一家は民主的ゆえ異端として迫害を受けた。それは本星での話、






「奇妙なカンケイ」
act.1-b



「だから逃げてきたんです、追放された身であの星系にいる事は死を意味していましたから、戦いしかない星系だったんです、
 妻も私も、戦えない身でしたから、たくさんの民主派と共に星系を後にしました。彼らの多くはここから更に別星系を
 目指したようで、ここには我々しか残っていません。」

だから、ペパー将軍に連絡を取ったんです。と氏は言い、実際こちらの星系で我々戦闘民族がどのような
扱いを受けているのか判らなかったので3年迷ったですが、と続けた。

「つまり、さん、あなたがたは自分達が害のない追放民として市民権を欲しているという事ですか?」

長時間に渡った説明の後、ペッピーがそういったのに対し、氏は夫人と娘の顔を見て頷いた。

「少なくとも私と妻は自衛権を除いた戦いを放棄します、でもに関しては何も言えません、彼女の未来を私達の勝手な契約で
 狭めたくないですからね。」

そういった氏にが少し申し訳なさそうな目を向けた。それがジェームズには彼女自分の大切な物を守るために
戦う力を捨てられないでいる事に気がついた。そんな事を考えているとジェームズにペッピーがポソリと耳打ちした。
ペッピーの隣のピグマも同意を示すように頷いていた、そしてため息をはいて、ジェームズは笑った。

「実はペパー将軍にあなた達に戦う意思が無かったらライラットの市民権を与えるようにと、頼まれて来ているんです。」

「じゃあ・・」

「ええ、ようこそライラット系へ、さん、とは言ってもここは管轄内であって星系外ですけどね。」

ちょっとしたジェームズのユーモアに移民船の中の空気は心地のよい物になった。
















ちゃんと言ったかい?何で君はそんなに小さいのに戦おうとするんだい?」

「それは、戦いが嫌いだからだよ、じぇいむずおじさん。」

食後のトレーニングなら、トレーニング室でどうぞ、と婦人に薦められホープバードに泊まる事となったジェームズは
トレーニングルームで大の大人と変わらない重量を持ち上げていたに尋ねた。

「どうして嫌いなのに戦っているんだい?」

よかったら教えてくれよ、と休憩に入ったにジェームズは言った。別にいいよ、とが話し出した。

「私ね、ここに住み始めた当初はもう戦わなくていい、ここは平和なんだってとても嬉しかったんだけどね、ここにだって
 戦いはあったし、あ、もちろん平和って言える範疇だけれど。向こうで大学レベルの知識を教え込まれている私は
 ここの現地の学校にはいけない、友達はたくさんいるけれど学校に行かない間にいっぱい弱い人を狙う悪い人を見ていて、
 私は自分の力で守れるものは守らないと誰も助けてくれないって気がついたの。どこにいたって生きていくのは大変なんだって、
 アンドルフの狂気はここにも聴こえてきたんだよ?だから、私は強くなってお父さんとお母さんを守るんだ。」

私、間違ってないよね、と子供らしからぬほど世の中の汚いところを見てきたはジェームズに尋ねた。

「ああ、君は正しいよ、ちゃん。でも、子供のうちはそこまで複雑に考えずにがむしゃらに生きてごらん?今ちゃんが
 言った事は大人の理屈だ、子供のうちはただ思った事に正直に動けばいい、それが後に大人になってから君を強くしてくれるよ。
 だって君は今考えながら戦っていないだろ?大人になるとなかなか考えずに戦うのは難しい、だからお父さんお母さんをずっと
 守れるように何も考えずに強くなってごらん?これは君にとってとても大事なことさ、おじさんだって今でも大切な人を守るために
 そう言うことを忘れないようにしているんだよ?」

なんだかよくわからないけど、頑張ってやって見るね、とが笑った。それを見てジェームズも安心して笑った。

「ところでおじさんの大切な人って誰?奥さん?」

「それと、息子だ。フォックスと言ってな、君より二つ上なんだよ。」

「ねぇ、フォックス君のこともっと教えてよ!私大きくなったらフォックス君に会いに行きたい!」

そう言って笑ったにジェームズはフォックスの事を話して聞かせてやった。


















「ずいぶんと子供相手に難しい説教をしていたじゃないか、ジム。」

「なんだペッピー、聞いていたのか。」

戻ってきた宛がわれた部屋でジェームズは呆れ顔のペッピーを見て失笑した。

「途中までだよ、後はずっとフォックスの話をしていたんだ。」

「どうせお前さんの事だ、ちゃんが呆れるまで話していたんだろう?」

「いや、ちゃん、あれでもタフでね、おじさん今日は疲れちゃった、と言って逃げてきたんだ。」

お前らしくもない、と呆れたペッピーがそれでちゃんはどうだった?と尋ねた。

「フォックスと同じ眼をしていたよ、彼女はきっと道を踏み外さずにいい大人になるさ、心配は要らないよ、」

「そう言う意味でのジェームズはんの判断に狂いはないで。」

と、もうベッドにもぐりこんでいたピグマが言った。

「ああ、そうだな。」

そういって、ペッピーの明日の朝の出発に備えて布団に入った、隣のジェームズも毛布に潜り込む。

「それどころか、彼女はフォックスよりも強くなってしまうかもな。」

そんな冗談めいた独り言を残しながら。


















拙話

と、言う事でact.1終了です。
この後は、言わずもがななのとここの伏線を生かしたいので削りました、変じゃないと思っているのですが。
次は2年後ウルフさんとレオンさんの登場予定の章、act.2です。
最後のフォックすより強くなるかも、と言うジムの言葉はファルコ夢「柔よく剛を制す」で
現実のものとなっていますがあえて突っ込まないで置いてください。
は子供の頃から大人びていたので大人になっても全然内面的に要素が変わっていない感じです。
大人になっても子供のまんま賑やかなんです、悪戯好きなんですジェームズ譲り(?)に
何も考えて無いんです、ジェームズファンの方、ごめんなさい。