並んで歩くこと 共に生きること





「君が君であること」




パンサーの私室、このサルガッソー内で最も彼女の出現率の低い場所、といっても過言で無いそこで部屋の主 パンサーは
成人男性の部屋のそれには似合わないピンクのペンでしっかりと印の付けられているカレンダーを眺める。
その明日、最低限の用事を書き込めばそれで一杯になるカレンダーの予定欄をしっかりと埋め尽くしてパンサーの文字が
存在を主張している。他の日の状態と比べれば、その執心ぶり、というか彼の中での重要性がとてもよく分かる状態である。





と俺が 出会った 記念日」





彼女と出会うまではろくな生活をしていなかったパンサーの目の前にまるで彗星の如く現れ、目を惹きつけて離さなかった。




。何よりも仲間と家族を想い、仲間と家族のために生きる女。



思わず彼女に突いて、このサルガッソーへ来て、そのまま彼女の所属する遊撃隊へと入隊して、元来の操縦テクニックを買われて、
今では彼女の義兄達に次ぐ彼女に近い位置を得ている。


本気で好きになった数少ない相手・・


なのに・・持ち前の女たらしのせいか、はパンサーのアタックをことごとく返してしまう。そうでなくても彼女の義兄達を敵に
回すのと同意語の行いなので1回1回のアタックにパンサーは相当の労力を費やしてはいるが。

「今日・・こそは。」

拳を硬く握り締めて、パンサーは部屋を後にして彼女のいる、リビングへと赴く。






















リビングの扉が空気の抜ける音と共に静かに開く。
パンサーが室内を見渡せば 室内には、テレビの前のソファに座ると、テーブルで新聞を読んでいるウルフ、と
キッチンでコーヒーを入れているレオンとばっちりとスターウルフのメンバーが図らずとも室内に揃っている。

まずはリビングに来た口実に、と この間の単独任務の報告書をリーダーであるウルフに提出して、細かい説明を伝えながら、
レオンの機嫌や、ウルフの機嫌、そして最も大切なの機嫌を伺う。
(まぁ、この3人のうちの2人は機嫌が悪ければすぐにリビングの空気を淀ませるほどなのだが。)

レオンはつい昨日、新しい「オモチャ」を見つけたとかで生き生きとして、楽しそうだし、話している限り、ウルフの機嫌もパンサーが報告書の
提出を怠らなかったので、悪くは無い。
そして看板のの機嫌は・・というと、結論からいって悪くは無い。

ただ、いつもの覇気がなく、これからの季節の流行を知らせる番組を見ながらため息をついている。そして時折口に出る、「いいなぁ。」の
言葉。


ひょっとして めったにない チャンス?

判断しかねているパンサーに追い討ちをかけるようにはまた ため息を突いて、「欲しいなぁ。」という。
ここまでくれば、パンサーでなくても行動に移すだろう。






、明日暇かい?」
「え?何?明日任務でも入った?」

長期じゃないなら、私が入れるよ?とパンサーの方を向く。

「そうじゃなくって、ちょっと買い物にでも行かないか?」
「買い物?スーパー?食料の買出しか何か?」
「いや、コーネリアあたりに。明日はその・・・記念日だからね。」

会えて何の記念日かは伝えずに言うと、案の上のは記念日?と首を傾げる、ここで普通の女を相手にしているなら「俺と君が出会って
1周年の記念日さ、」といえばイチコロなのだが・・残念ながら、そういった感情に疎い、と言うよりは毛嫌いといってもいい反応を示すである。
だからわざと、「俺個人のさ。気にしなくていいよ。」と言葉を濁しておく。

「だから、君に買い物につきあって欲しいんだけれど、いいかい?」

一緒に来てくれたら、欲しい物の一つぐらいプレゼントするし、と言うとは何に気づいたかのように顔を上げる。

「あ、明日ってパンサーと私が初めて会った日だ!何々?そういう記念日ってことならご一緒するよ?」

あり得ない事にパンサーの脳内の予定よりも大幅に上方修正な反応を返す。しかも、ちゃんと明日がどういった日なのかを理解しているあたりが
かなりの好感触である。
その上いつも自分がを誘おうものなら絶対1事2事、嫌ただならぬ量の口を挟んでくる義兄達がなんだ、もう1年たったのか、と
これは逆にこっちが拍子抜けするくらいの大人しい反応をする。

「良かったな、。明日はちょうど俺とレオンは用事でいねぇから、パンサーと買い物に行ってこい。」
「うん!明日、楽しみにしてるから、パンサー!」
「あ・・・ああ、俺も楽しみだよ、ハニー。」

予想以上にうまく運んだ事態にちょっとならずと惑いながら、微笑むとはさらに極上の笑みを返す。


くらり


やばい、明日になる前に幸せすぎて死んでしまいそうだ・・


「そうときまったら、出かける服を選ばなくっちゃ!気合入れなきゃ〜」

お兄ちゃん、お兄様、パンサー、そういうことでお休みー、とはとても嬉しそうにリビングを後にする。
それを見送ってからパンサーは自分のにやけている口元を押さえて俺もそろそろ寝るとするよ、とリビングを後にしようとする。

「パンサー。」

リビングの入り口まで歩いたパンサーをウルフが呼び止める。

「なんだい?旦那?」
「・・・・・いや、何でもない。」
「そうかい、じゃ、オヤスミ。」

どこか勝ち誇ったように誇らしげな声でパンサーが挨拶をしてリビングを出て行く。その姿を見送ってからレオンが出来上がったコーヒーのカップを
両手で持ってウルフの向いに座る。

「助かったな、ウルフ。」
「ああ、パンサーがいてくれて助かったぜ。」

熱いコーヒーをブラックのまま口にしてウルフはがさっきまで座っていたソファの前に散らばるチラシの数々を見やる。

「パンサーの奴はきっと、服だのアクセサリーだのを買ってやるつもりなんだろうな。」
「まったく、のおねだりがあからさまになる前で助かった。」

レオンが席を立っての残して行ったチラシを数枚拾って戻ってくる。そのうちの一枚を見てウルフは呆れた様にチラシを指で弾く。

「これが年後の女が欲しがる物か?」
「否、もう何も言うまい。」

チラシに所狭しと載っているのは・・・・























明日 コーネリアで開かれるアンティークモデルの銃のオークション開催告知だった。








「ウフフフフ、パンサーのお金であのレア物、必ずゲットしなくっちゃ!」













哀れパンサー。

















拙話
如月絽稀さまへのプレゼントです。
パンサー夢で「甘いのからギャグへ」との事ですが・・・・無事達成、と言うことでよろしいですか?