、貴方の真意を聞かせて欲しい。」

ありったけの威圧と大人っぽさを持たせた声でそうフォックスが呼びかけると青い機体は素直に帰艦して行くスリッピーたちの後に従った。















「おい、いいのかよ、フォックス。正体の知れない奴を艦にあげて。」
「だってこうでもしないと、正体を掴めないじゃないか。」

着艦後いきなり食って掛かってきたファルコにそう言ってフォックスは最後に着艦してもらった青いアーウィンのキャノピーが
開くのを待った。横にいるスリッピーは不安げに、ファルコとペッピーは何かあればすぐに対応できるようにと手がブラスターの
ホルスターの上に置かれていた。

走行しているうちに青い機体のキャノピーは静かに開き、そこから長い髪を二つに括ったインコの女、と呼ぶには若い少女が降りてきた。

「初めまして、スターフォックスの皆さん。私、・レッドへリング・って言います。
 師匠の言いつけで貴方達の援護に来ました。」

そう言ってやわらかい笑みを浮かべたがフォックスに向かって手を差し出した。

「これはどうも・・フォックス・マクラウド、このチームのリーダーです。こっちがペッピー・ヘア、こっちはエンジニアのスリッピー・トード、
 こっちはファルコ・ランバルディ。後はサポートロボットのナウスで全部のチームだ。」

握手をしてからフォックスが周りのチームメイトを紹介した。

「ところで、お前さんは、どこから、誰の差し金で来たと言うんだね?」

最年長のペッピーヘアがだんだんと和みだした場の空気を戻すようにに尋ねた。

「差し金、だなんて嫌な言い方をしないで下さいよ、ペッピーおじさん。お久しぶりです、ガウディのをお忘れですか?」
「ガウディの・・・、そうだ!思いだした!ちゃんだったね、いやぁ懐かしい!」

そう言ってペッピーがの頭を撫でて大きくなったな、でも一体なぜアーウィンなんかに乗ってここに来たんだ?と尋ねた。
その自然なしぐさにファルコが怒鳴るような声で聞いた。

「待てよ、おっさんはそいつを知ってるのか?」
「ああ、知っているとも、6年前にちょっと仕事の関係で知り合った夫婦の娘さ、大丈夫身元は将軍のお墨付きだ。」
「でもさ、なんでそんな女の子がアーウィンに乗っておいら達の援護を?」

スリッピーがことの本題に戻す質問をしたことで、そうたそうだ忘れるところだった、とが懐から二通の手紙を出して
フォックスとペッピーに渡した。

「良くぞ思いださせてくれたよ、蛙君。もう少しで私はここに来た意味を忘れるとこだった。狐君とおじ様に私の師匠、ジェームズ・マクラウド
 からのラブレター、もとい伝言です。」
「ジェームズだと?」
「父さんが生きてるのか!?」
「3年前に死にかけてガウディに流れてきてから今まで私と一緒に生活してたんですよ、ここに帰らなくていいのかって聞いたら
 『まだそのときじゃない。』って。とりあえず私の身の保証と審議はその手紙の中身が十分証明してくれると思いますよ?」

そう言ってがアーウィンの下からサックを取ってきて、ペッピーに おじさん、ここって部屋余ってますよね、
空き部屋を使わせてもらいますねー。と手を振ってさっさとメンバー達よりも早く艦内に消えてしまった。

「なんなんだよ、あいつ。意味わかんねぇ。」
「・・・オイラも、なんかいまいちよくつかめないや。」

さっそう蚊帳の外に放り出されていた二人、ファルコとスリッピーのその呟きだけが格納庫に響き、手紙の内容を必死に読む
ペッピーとフォックスの耳には届かなかった。











拙話
4章アップー
ひー難産だ・・。